3月1日から3日まで、カンボジアの10の州から各6名の図書館員や先生方が集まり、プノンペンで全国おはなし大会が行われました。各州の代表だけあってどの先生方もつわものぞろいです。3日間、日ごろ行っているおはなしの技術や経験の交換、図書館員のネットワーク強化の場ともなっています。
3日間にわたるおはなし大会もついに最終日。いよいよ優勝者の発表になると会場が期待と緊張の空気に包まれました。今大会の優勝者はバッタンバン州ワット・トマコール小学校のネン・ラッチャナー先生。
「真っ先に優勝を伝えたいのは母です。そして病に臥している母に元気を取り戻してほしい。」と目を輝かせました。ラッチャナー先生のお父さんはだいぶ前に病気で亡くなり、今はお母さんと暮らしている先生。しかしお母さんも今重い病にかかっています。「優勝トロフィーを最初に母に見せたい。」そんな先生の表情を見ると、きっとお母さんも元気をもらうだろうと思いました。
バッタンバン州教育局の方も優勝を祝福すると共に大変喜んでおられました。「優勝者が自分の州から出たことをとても誇りに思います。これからもおはなし活動を通して子どもたちに絵本から多くのことを学び取ってもらいたいです。」
ラチャナー先生が今大会に出場したのは友人(教師)の話がきっかけ。去年の大会で2位に入賞したことを聞いて、不安な気持ちがやる気へと変ったとのこと。絵本が不足していたため、他校から絵本を借りて子どもたちに読み聞かせたそうです。そんな地道な活動と、子どもたちそして母への強い思いが優勝へと彼女を導いたのでしょう。
「州に帰ってからは私もこの経験を友人たちに伝え、彼らが出場するきっかけをつくりたいです。そうすることでおはなしの輪が広がっていったらいいと思います。そして絵本を通してより多くの子どもたちが読む力、生きていく知恵をつけられるようにしたいです。」とこれからの意気込みを語ってくれました。
ラチャナー先生をはじめ、先生方の子どもたちへの愛を感じた大会でした。そしてあらためて多くの人が図書館活動を支えてくれていることを実感しました。
早稲田大学 政治経済学部 政治学科