SVA 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

English Pages

スタッフからの便り(スタッフ日記)

トンレサップの水上家屋


cam-diary20070601-1s.jpg

トンレサップといえば、カンボジアの中央に位置する大湖。「伸縮する湖」といわれる程、乾期と雨期の大きさは異なる。乾期は、約3000平方キロメートル。雨期には、9000平方キロメートルまで拡がる。約300種の淡水魚が生息し、東南アジアでも最も淡水魚の種類が多いとされている。昔から魚業が盛んで、淡水魚の漁獲高は世界有数を誇る。

 

 

 


こうしたトンレサップ湖の魅力は、年間170万人に増えた世界遺産アンコール・ワット遺跡群の観光を目的としてシェムリアップを訪れる観光客にも知られている。トンレサップ湖の水上家屋や養魚場を巡るトンレサップ・クルーズも観光客の人気コースとなっている。このトンレサップ湖の水上家屋を今月の乾期の5月上旬に訪れた。そして、観光公害と水質汚染の現実に言葉を失った。

シェムリアップの街から約10キロ走るとトンレサップの船着場がある。この船着場には、観光客用の船がずらっと並ぶ。雨期の船着場から泥水の水路を通って炊事用家屋に出る。爆音をたてたエンジン船がすれちがうと、泥の波が押し寄せて来る。船着場の近くには、水上学校が並ぶ。日本や韓国の団体が支援したものが数棟並んでいる。水上学校は、湖の水量によって浮かび移動できるように船というか筏の上に教室が建っている。子どもたちは、船を漕いで学校に通ってくる。

船着場から10分も船を走らせるとベトナム人の水上家屋が広がってくる。ここでもベトナム人とカンボジア人はあまり仲かよくないという。完全にベトナム人とカンボジア人の水上家屋村が分かれている。家の造りも明らかに異なる。水上家屋の周辺には、魚の養殖情と観光客用の水上レストランが並んでいる。韓国資本、カンボジア資本、フランス資本のレストランと船の上にレストランがある。観光客は、つぎから次へとこのレストランに入り一休み。但し、水上家屋周辺は、明らかに水質汚染で異臭が漂い、透明な水ではなくてどす黒い水。トンレサップ湖も近年、水質汚染、魚の乱獲等で生態系の変化と環境問題は深刻な問題となっている。

さらにトンレサップ湖の観光客を目当てに生きる人々のスラムが道沿いに広がる。観光客がバスや船から降りると子どもたちが一斉に観光客を取り囲む。飲料水やお土産を買ってもらうためだ。のんびりと美しいトンレサップ湖のクルーズをと想像していた人には、申し訳ないが乾期の水の少ない時には、あまりお勧め出来ないと思ったトンレサップ湖の水上家屋観光。また、生きるために必死なのはわかるが、あまりにもしつこく押し売りをされると観光客も逃げてしまう。

州の役所の建物、土地から学校の校庭まで民間の業者に売って、いかにお金を儲けるかという土地柄。ここでも環境や生態系の保全、保護に力を入れないと、将来観光で食べていけなくなるのは、時間の問題だと思いため息が出た。アンコール・ワットの頂上に上るには、行列。アンコール遺跡群から夕陽、朝日を見ようとすると、車の排気ガスと大混雑の人、人、人。豊かな自然の美しさと静寂を期待すれば、船の爆音と異臭と水質汚染。

アンコール文明が滅びたのは、環境破壊だといわれている。今度は、アンコール観光が滅びるのは、やはり環境破壊かと思った乾期のトンレサップ湖の水上家屋だった。

cam-diary20070601-1.jpg
八木沢克昌

Syndicate this site (XML) メルマガ登録