2005年11月15日から17日の3日間、メーソットにて第3回図書館員合同研修が開催された。2003年から毎年実施している研修であり、年に1度、SVAが活動している7ヶ所の難民キャンプの図書館員が一同に顔を合わせ、各キャンプで抱えている問題などを発表し合ったり、活動内容について意見交換を行ったり、難民キャンプにおける図書館活動のより一層の理解統一、そして活性化を図ることを目的としている。ただ、残念なことに7ヶ所の図書館員が全員揃ったことはない。タイ政府からの許可が大きく影響しているからだ。基本的に難民がキャンプの外に出ることは禁止されている。しかし、NGOのスタッフとして働く難民が研修などの理由で一時的に外に出ることは許可されているが、キャンプを管轄している郡・県の内務省によって方針が異なるため、許可が下りないキャンプもある。でも実は方針があるようでないような、曖昧な部分も見える。
メーホンソン県メーサリアンにあるメラマルアンとメラウ(以前のメコンカ)の2ヶ所の難民キャンプは1回目、2回目とも許可が下りず、参加出来ていない。でも今年は何と!!許可が下りた。キャンプコマンダー(キャンプの指揮官)が「SVAさんなら大丈夫」と書類にサインしてくれました、とスタッフから報告があった時、ただ驚いた。こうして3回目にあたり今年は初参加のメラマルアン、メラウに加え、メラ、ウンピアム、ヌポ難民キャンプの5ヶ所から計32人が参加することになった。残念ながら、バンドンヤンそしてタムヒン難民キャンプは許可が下りなかった。
今回は図書館員としては経験が一番長いメラマルアンそしてメラウ難民キャンプからの参加により、先輩格としての貴重な意見、アドバイスなどが様々なところで見られた。でも一方で新しい図書館員からも積極的に意見が出され、図書館員同士の絆が深まっていっていることを感じた。特に図書館員の中で最も高齢のピノトさん、2001年3月からSVAの活動に参加しているベテランである彼女は今回の研修で一番活躍してくれた。人生経験が豊富であり、図書館活動のことも他の図書館員以上に理解してくれている彼女の発言はSVAのスタッフが思いつかないような貴重な意見やアイデアもあり、これほどのすばらしい図書館員が存在してくれていることに涙が出そうになった。休憩時間も彼女の周囲には他のキャンプの図書館員が集まり、「うちのキャンプでは図書館委員会が活動にあまり関心がなくて相談も出来ないの」「うちのキャンプでは本の紛失が多くてどうしたらいいかしら」など質問攻めにあっていた。一つ一つの質問に丁寧に答えている彼女の姿はとても輝いていた。
最後の夜はお別れパーティーが行われ、各キャンプ、各事務所から準備された出し物が発表された。踊り、歌、ゲーム、小劇など皆工夫をこらし、笑いの絶えない時間となった。私と言えば、「リストに入れなくていいからね!」と事前にスタッフに釘をさしておいた。しかし、最後に名前が呼ばれ、無視することも出来ず、結局踊りと歌を披露させられた。(スタッフの罠にまんまとはめられてしまった!)踊りはSVAのスタッフがすでに決めていたものを踊らされたのだが、いかにも笑いを取ろうとしている内容であった。しかし仕方ない。羞恥心を捨て踊った。図書館員よりスタッフの方が笑いまくっている。やっぱりはめられた、と感じた私である。
今は各々のキャンプで活動しているが、将来帰還が出来た時にカレン民族のために図書館員たちが共に活動を続けていってくれれば、どれほど大きな力になるだろうかと思う。彼らがいつ帰還出来るかはまだ見通しは立っていない。しかし自分たちのため、子どもたちの未来のためにこれほどまでに頑張ってくれている図書館員たちの姿を見て、図書館活動はきっとカレン民族の将来にきっと大きな力になっていくだろうと感じざるを得なかった。
余談になるが、今回の研修期間に私は日本文化の紹介としてお好み焼きを作って食べてもらった。昨年はそうめんを披露したのだが、これがあまり受けなかった。今年こそはと思い、お好み焼きにしたのだが、何と完売。事務所の台所で50枚ものお好み焼きを作った。これほどの枚数は焼いたのは生まれて初めて。最初はきれいに丸いお好み焼きを作る努力をしていたが、途中からはあまりの暑さで意識が朦朧とし集中力が欠けていたこともあり、変形したものが次から次へと出来上がっていた。まあ口に入れば同じだからいいか!と勝手に納得しながらも焼き続けた。
スタッフが台所にやってきて「亜紀さん、図書館員が待っています。早くこちらに来てください」と言われ、皆が食事している会場へ移動した。「本当においしかったです。日本の食べ物はカレン人の口に合いますよ」と30人以上もの図書館員ひとり一人からお礼の握手を求められた。これもまた時間がかかって大変だった。現地で活動をする中でただ支援をするだけではなく、お互いを理解し合い共に生きていくことの大切さを忘れてはいけないと常に自分に言い聞かせている。そして文化を理解し合うことは何より大事なことだと思っている。お好み焼き作りにかなり疲れていた私であったが、図書館員の喜ぶ顔を見て来年は何を作ろうかなとすでに考えていた私であった。
ミャンマー難民事業事務所 中原 亜紀