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アフガニスタン事務所スタッフ来日イベント「絵本と図書館がアフガニスタンの教育にもたらした希望の光」開催報告

2019.4.17   アフガニスタンイベント報告

シャンティ・アフガニスタン事務所スルタナ・ハムラズ

2019年4月15日、東京・広尾にある聖心女子大学4号館/聖心グローバルプラザにて、アフガニスタン事務所スタッフ来日イベント「絵本と図書館がアフガニスタンの教育にもたらした希望の光」を行いました。シャンティ・アフガニスタン事務所から図書館事業を担当する女性職員スルタナ・ハムラズと事業調整員の浅木麻里耶が登壇し、アフガニスタンにおける教育の現状や、絵本や図書館がアフガニスタンの子どもたちに希望をもたらしている様子について報告しました。当日は、アフガニスタンに興味がある方を中心に、25人にご参加いただきました。

アフガニスタン事務所スタッフ来日イベント「絵本と図書館がアフガニスタンの教育にもたらした希望の光」

アフガニスタンにおける教育の現状

シャンティ・アフガニスタン事務所スルタナ・ハムラズ

アフガニスタンでは、学校に通うことのできない児童は370万人に上ります。また、学校に入学することはできても、欠席が常態化している児童は168万人にも上ります。

さらに、5割以上の学校に校舎がなく、いまだに多くの子どもたちがテントの下で授業を受けています。冬場には気温マイナス20度になることもあり、十分な暖房設備は整っていません。教員や教材の不足も問題で、特に女性教員が著しく不足しています。このように、アフガニスタンでは圧倒的に教育機会や設備が不足しており、まだまだ支援が必要な国のひとつです。

シャンティ・アフガニスタン事務所は、学校建設事業、学校図書室事業、児童の読書推進事業を継続的に実施しています。

アフガニスタンより来日したスルタナは、1冊の本が子どもたちの生きる力になっている様子を話してくれました。

私がシャンティで働く理由

シャンティで働くようになったのは、小学生の頃に母がくれた本がきっかけです。私はすっかり本の虜になり、それ以来、本のもたらす希望を信じて生きてきました。

シャンティで働く理由について紹介するスルタナ職員

シャンティで働く前は経済省で働いていましたが、あるとき、政府から離れたところで人々のために働きたいと思うようになり、自分の知識やスキルを子どもたちの教育のために使うことのできるシャンティに5年前に入職しました。アフガニスタンでは、現在も女性が外で働くことは歓迎されません。ましてや外国のNGOですので、当初は周囲から強く反対されました。しかし、父はいつも私を応援してくれ、他の家族にも大丈夫だと安心させてくれました。父の励ましなしでは、今私がこうしてこの場に立つことはなかったでしょう。

 

活動を通して見えたもの「ろう学校での思い出」

2017年、図書館事業を実施する学校の選定調査を行う中で、あるろう学校の存在を知りました。すぐに東京事務所に連絡し、ここで活動したいと意向を伝えました。
しばらくして、その学校が支援校に決定し、学校で本を並べ終えたとき、ふと「これからどんな風に活動していけばよいのだろう」と、初めてのろう学校での活動に少し不安な気持ちも覚えました。

ろう学校での手話を交えた絵本の読み聞かせの様子と働くことを応援してくれている父と家族の写真

しかし、その不安はすぐに吹き飛びました。私が絵本の読み聞かせを行うとき、学校の先生にそばに立ってもらい、1ページ進むごとに手話通訳してもらうと、子どもたちはとても喜んでお話を聞いてくれたのです。その楽しそうな表情を見て、私自身もとても嬉しくなりました。今では、彼らは自分で本を借りて読んでいます。

本の力を確信したアブドラくんのお話

ヘラートという町に、アブドラくんという男の子がいました。

彼は当時小学3年生でしたが、文字の読み書きができず、本も読めませんでした。テストの成績も悪かったため、学校では先生に怒られ、家に帰れば父親に「学校に行っているのになぜ勉強ができないんだ?」と言われるような毎日でした。

