2004年からプノンペンから北へ360キロ、タイに国境を面したバンテイミンチェイ州で図書館活動を行っています。バンテイミンチェイ州にある85の小学校を対象に、図書館員育成研修会の開催、移動図書館、絵本及び紙芝居の出版と配布、謄写版・紙芝居の三脚舞台・移動図書箱の製作と配布、州教育局職員の育成を行っています。
バンテイミンチェイ州は「最後の戦闘地」と呼ばれ、1998年まで内戦状態にありました。現在では国境の町ポイペトに巨大なカジノが立ち並び、その富と欲の象徴の脇で、国境を越える50円の通行費を払えずに川の下を重い荷物を持って素足で渡る子ども達の姿が見られます。ポイペトから南には地雷ベルトが広がっています。2005年は139件の地雷被害が報告されています。北には80年代に難民だった人たちが帰還してできた村が点在しています。まだ竹の柱にからぶきの屋根の家が大多数です。
このような中にでも「私は文字を覚える前に戦火を生き延びねばならなかった。子どもにはちゃんと教育を受けさせたい」と強く願う親。「子ども達に笑顔を取り戻してもらいたい」という先生。「難民キャンプに行く時にバンテイミンチェイを横切った。そこで生きることができたことに感謝したい。ここで本を配布したい。」と強い思いを持った当事業課のスタッフがいます。過去を学び、未来につなげること。次世代を担う子ども達への活動を行うことは、SVAの使命だと思っています。
バンテイミンチェイ州にはSVAの地方事務所があります。その地域で活動を成功させるには、事務所を作り、駐在して、いつでも出動できるようにすることが不可欠だと思いました。「共に生き、共に学ぶ」意識を態度で示すことにより、「この人たちは我々と一緒に作り上げようとしてくれている」と思われるのではないでしょうか。
道のりはまだ険しいですが、学校関係者、行政と手に手を取って進んでいくつもりです。
鎌倉幸子