2016.03.14
海外での活動

カンボジア初!「国民読書の日」~すべての人に、読書を

カンボジア

みなさま、こんにちは! カンボジア事務所の萩原です。

カンボジア初の「国民読書の日」を祝う式典が3月11日、王立プノンペン大学のホールで開催されました。

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ステージ上のバナー中央には、カンボジア初のクメール語辞典を編纂したチュオン・ナット大僧正。彼の誕生日である1883年3月11日を記念し、国民読書の日も3月11日となりました。

(詳しくは「カンボジアで『国民読書の日』が制定されました」を参照)

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教育省関係者、文化芸術省関係者、州レベルの 出席者は計1883人。これも、チュアン・ナット大僧正の生まれた年にちなんだものです。

式典開始前には、図書館や読書推進活動を行う団体制作のビデオ上映。シャンティが制作した「おはなしと読書推進」のビデオも上映されました。撮影はシャンティが支援した学校図書館で行いました。全編クメール語ですが、ご興味のある方はご覧ください。制作は「Social Compass」さんにご協力いただきました。

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「読書は教育の鍵です」

チュオン・ナロン教育省大臣のスピーチ。読書が教育、そして国の発展にとっていかに大切かを訴えました。シャンティなど、図書館や読書推進の分野で活動する団体への感謝の言葉もいただきました。

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ユネスコの代表者スピーチ。生涯学習にとっての読書の重要性について語りました。

続いて、おはなしや小説・詩の朗誦の披露です。

おはなしを行ったのは、昨年12月のおはなし&図書館大会・子ども読み聞かせ部門で優勝した、バッタンバンのヨン・ヤニーちゃん。今回の式典でおはなしを披露するため、招聘されました。

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おはなしは、コンテストで披露したのと同じ「かなしいお米」。今回は絵本ナシのすばなしに挑戦。「いつも絵本を持って練習していたのに大丈夫かな…」というこちらの心配をよそに、おはなしを完璧に暗記し、手振り身振りを交えての堂々としたおはなしっぷり。

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1883人の聴衆、そして教育省大臣等、政府高官を前に、さすがです。

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ちなみに、ヤニーちゃんはシャンティが図書館建設を支援した小学校の児童で、同校では読み聞かせの活動が熱心に行われています。シャンティの職員にとっても、ヤニーちゃんがこのような活躍を見せてくれたのは、とてもうれしいことでした。

続いて、王立プノンペン大学の学生や、文化芸術大学の教授による小説の朗読や詩の朗誦。

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歌うかのように朗読・朗誦をする声はとても美しく、「カンボジアには、とてもきれいな文化があるのだな…」と、私自身感激しました。

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教育省及びバッタンバン州教育局関係者、ヤニーちゃんとシャンティ職員。

中央右の男性は、シャンティと共に学校図書館の推進を行ってきた教育省次官のナット・ブンルアン氏。中央左の女性は、同じく教育省次官で幼児教育部門を担当されるキム・セタニー氏。

過去・現在お世話になり、共にカンボジアの教育の発展を目指す皆さんと「国民読書の日」を祝うことができたのは、とてもうれしいことでした。

かつて文字が読めるというだけで人が殺され、文化を大切にすることが否定されたこの国で、「国民読書の日」が制定されたのは画期的なことだと思います。

カンボジアで20年以上、図書館活動を通して教育・文化事業を行ってきたNGOとして、この日が単なる記念日にとどまらず、「Education for All/すべての人に教育を」「Library for All/すべての人に図書館を」「Reading for All/すべての人に読書の機会を」につながる日になっていくことを願い、幼稚園で、学校で、農村で、スラムで、教育支援活動を行っていきます。

カンボジア事務所 調整員 萩原宏子

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会場外の特設ブースにて、バッタンバン州教育局関係者、ヤニーちゃんと同校の図書館員と。ヤニーちゃんが持っているのは「かなしいお米」の絵本。隣に立っているシャンティ職員が持っているのは、シャンティがかつて復刻したクメール語辞典です。