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スタッフからの便り(スタッフ日記)

眉毛がきれいな子だな。チンタナーの第一印象は眉毛だった。


アクセサリーを売るチンタナー 1月13日、「子どもの日」のイベントで、私はチンタナーが住むチュアパーンスラムを訪れていた。そこへジンタナのお母さんがやってきて、ジンタナが昨夜入院したことを知った。過去数年、何度も入退院を繰り返してはいるが、「今回はもうダメかもしれない。私はもう覚悟を決めている」というお母さんの言葉に、私はすぐにお母さんと病院に駆けつけた。ICU室を訪れると、ジンタナは口と鼻に管を通されて苦しそうに、横向きになってベットの上に横たわっていた。

 


 私が手を握ると、うっすら目をあけて、何か言いたげに口を動かそうとした。「何もいわなくていいんだよ」私は耳元で何度も繰り返した。そして「また来るからね」と部屋を去ろうとしたとき、チンタナーはやせ細った右腕を重力に逆らって必死で持ち上げ、私に向かって微かに手を振った。それがチンタナーとの最期の別れだった。

それから10日。チンタナーはこの世を去った。
安らかに眠っているチンタナーの眉は、以前と変わらず凛々しかった。

私と彼女の出会いは4年ほど前。チンタナーは支援者へのビデオレターに出演してくれた。そのときはまだ顔の血色もよく、図書館で子どもたちと遊んだり、お手伝いをしてくれていた。それから2年、3年・・、会うたびにチンタナーは少しずつやせていった。昨年、食欲がなく、食べ物をほとんど口にできなくなったと聞いたとき、私は何か食べさせたいと思い、巻き寿司を作ってあげることにした。きゅうり、たまご、かにかま、ツナ、酢飯と海苔を持って、彼女の家を訪れた。私が作った、いびつな巻き寿司をジンタナはひとつずつ手にとり、おいしい、といって食べてくれた。私がお寿司を作る姿を見ていたチンタナーも、寿司づくりに挑戦することに。彼女は手先が器用なので、すぐにマスターし、上手に巻き寿司を作って、私を驚かせた。

チンタナーはアクセサリーを作るのも大好きだった。彼女の家で、作ったブレスレットやネックレスをよく見せてもらった。「私は病気で働けないから、これを売れば、少しでも家計の助けになる」と、アクセサリーを作り続け、元気な日はチュアパーンスラムの通り沿いに露店を出し、それらを売っていた。図書館でも、紙で作るお花や飾りを子どもたちに教えていた。

お葬式の日、 「大学卒業おめでとう。ここまでよくがんばったね。もうがんばらなくていいからゆっくり休んでね」 私はそう声をかけて、色とりどりの花びらが浮かぶ清水をチンタナーの青白くむくんだ手に流しかけた。

お葬式の最終日(火葬する日)、チュアパーンスラムの図書館で行なわれている伝統舞踊を習う子どもたちが、チンタナーが眠る棺の前で、タイ舞踊を披露した。夕方、お姉さんのように慕っていたジンタナへの最後の贈り物だった。優雅で洗練された踊りだった。

困難から逃げないこと、そして生きることを教えてくれたチンタナー。
本当にありがとう。

 

アクセサリーを売るチンタナー

アクセサリーを売るチンタナー 

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チンタナーと家族 

タイ事務所国際部 田村奈津子 tamura.jpg

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