2020.01.13
海外での活動

ラオス農村部の小学校の特徴

ラオス

皆様 2020年もよろしくお願いします。
ラオス事務所の玉利です。

ラオスのお正月は4月なので、あまり正月気分ではないのですが、年末年始の数日間は日本にあわせてラオス事務所を休みにしていました。それに加え、多くのラオス人職員は溜まっていた振り替え休日や有休休暇を取得し、実質的に1月6日が仕事始めでした。

また、先月ビエンカム郡にあったフィールド事務所を閉鎖し、そこで勤務していた職員2名もルアンパバーン事務所に転勤となったため、少し賑やかになっています。

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ルアンパバーンも12月には寒い日が続いていましたが、年明けとともに暖かくなってきており、ここ数日は春のような陽気です。また、今は乾季でほとんど雨が降らないため、ルアンパバーン名物のメコン川に沈む夕陽もきれいに見えます。

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また、乾季で涼しい今の時期は、建設事業にはもってこいの季節です。

現在も皆様のご支援により2校の小学校の校舎を建設していますが、共に順調に進んでおり、予定よりも早く完成しそうです。

Phusamkham

ラオスの農村部で建設校選定の調査を行っていると、いかにもラオスらしいと思われる状況を見聞きしますので、それらをピックアップしてみます。

1.児童数の少なさ

農村部では小学校の児童数が少なく、事業の対象としているパクセン郡では分校を含めた1校当たりの平均児童数は48人、ポントン郡では71人です。あまりに児童数が少ないと、いくら学校建設のニーズが高くても、費用対効果の観点からなかなか支援対象事として選定できない事が頭の痛いところです。

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2.村の歴史の浅さ

これは意外に思われるかもしれませんが、建設予定地の村の歴史を調査すると、90年代や2000年代にできた新しい村が比較的多いです。理由としては、あまり村々が辺鄙な場所に点在していると教育や保健などの社会サービスの提供ができないという事で、政府が住民に道路の近くなどにある程度まとまって住むよう移転政策を進めているためです。かなり大胆な政策ですが、これも共産主義国家のなせる業でしょうか。また、ルアンパバーン県でも盛んに行われているダム建設のため、移転せざるを得なかった村人もいます。この結果、家々が比較的狭い地域に密集しており小学校もその近くにあるという村が多く、子どもたちにとっては通学時間が短くて便利です。その反面、住居は移転しても田畑は遠くにあるままなので、収穫期になると親御さんが子どもを連れて泊りがけでフィールドに出てしまうため、子どもが学校を休んでしまう事もあります。

3.アクセスの悪さ

いうまでもなく、山奥の村はアクセスが悪く、ボートを使わなければ辿り着けない村も多く存在します。学校建設に当たっては、建設車両が村まで入って行けるかどうかも重要な確認事項です。昨年建設した学校では、郡行政と協議し学校建設を機会にその村までの道路を改良してもらいました。また、アクセスの悪いところほど資材運搬費等の建設費が高くなるのですが、これらの学校に通う子どもたちの事も考え、多少高くても必要であれば建設しています。

4.平地の少なさ

もともと平地が少ない山間部では、校舎を建てると運動場のスペースがほとんどなくなってしまう学校が多いです。ラオスでもカリキュラム上では体育の授業があるのですが、こうした農村の学校では残念ながらほとんど行われていません。また、校舎の建設自体も、土地が斜めのために、建設前に土地を平らにする作業を行ったり、建設中に高さ調節のため余分なコンクリートを使用しなければならない場合があり、簡単ではありません。通常土地ならしの作業は村の住民に行ってもらうよう依頼しているので、彼らにとっても大きな負担ですが、皆さん子どもたちにいい環境で勉強してもらいたいという思いが強いためか、積極的に協力してくれています。

5.複式授業の多さ

児童数が少ない事や教員の数が少ない事もあって、2学年や3学年の児童が一人の教員によって同じ教室で授業を行う複式授業が多いです。複式授業を取り入れている学校の割合は、パクセン郡で85%、ポントン郡では90%に上ります。しかし、教員の方々はその教授法をあまりご存じないので、現在弊会もこの分野のサポートを行っています。

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6.意外な支援者

小学校内にすでに建てられている校舎やトイレ、その他の施設は誰によって建設されたのかを聞くと、もちろん政府や援助機関による支援もあるのですが、「ツーリスト」という回答も良く聞かれます。これはトレッキング・ルート上にある学校などで、観光客の誰かが学校施設の悲惨な状況を見て何とかしてあげたいと考え、帰国後に建設資金を集めて寄付しているようです。

Jakang

2020年もラオス事務所職員一丸となって、ラオスの子どもたちの教育状況の改善に向けて、励んでいきますので、引き続きよろしくお願い致します。