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「母語」で学ぶこと

2017.3.20   ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

ニラゲー!(カレン語)
サワディーカー!(タイ語)
こんにちは!

初めまして、現在シャンティのミャンマー(ビルマ)難民事務所でNGO海外研修プログラムに参加させていただいています、静岡県立大学国際関係学部2年の松山楓と申します。

早いものでここでの研修も既に3週間が過ぎ、残り1週間となりました。事務所のあるメーソットには滝やローズガーデン、国立公園など想像以上にたくさんの魅力があり、ここまで本当にあっという間でした!ここで少しだけローズガーデンの紹介をしたいと思います。聞くところによると10数年前、このローズガーデンに日本人が来てプリザーブドフラワーの作り方を教えてくれたそう!以来10年間日本に輸出しているそうで、メーソットと日本の意外なつながりを知ることができ、とてもうれしく感じました。

もちろん観光だけでなくここでの滞在の間、5ヵ所の難民キャンプを始め移民学校やタイミャンマー国境など難民や移民に関する場所にも訪問しました。そこで今回のブログではこの3週間で感じたことと、シャンティの活動のキーワードである「母語」について私なりに考えたことをまとめてみたいと思います。

「メディアを通してではなく直接人びとに会った上で難民問題について考える。」ということが今回の私の中での目的の1つでした。難民キャンプで私が見た物や出会った人びとは想像していたものとかなり異なり、初めて難民キャンプを訪問したときの私の正直な印象は「ここが本当に難民キャンプなのか?」というものでした。

「難民キャンプ」と聞くと「苦しい」「辛い」など暗い言葉をイメージしていた私にとってキャンプの人びとの笑顔はとても印象的でした。子どもたちは元気に走り回って遊んでいて、大人たちはそれを見てほほえんでいます。それはシャンティが支援するコミュニティ図書館でも同じでした。図書館活動について話し合うときはみんな積極的に意見を出し合い、問題があれば真剣に話し合います。一方で読み聞かせの際に子どもたちと一緒に歌う歌を練習するときには子どもも大人も一緒になって体を使いながら歌い、恥ずかしがりながらも楽しんでいる様子でした。

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恥ずかしがりながらも歌の練習を楽しむ様子

この様子を見たとき私は実際に現場に行って見ることの大切さを改めて実感しました。「難民キャンプ」と言ってもキャンプの存在する地域や難民が発生する原因が大きく異なるため、その言葉一つで世界にある全ての難民キャンプをひとくくりにすることはできません。それどころか同じ地域であってもキャンプごとに人びとの生活の様子は異なります。

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプの場合、設立から30年以上たったキャンプもあるため「慢性的な緊急支援」状態が続いており、シャンティが支援する7つの難民キャンプのコミュニティ図書館でもやはりそれぞれの特徴があります。しかしどの図書館にも共通していることはキャンプで図書館活動に関わる人びとが自分たちの力で図書館をよりよくしていこうとしているということです。その表れとしてミーティングの際には大人だけでなく子どもからも多くの提案がでます。私は3週間だけですが図書館活動の現場を見てきて、シャンティの図書館活動はキャンプの人びとの生活を明るくしていると強く思いました。

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図書館に必要なものやサービスについて話し合う様子

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ミーティング中に出た提案

またこの研修を受ける前に私は一冊の本「図書館への道 ビルマ難民キャンプでの1095日」(渡辺有理子 著 鈴木出版)を読みました。この本の著者である渡辺さんはミャンマー(ビルマ)難民キャンプの建設と運営に携わった方です。この本には「子どもたちに母語の喜びを!」という渡辺さんからのメッセージが書かれていたのですが、この本を読み終わったとき私にはその意味がよく分かりませんでした。しかしメラマルアンキャンプで図書館ユースボランティアと一緒にお互いの言葉を勉強しているときに少しだけ渡辺さんの言葉の意味が分かりました。お互いにほとんど話すことのできない日本語とカレン語でしたが「タコー(カレン語で「暑い」の意)」というように少しずつ覚えていきました。

時にはうまくコミュニケーションがとれないこともありましたが、それでも私にとってこの言語交流は3週間の中で強く印象に残る出来事になっています。教えた日本語を覚えて楽しそうに使ってくれることに嬉しさを感じると同時に、もし自分の母語で世の中のことを学べなかったら・・・という考えがふと頭をよぎりました。自分の母語の本がなければ何か別の言語を覚えない限り新しいことを知ることができない、ましてやその別の言語を学ぶ手段もなかったら・・・ということに気づき恐ろしく思いました。このときなぜシャンティが母語を大切にした図書活動を行っているのか少し理解できた気がします。

当初は「この3週間で難民問題の現状と現場を少しでも理解できたら。」と思っていましたが、シャンティの活動に参加してキャンプの人びとと実際に関わったことで余計に疑問が増えたというのが今の私の正直な本音です。しかしそれはここでの研修が役に立たなかったという意味ではなく、日本に帰国した後も難民問題や教育問題について考える際に間違いなく役に立つものだと感じています。

最後になりましたが今回のこの研修で多くのことを学ぶことができたのはミャンマー(ビルマ)難民事務所のスタッフの方がたのサポートのおかげです。ミャンマー(ビルマ)難民事務所は英語・日本語・カレン語・タイ語が飛び交うユニークな事務所ですが、お互いの言語を大切にしながら働く素敵なスタッフがいるからこそ、この図書館活動があるのだと思います。本当にありがとうございました。残り1週間ですが最後まで素敵なスタッフと共に活動していきます。最後までお読みいただきありがとうございました。

ミャンマー(ビルマ)難民事務所 研修生 松山楓

 

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