SVA 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

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煙仲間掲載原稿-日本人スタッフの声

2006/2


「ミャンマー難民の第三国定住」についての会議が先日、バンコクで開催された。UNHCR主催のこの会議にはNGOの他、難民の受入れ国からの代表など約60名が参加し、第三国定住における各国の政策や取り組みが紹介され、また懸念される点などについて話し合いが持たれた。NGOs側からはCCSDPT(難民支援事業調整委員会)が代表して難民キャンプから集めた情報をまとめて報告を行った。

2005年の6月以降から難民の第三国定住活動が開始され、今年に入り本格的な動きを見せている。ミャンマー国内の状況が一向に好転しないこと、また20年近い難民キャンプの現状を解決する策として定住活動が浮上したことは当たり前のこととも思える。しかしこのことが難民解決の全てではない。実際に第三国への定住を望んでいる難民の数は全体の2割ほどでしかなく、残りは帰還することを望み、難民キャンプに滞在し続ける。ただ定住を希望している難民の中には、キャンプ委員会のメンバーや教員、医師などNGOsのスタッフとして活躍している人たちがいる。むしろ、そういう人たちの方が多いと言えるかもしれない。その背景には「教養がある人」「語学に堪能な人」「技能を身に付けている人」などが選ばれるらしいという噂が立っていることも少なからず関係している。UNHCRや受入れ国からは特定の人だけを選ぶようなことはない、きちんとした審査を通じて決定していくということだが、難民の中には希望していても自分には資格がないと思い込んでいる人たちもいる。中には第三国にいくと、働かなくてもお金がもらえ、楽な生活が待っているらしい、とこれも全くの嘘なのだが様々な噂が広がっている状況に混乱している難民の人たちがいる。今後はUNHCR,受入れ国そしてNGO間でもっと情報交換を行い、第三国定住に関する正しい情報、受入れ国のプログラムなどをきちんと伝えていくことが必要だということが会議の終わりには話された。

SVAのスタッフとして働いている図書館員44名のうち、1名は2005年に第三国へと定住して行った。そして現在、申込みをしている図書館員が15名。全員が定住するようになるかは分からないが、話しを聞く限り、少なくとも半数は定住することになりそうだ。ウンピアム難民キャンプでは3人が申し込み、ほぼ決定していることから新たな図書館員を公募することになった。ところが一人として見つからない。同キャンプは他のキャンプに比べると図書館活動が大変活発に行われており、新たな図書館員を探す時でもすぐに見つかる、と図書館の存在が地域にしっかりと根付いていっていることを感じる一瞬でもあった。ところが、今回においてはこれまでと様子が違う。図書館委員会に理由を聞いたところ、「第三国に定住することになるかもしれないので、今は仕事をせずに様子を伺おうという人が多いのかも」という。確かに雇ってすぐに辞められるようなことは困るが、図書館員が見つからないでは図書館活動そのものに支障をきたすことになる。他のNGOsも同様な問題を抱えており、今後のキャンプ内での活動、そしてキャンプ運営などについて心配がされている。

会議参加の前、何人かの難民に話しを聞いた。「第三国定住は子どもたちにとってはとても大きなチャンスだと思う。更に高い教育を受け、仕事を見つけることも出来る。そして自由と権利をも得ることが出来る。」とプラス志向で答える人。一方で「きっと自分はもうカレン人ではなくなってしまうだろう。そして近い将来、カレンという民族も、文化も、そして自分たちの国も失われていってしまうのだろう。」と第三国定住を決断することは自分のアイデンティティーを捨てるということ、それを覚悟してでも行くのだという人。私にはどちらの思いも痛いほどよく分かる。難民キャンプで生活している限り、夢も希望も無い。努力しても報われないということはあるが、努力することが許されない。自分の人生を自分で切り開く機会すら与えられない。もし自分だったら・・・目の前のチャンスを掴むだろうか、でもそのチャンスを掴むことによって日本人である自分を捨てなければならないとしたら・・・他に選択肢はないのか?まずそう考えてしまった。でも他の選択肢なんてない。これが「難民」であることの現実なのだと改めて考えさせられた。4年近く難民キャンプで活動し、これほどまでに難民の人たちのそばにいながら彼らが抱えるこの現実をどこまで分かっていたのだろうか、彼らの話を聞きながら自分の中に怒りと悔しさが込み上げてきた。

ミャンマー難民事業事務所  中原 亜紀


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