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わたしが出会った人びと

2016.3.8   ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

こんにちは。研修生の増田京美です。

1ヵ月の研修期間も終盤を迎え、数日後にはいよいよ帰国の途につきます。人生でもっとも濃く、そして短く感じられる1ヵ月でした。

記憶が鮮明なうちに、私の研修の目的と、この研修で学んだことについて、まとめてみたいと思います。

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私は今、大学で難民支援団体に所属しています。難民支援に消極的と言われる国「日本」で、人生経験の浅い「学生」が難民支援を行うのは非常に難しいことです。そういった状況で、「学生」にできることを日々模索してきました。

私は団体の活動の一環として、提携する高校に時折赴き、難民問題について出張授業を行っています。どうしたら難民問題を身近に捉えてもらえるのか、試行錯誤の連続です。しかし同時に、現場を知らない私たちが授業をすることに、少しもどかしさを感じていました。

また、国際協力分野に関心のある私は、NGOが実際に現場でどう活動しているのかを間近に見たいと考えていました。私が特に興味を持つ分野は、ノンフォーマル教育です。団体で行っている難民支援に、在日難民の方の学習サポートがあります。週末を利用して、難民2世の子どもたちの勉強や、難民・移民の方の日本語や漢字の勉強のサポートをする、といったものです。その活動を通して、言語、文化などの違う場所で公的な教育を受けることに様々な困難のある難民や移民の方々は、それ以外の形でのサポートも必要不可欠だと痛感してきました。

その1つとして、難民キャンプにある「図書館」は果たしてどんな役割を担っているのか、体感したかったのです。

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そして20歳を迎えるこの冬に、シャンティの海外研修に応募することにしました。

つまり、私は難民問題とNGOの「現場」を見て、今後の自分や団体の活動につなげていこう、と考えたのです。そのとき、私の頭の中の「現場」は、「難民キャンプ」、そして「難民」その人たち自身にありました。

しかし研修を通し、その固定観念は崩れていくことになります。

 

【小さな難民キャンプでの出会い】

私が初めて足を踏み入れた難民キャンプは、タムヒンとバンドンヤンキャンプといって、規模の小さいキャンプです。印象としては、キャンプというよりは1つの村のようで、人びとが平和に暮らす光景は、今まで漠然と抱いていた「貧しさ」「苦しさ」といった難民キャンプのイメージとは相反するものでした。

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▲タムヒンキャンプの風景

キャンプについてもっと知りたいと思っていたところ、図書館員の方がキャンプ内の施設を色々と案内してくださいました。Collegeの授業をいくつか見学させてもらおうとすると、教員の方が「前に立って、ぜひ日本に関する授業をしてください!」というので少し申し訳ない気持ちになりながら、日本の着物の話をしました。こんなに自分の成人式の写真が役に立つとは思ってもみませんでしたが…。

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▲日本文化の授業の様子@タムヒンキャンプ

そして学生からは、必ずと言っていいほど、「あなたの名前の意味はなに?」と聞かれました。日本で最初に聞くことは滅多にないですよね。自分の名前、ひいては名前を授けてくれた家族のことを大切にしているのだと思い、温かい気持ちになりました。

図書館員の方の友人の家にお邪魔したときに、「一部の子どもたちは夢を持っていない感じがする。キャンプでずっと暮らしているから、自分の世界が狭くて将来をイメージしにくいの。でも、外の世界に出たり、教育の機会を得たり、多くの人と出会うことで変われると思う。」と力強く話していました。小さなキャンプで、見知らぬ日本人を歓迎し、授業を中断してまで招き入れてくれる理由を、なんとなく理解できた気がしました。そんな彼女は最後、「私は将来修士をとりたい。難しいことだとは思うけれど…」と打ち明けてくれました。

 

【図書館のもつ力】

ウンピアムキャンプでは、高校の英語教員に出会いました。彼にシャンティの事業について話すと、大変感銘を受けている様子で、私たちは一緒に本の重要性について語り合いました。

