本の力を、生きる力に。シャンティは、本を知らない子どもをなくし、未来に希望を持てるように活動をしています。

識字は誰のためのものか

識字は誰のためのものか

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絵本作家・識字教育専門家 / 田島 伸二 シャンティ広報課 / 鎌倉 幸子

2014年10月18日
代官山蔦屋書店

文字の読み書きができること「識字」は、人間の持った権利です。それができない立場にいる人のためにシャンティは様々な活動を行っています。 ただし、文字が読 み書きできることは、すべてが良い結果に繋がるとは限らない--。 シャンティの活動と矛盾するような言葉ですが、今回の対談では絵本作家・識字 教育専門家である田島伸二先生に識字の持つ力について、二つの側面からお話していただ きました。

絵本作家・識字教育専門家

田島 伸二

1977年から1997年までユネスコ・アジア文化センター(ACCU)でアジア・太平洋25か国の識字教育・図書開発の責任者を務め、識字教材製作や図書開発の読書推進などのプログラムを推進する。1997年、国際識字文化センターを設立し、幅広い識字や文化活動を行っている。代表作「大亀ガウディの海」など。

シャンティ広報課

鎌倉 幸子

1999年シャンティに入職。内戦で多くの図書が焼かれてしまったカンボジアに赴任。カンボジア事務所図書館事業コーディネーターとして絵本や紙芝居の出版にも携わる。2007年に帰国。東京事務所海外事業課カンボジア担当、国内事業課長を経て、2011年より広報課長。東日本大震災後、岩手で行っている移動図書館プロジェクトの立ち上げを行う。

カースト制度の外で、生きている少数民族の人々との出会い

鎌倉:世界中を飛びまわっていらっしゃる田島先生の貴重なお時間を頂戴しありがとうございます。今日は、出版と子どもの文化、あるいは「生きていくうえで必要な読み書き・計算の力「識字」などについて、広範なお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

田島:よろしくおねがいします。

鎌倉:まず先生が、この仕事に携わることになったきっかけを教えてください。

田島:その昔、私は、インドのベンガル州にあるダゴール国際大学というところで、2年間哲学を学んだことがありますが、これが最初のアジア体験のきっかけとなりました。この大学は、ラビンドラナート・ダゴールというインドの詩人で、アジアで初めてノーベル文学賞を受賞した文学者が創設した学校で、彼は、古代インドの「森の草庵」に習って、大自然の中に伝統的なしかも国際的な学校を創設しという話を聞いて、行ってみたいと思ったのがきっかけです。当時、私はそのような学校を作りたいと思っていました。

鎌倉:ダゴール大学での生活はいかがでしたか。

田島:私は学校よりも、ベンガルの人々の生活に興味を持ちました。私が大学時代、住んでいた家の近くには、大きな砂漠状の荒野が広がっていましたが、そこには毎日、ヤギや羊や牛などの面倒を見ている子たちがやってきていました。その子たちとコミュニケーションをとって分かったことは、これらの子どもたちは、みんな学校に行っていない(通えない)貧しい家の出身の子どもたちでした。世界中から多くの学生が学びにやってくる大きな学園がある裏面には、ベンガル州の田舎には学校にも通えていない貧しい子どもたちが多数いたのです。

鎌倉:それはカースト制が原因ですか。

田島:いえ、カースト制度だけではありません。圧倒的に貧しい家がたくさんあったのです。またインドの憲法では社会的な差別であるカースト制度は禁止していますが、実情はカースト制度の外側に置かれている不可触民(ダリット)の人たちも大勢暮らしていますし、そのダリッドよりもさらに下層で虐げられた位置に置かれている先住民族であるサンタ―ルという少数民族も、ベンガル地方には暮らしていたのです。そうした人々の文化や生活にぶつかって学んだのが、私の学園生活でした。

鎌倉:ダリットの人々は、いまだに人間らしい扱いをされていないと聞きますが・・・・

田島:そうですね。インドの何千年にもわたって社会の隅々にまで張り巡らされているカースト制度という差別構造は、ちょっとやそっとでは解決できない難解な課題ですね。ダゴールは、ノーベル文学賞を取り、国際学園を作りました一方、地元のサンタールの少数民族の子どもたちは就学できないし、文字の読み書きも全く知りませんでした。そこで、私の家の近く生えているいい草を求めて、子どもたちがヤギや牛を連れて近寄ってきたとき、そうした家畜の世話をしている子どもたちを集めて、私は小さな「砂漠の学校」というものを作ってみたのです。それは、学校に通えない貧しい子どもたちに何かをしてあげたいという気持ちがあったのです。これが識字教育に取り組みきっかけともなりました。

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