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STORY
04

僕のすべては、難民キャンプの図書館から始まりました

シーショーさん
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ / アメリカ 美術教師

幼い頃難民キャンプで育ち、その後家族でアメリカへ移住したシーショーさんは、 図書館の本をまねて絵を描くことが好きな少年でした。 図書館に通っていた頃、絵によって救われた。 だから、絵を教える仕事に就きたいと願い、 その夢を叶えたシーショーさんを紹介します。

難民キャンプに住んでいた時、多くの時間を図書館で過ごしました

はじめまして。僕の名前はシーショーです。昔、メラマルアン難民キャンプに住んでいた時に、多くの時間を図書館で過ごしました。図書館でたくさんの絵を描いてきました。そして、今、僕はプロのアーティストになります。2017年3月にアメリカの大学を卒業し、アニメーションの学位を取ります。僕のすべては、難民キャンプの図書館から始まりました。

4歳の時に当時のビルマ国軍が迫ってきた村から逃げて、国境を越えてタイの難民キャンプにたどり着きました。いくつかの難民キャンプを渡り歩き、6歳の時からメラマルアン難民キャンプに住むことになりました。

図書館は、僕にとって第2の家でした

メラマルアン難民キャンプに図書館ができたのは、僕がまだ10歳頃だったと思います。図書館は僕にとって第2の家でした。学校がない土曜日は、一日中図書館で過ごしました。学校がある日も、お昼時間に毎日図書館に行きました。僕は絵本を読むことと、絵を描くことが大好きでした。図書館にある絵本はすべて読んでしまい、いつも新しい絵本が届くことを心待ちにしていました。それでも、絵本に描かれている美しい絵を見るために、すでに読んでしまった絵本でも、ページをめくることをやめられませんでした。僕が一番好きだったのは、お絵かきの日です。家にいても何も描くものがないので、図書館に行って絵を描きました。特にタイとビルマの美しい風景を描くことが好きでした。

シーショーさんが通っていたメラマルアン図書館

絵本コンテストに毎年参加していましたが、ずっと賞を取ることができませんでした。それでも、絵の描き方を学びたいと思い、図書館に毎日通い、絵本に描かれている絵を見ていました。そして、ある年、僕の絵が賞を取ったと知って、信じられませんでした。はじめて出版された絵本を見たときは本当に嬉しかったです。

シーショーさんが絵の部門で最優秀賞を取った2009年の出版絵本『2人の王子』。イラストレーターとして、Saw Si Soeと名前が書かれています。

 

子どもたちにアートの楽しさを教えたい

その後、2010年6月、アメリカに第三国定住しました。僕の人生はすっかり変わってしましたが、自分が世界の一部になれたと感じました。難民キャンプでは、何にも属していないと感じていたのです。それでも、アメリカに来てからはカルチャーショックで何もかもが容易ではありませんでした。大変な思いもしましたが、高校卒業後、ずっと関心を持ち続けていたアートを学ぶことのできる大学に進学し、絵画を専攻することができました。その後、専攻はアニメーションになり、絵画や映画製作、写真撮影の手法なども学びました。そして、2017年3月、無事に大学を卒業しました。卒業後、学校でアート、写真などを教えています。まだ叶うか分からないけれど、ゆくゆくはアニメーションの仕事に就きたいと思っています。

僕が難民キャンプにいたときは、図書館が知識を得る唯一の場所でした。今、難民キャンプにいる子どもたちには、ぜひ図書館で本を読み、世界を知ってほしいと思います。そして、自分の将来を考え、何になりたいかを考え始めてほしいです。そうすると、きっと夢が見つかりますよ。