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学ぶことが女性たちの未来を切り開く(後編)

2019.4.17   寄付募集中緊急救援

海外緊急救援の竹内です。2019年4月12日の夜、インドネシアのスラウェシ島沖でマグニチュード6.4の地震が発生しました。津波警報が発令されましたが、ほどなく解除されました。現地では、昨年の地震のような被害はありませんでしたが、地震によりパニックになった人もいたそうです。

2018年にスラウェシ島で体感した大きな余震を思い出しました。今回の地震の様子から、現地の人々の記憶に鮮明に昨年の恐怖が残っていることを感じました。2018年9月28日にスラウェシ島ドンガラ郡を震源とするマグニチュード7.5の地震が発生した後、皆さまの日頃よりのご支援の下、私は第一陣として現地入りしました。シャンティは2018年11月までに、1,200世帯の被災者に緊急救援物資を配ることができました。

【インドネシア・スラウェシ島地震】緊急救援物資配布報告

津波から1か月後

震災から1か月後
インドネシア・スラウェシ島 被災地の様子(2018年10月:地震から約1カ月後)

現在、シャンティは2018年9月末に発生したスラウェシ島ドンガラ郡を震源とするマグニチュード7.5の地震の被災女性を対象に、生計回復支援事業を行っています。先日、この事業に参加する女性たちが、活動開始前の研修に参加しました。

前編のブログでは、①ジェンダーに基づく暴力と女性の権利に関する研修についてお話しましたが、この後編では、②女性グループの役割や仕組みと③小規模ビジネスの研修についてお伝えします。

一人ではできなくても、みんなと一緒なら村を立て直すことができる!

研修では、女性たちに本事業の目的や活動の仕組み、各グループ内の役割について説明しました。この事業では、女性たちが身近な食材を使い、コーヒーやココナッツオイルといった加工食品を製造し、販売し、得られた利益が、女性たちの収入になります。得た利益から、さらに多くの食材を買い、このビジネスを継続していくことで、生活の基盤を立て直し、自分の力で災害から復興することを目指しています。

多くの被災女性が、家族や友人、家や仕事、かけがえのないものを震災で失くしてしまいました。災害から半年以上経った現在も、被災者の多くが簡易なテントの中で暮らしています。避難キャンプでは、女性たちが嫌がらせやジェンダーに基づく暴力といった身の危険にさらされることもあります。元手もなく、不安定な状況にいる女性が、始められる仕事は、ほとんどありません。

しかし、この困難な環境でも、シャンティが出会ったスラウェシ島の女性たちは、あきらめませんでした。一人ではできないけれど、同じ村のあの女性となら。同じ状況で困っている彼女となら。自分と自分の家族だけでなく、彼女と彼女の家族を支え、お互い助け合い、私たちの村を立て直したい。シャンティと現地NGO(KPKP-ST)は、自分の力で立ち上がることを決意した女性たちをまとめ、被災村ごとに女性グループを形成しました。

研修の中で、各グループでは代表、会計係、書記といったそれぞれの役割について、女性たちに説明しました。各グループの代表は、20年近く女性支援活動を行っている現地NGO、KPKP-STのメンバーが務めています。

シャンティと現地NGO(KPKP-ST)は共同で、以下のように各女性グループを支援しています。

・加工食品を製造するための資機材を供与します。
・質の高い商品を作るために、食品加工の研修を行います。
・売上を伸ばすための販売とマーケティングの研修を行います。
・ビジネスを拡大しながら継続していくために、会計と経営の研修を行います。
・活動の開始後は女性たちのビジネスが軌道に乗るよう、助言やサポートを行います。