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▲高校生は皆、試験期間中で勉強を頑張っていました

かつて彼が子どもの頃住んでいたミャンマーの村にはそのような図書館がなかったそうです。本はあるけれど、それだけ。無造作に置いてある本には、誰も触れようとはしません。

しかし、難民キャンプのコミュニティ図書館には、必ず職員がいて、何でも教えてくれます。室内にはかわいらしい装飾が施されていて、時には読み聞かせ会などのイベントがあり、子どもたちが自然に本に触れる環境、そして本を読む大切さが理解できる環境が整っています。私も実際にシャンティの図書館で、子どもたちが本を真剣に読んだり、友だち同士で遊んだりする光景を沢山見ることができました。

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▲皆真剣に絵本を読んでいます

彼は「かつて親は参考書ばかりに意味があると言って、娯楽の本をあまり勧めてくれなかった。でも私はそういった本こそ、子どもたちが視野を広げるために必要だと思う。それを教えてくれる図書館は非常に大切だよ。」と話していました。本の持つ力もすごいけれど、図書館の持つ力ももっとすごい。彼の話を聞いていて、それは確信に変わりました。

 

ヌポキャンプ、メラキャンプでは、シャンティの図書館にて開かれる四半期会議に参加することができました。会議にはシャンティの職員や図書館員のみならず、学校の教員やキャンプの教育委員会のメンバー、青年ボランティアの人たちも参加します。会議は全てカレン語なので、私は分かりませんが、シャンティの職員の方が丁寧に通訳してくださいましたし、何より会議の一体感は、言語の壁を越えて私に伝わってきました。

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▲会議の様子@ヌポキャンプ

会議は、図書館を、学校を、そしてコミュニティをより良いものにしていくために、真剣に考える場所となっていました。会議に参加している青年ボランティアにも話を聞いてみたところ、本が好き、勉強が好きで、図書館の青年ボランティアであることを誇らしく思っているようでした。

IMG_7829▲図書館の青年ボランティアとともに

私は、タムヒンキャンプで出会ったCollegeの学生に、「若者として大切にしていることは何?」と聞いたときのことを思い出しました。彼らの答えは、“Education”、そして“Participation”。

図書館は、きっとこの両方を叶えてくれる場所ですし、第三国定住や帰還によって学校の教員が去り、公的な教育支援が減っている現在、さらに必要とされる存在だと思います。

 

【難民問題と、これからの私】

私は「現場」すなわち「難民キャンプ」に行き、「難民」に出会うこと、そして私に出来ることを考えることを研修の目的にしていました。しかし私は今回、「難民」に出会ったとは思っていません。「人」に出会い、その「人」を知る。これこそ、私がこの1ヵ月で成したことだと思っています。

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メーソットの町はミャンマーとの国境沿いに位置し、人口の多数がミャンマーからの移民です。さらに、街中には海外のNGOがひしめき合っています。小さな町ですが、多様性のもと成り立つ、まさに「小さな世界」です。

キャンプだけでなく、日々の生活の中でも、私は本当に多くの人に出会いました。

 

例えば、悪臭と大量のハエに塗れたゴミ山で、ゴミを拾って暮らす、ミャンマーの移民の人たちがいます。

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ミャンマーの人びとを救う、メータオクリニックは毎日大忙しです。

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孤児を引き取り、育てている日本人の”お父さん”にも出会いました。

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「難民」という大きな枠の向こう側で、私が今回こうして「人」と出会えたことは、大きな収穫だったと思っています。

相手のことを知り、寄り添い、伝えていく。これが、今私が学生としてできることだと信じています。

 

最後に、シャンティBRC事務所職員の皆さま、東京事務所職員の皆さま、難民キャンプの現地職員の方々、メーソットで出会ったすべての方々、そして私の活動にいつも理解を示しサポートしてくれる家族に、心から感謝申し上げます。

 

増田京美

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