ゴミ回収車が到着する度に、「ゴミ山」に生きる人たちが、一斉に集まってくる。通称、プノンペンのスモキー・マウンティン。正式名は、ストゥン・ミェンチェイ地区。プノンペンの中心部から南西5キロの郊外にある。プノンペン市から出るゴミの処理場。いくつものゴミ山が高く聳えている。
このゴミ山に入ると強烈な匂いが鼻につく。生ゴミの腐った匂いとナイロン等を燃えた匂いが混じりあっている。ゴミ山には、10才前後の子どもたちから老若男女が、ゴミの中からリサイクル可能なものを見つけ出して、専門の業者に売り生計を立てている。ゴミの中からビン、缶、ナイロン、プラスチック、金属と分けて拾っていく。ゴミ回収車が着く度に、小型ブルトザーで、ゴミ袋を踏んで破りゴミを取り出しやすくしている。
人口140万人が住む首都プノンペンに、スラムは、現在、700ヶ所を越えている。そこに住む人々の数は、40万人。首都の人口の3割を占めている。毎年、プノンペンのスラムに農村から2万人が流入しているといわれている。スラムの数は、年々増え続けている。プノンペンのスラムの中でも最も貧困地区といわれているのが、このゴミ山に隣接するスラム。約500世帯がゴミ山での仕事で生きているといわれている。
長い人は、このゴミ山と共に暮らして10年。皆、農村の出身だ。プノンペン近郊の州から全国の農村から食べられずにプノンペンに出てきた。一日に、約6千リエル(約1.5ドル)の稼ぎという。多い時は、1万リエル(2,5ドル)を稼ぐという。ゴミ山での仕事は、炎暑と匂い、有害な煙の環境での苛酷な仕事。 人間がゴミとして一度、捨てたものを拾って生活の糧にするということは、人間にとって尊厳を著しく傷つける。スラムは、仕事が最も得やすい場所に出来る。仕事がゴミ山。住む場所がスラム。
ゴミ山で長い人は、10年も仕事をしている。10年前よりもゴミも増えて、収入も少し増えたが、その代わり物価も上がり生きていくための支出も増えたので、生活は相変わらず苦しいという。ゴミ山で働き一休みしていた女性たちに話しを聞くと「プノンペンには、大金持ちが一杯いることも知っているけど、しようがないね。お金持ちは、お金持ち。私たちと関係ないね」。と笑い飛ばす。「政治家や政府には、何の期待もしていないね」と、付け加えた。「それより夫を探したい。誰かいい人いないかしら」と20歳と証する女性。苛酷な生活の中でも、逞しく表面的には明るく振舞っていた。
カンボジアには、汚職防止法が存在していない。権力を持ち汚職をして不正に蓄財していく政府高官やビジネス界の人々。貧富の格差は、ますます広がるばかりのカンボジア。ゴミ山に生きる人たちの姿を見ながら、唯、ため息が出て言葉を失いそうになった。しかし、タイのバンコクのスラムで、25年前に活動を始めた原点を思い出して、その社会の最底辺のに生きる人々への支援を通して、「共に生き、共に学ぶ」を実践するのがSVAだと思いを新たにした。
ゴミを拾うスラムの人、その後ろはゴミ山に生きる人々の住むスラム
スモーキマウンテンのゴミと象徴の煙
八木沢克昌