インドネシア事業小規模ビジネス研修
研修で、現地NGO(KPKP-ST)の代表が事業について説明している様子

小さな仕事を始める前に、大きな夢を持ちましょう

小規模ビジネスに関する研修の講師は、シャンティと共同で事業を行っている現地NGO、KPKP-STの元スタッフであるエルヴィアンさんです。現在、彼女はインドネシア政府の中小企業と小規模ビジネス支援の部署で働いています。研修では、KPKP-STでの経験を元に、被災女性の苦難に心を寄せながら、お話くださいました。

「小規模ビジネス、つまり小さな仕事を始めるには大きな夢を持つことが必要です」彼女が研修の冒頭で、そう述べていたのが印象的でした。

「そして、その夢を叶えるためには、始めた仕事を続けていかなければなりません。ビジネス自体が継続できる仕組みであることだけでなく、みなさんが“続けていく”という意志を持っていなければ、仕事は上手くいきません。1人でやり方を考え、強い気持ちを持ち続けることは難しいと思われるかもしれませんが、協力しあい、お互いを支えあうことで、最初に抱いた夢を実現することができます。」彼女はそう続けました。

「まず、目標を立てて、次にそのための計画を練ります。そして、実際に計画通りにビジネスを行い、収支を計算し、活動の結果を自分たちで分析します。毎回、実際に行ったことを振り返り、その教訓を次の活動に活かすことで、小さな仕事を大きな夢に近づけていくことができます。」エルヴィアンさんは、数多くの中小企業を支援してきた手腕を活かして、女性たちにグループと仕事の運営方法を教えてくださいました。

シミュレーションで初めて知ったビジネスの仕組み

グループに分かれて、小規模ビジネスを運営するシミュレーションゲームも行いました。シミュレーションでは、食品ではなく、折り紙を使って商品を作りました。一見、楽しそうですが、最初に折り紙を購入するお金は銀行から借金して、ビジネスの利益から返済する設定になっており、とても本格的です。グループ内で代表、会計係、書記といった役割を決め、1か月間に設定された活動のスケジュール表が配られました。数時間のシミュレーションで、女性たちは1か月間の具体的な仕事のサイクルを体験しました。

小規模ビジネスシミュレーション
ビジネスのシミュレーションをしている参加者の様子

あるグループでは、会計係が計算を間違えて赤字になってしまい、メンバーに給料を払えなくなってしまいました。一方で、質の高い商品を作るために、作業を分担したり、折り紙の折り方を改善したり、メンバー同士で商品のチェックをして売り上げを伸ばすグループもありました。途中でお金が無くなり、銀行から借りなければなくなるグループも出てきましたが、借金を繰り返すと、銀行はなかなかお金を貸してくれなくなります。最後に、グループごとの結果を比べてみると、グループ内での協力の仕方によって、収入に大きな差が生まれることを参加者は知りました。

研修を終えた参加者からは、「自分たちで商品チェックをすることで、質の高い商品をたくさん販売できました。」「後回しにせずに、毎回、正確にお金の計算をすることがとても大切です。」「みんなで協力したら、効率的に質の高い商品を作れるようになりました」といった声があがりました。

研修の講師とスタッフ
シャンティおよび現地NGO、KPKP-STのスタッフと研修に協力してくださった講師たち

また、村の垣根を越えて、参加者同士で連絡先を交換したり、全員が参加するオンラインのチャットグループを作ったりしました。女性たちは遠く離れたそれぞれの村で活動を始めた後も、情報を交換し合い、教えあい、助け合うことができます。

ビジネスの仕組みだけではなく、このシミュレーションを通して、女性たちは協力すること、支えあうことの重要性を学びました。シミュレーションのように、これから、彼女たちは様々な問題にぶつかるかもしれません。しかし、研修で学んだ協力し、支えあうことで、問題を解決することができると思います。

みなさんに、彼女たちの復興と未来に向けて、ご協力頂けましたら幸いです。前後編のブログを読んで頂き、ありがとうございました。

学ぶことが女性たちの未来を切り開く(前編)

現在実施中の事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様のご支援を受けて実施しております。

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郵便振替: 00150-9-61724
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