シャンティ・アフガニスタン事務所スルタナ・ハムラズ

そんなとき、公立図書館の児童スペースで初めて絵本と出合い、色鮮やかなイラストの美しさに魅了されました。しかし、彼は文字が読めないので本の内容を理解できません。悔しく思った彼は後日、弟を連れて再び図書館に行きました。そして、文字が読める弟に続いて、絵本の内容を何度も復唱したのです。

5カ月後、彼はついに文字が読めるようになり、テストでも良い成績を取れるようになりました。読み書きができるようになったことだけでなく、両親や先生も喜んでくれるようになったと、彼は日本の支援にとても感謝しています。皆さんからのご支援による一冊の絵本との出合いが、彼の人生をガラリと変えたのです。私は彼からこの話を聞いたとき、絵本や図書館のもつ力を確信しました。

先生たちに絵本や図書館の大切さを理解してもらうには

図書館事業を推進するにあたっては、はじめのうちは苦労もありました。アフガニスタンではまだ図書館自体が少ないため、図書館や絵本の価値を知らずに拒否反応を示す教員も多く、私たちが活動内容について説明したくても学校内にすら入れてもらえないことが多々ありました。

通訳を務めた浅木(左)とスルタナ(右)

しかし、シャンティのアフガニスタン国内での活動状況を知り、徐々に受け入れてくれる学校が増え、今では教育省や地域の教育局から職員あてに講師のリクエストを受けたり、図書館を設置する十分なスペースがない学校からも相談を受けたりしています。

日本のみなさんへのメッセージ

教育支援はとにかく時間がかかります。はっきりとした成果が表れてくるのは、5年や10年先のことです。

しかし、私が働いてきたたった5年の間にも、確実に子どもたちが成長していくのを見てきました。絵本や図書館との出合いを通して、子どもたちの表情や態度が変わっていくのです。私たちが行う図書館事業は、読み書きができるようになることとは違い、共感力や想像力が養われることだと思います。より多くの子どもたちが希望ある将来のために教育を受け、社会のために活かしてくれることを私は願っています。そして、日本の皆さんにも厳しい現実の中にいる私たちに意識を寄せていただけると嬉しく思います。

アフガニスタンについてのQ&A

スルタナによる講演の後は、アフガニスタンの現状や事業内容などについて、活発な質疑応答が行われました。

アフガニスタン事務所スタッフ来日イベント「絵本と図書館がアフガニスタンの教育にもたらした希望の光」

Q.日本とアフガニスタンの子どもではどのような違いがありますか?
A.多くの違いがあります。日本の子どもたちはラッキーです。ほとんどすべての子どもたちが教育を受けることができ、生まれた時から必要なものがすべて整っていますね。対して、アフガニスタンではこれまで30~40年もの間紛争が続いており、まだはじめの一歩を踏み出したばかりで、教育を提供するには人材や設備など不十分な点が多くあります。

Q.スルタナさんはどんなときに仕事へのやりがいを感じますか?
A.学校で子どもたちの顔を見たときです。一人一人の顔を見ると、とても誇らしく感じます。

Q.アフガニスタンの良いところは何ですか?
A.良いところも悪いところもあります。良いところは、美しい川や森などの自然環境です。一方、悪いところは、その豊かな環境を近年保つことができなくなっていることです。また、私たちを支援してくださっている方々に対して、直接感謝を伝えられないことや自分たちの成果を見せることができないことも残念に思います。

Q.女性という点で、働く上で困難に感じたことは何ですか?
A.教育を受ける権利に男女差はないにもかかわらず、女性や子どもは教育を受けなくてもよい、外に出てほしくないという考えを持つ男性がいまだに多くいるため、日ごろから「なぜ?」という出来事に直面しています。実際に同僚やカウンターパートと議論することもあります。教育を受けずに育った人にはその重要性が理解できないため、その現実と闘うことが困難に感じています。

本の力を信じて

アフガニスタンでは、今も厳しい現状が続いています。女性として男性と対等に粘り強く闘うスルタナ職員は、この活動が将来の子どもたちのためになると信じて、活動を続けています。一冊の本との出合いが子どもたちの人生を大きく変える世界で働く、現地スタッフのひたむきな姿に心を打たれました。

【イベント報告】
インターン 木村

  • 絵本を届ける運動
  • アジアの図書館サポーター
  • 本の力を、生きる力に。