2018.04.13
読み物

第九回「図書館にいる人びと」

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
人びとの声
図書館

こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所です。

第九回では、図書館を英語学習などのために活用している高校生の学生、コミュニティ活動に取り組み、将来は作家を志望する男性、そして将来を考えつつ様々な職業訓練を積極的に受講しているという女性の、3名を紹介します。

●「図書館にいる人びと」のストーリー

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「私の名前はノー・ミン・モーです。18歳です。2012年にカレン州からメラ難民キャンプに来ました。今は高等学校で勉強しています。初めて図書館に来たのは2014年で、ちょうど高校で勉強を始めたころです。学生寮の近くに図書館があったので来ました。
その後図書館は何度も訪れています。今日は、また新しい英語の本を探しに来ました。英語で書かれている本を読むのが好きなのです。英語のお話を読むのはとても面白いです。だいたいは一人で図書館に来ています。時々私の友達にこの図書館のことについて話します。なぜなら私の友達みんなが図書館についてまだ知っているわけではないからです。
ここに図書館が設立されたことをとてもうれしく思っています。いつでも来ることができ、無料で本を読むことができるからです。ミャンマーの私の故郷の村では、もし本を読みたいのであれば購入しなければなりません。買わなければ読むことのできる本はないのです。
高校を卒業したら、メパ(メラキャンプの近くにあるタイの市名)にある大学に進学を考えています。そして将来は私もソーシャルワーカーになりたいと思っています。」
―2018年1月、メラ難民キャンプにて


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「私の名前はメイン・ラ・トゥ―です。23歳です。メラマルアン難民キャンプには2006年に来てから10年以上住んでいます。私はカレン州出身です。今は、パワーメンター(PowerMentor)という団体でボランティアをしています。この団体では、国境地帯の貧困下にある人々を支援する活動を行っています。私は、読むこと、書くこと、そして支えを必要としている人びとを助けることに興味があります。
この図書館には、小学校の時からくるようになりました。学校のお昼休みによく読書をしに来たものです。私は、著名な人びとの伝記や歴史書を読むのが好きです。私にとって図書館を訪れる目的は、歴史と人びとの経験について知り学ぶことなのです。そして、いつか作家になって次世代のために何かを書けたらと思っています。
図書館は私たちのコミュニティの人びとにとって非常に便利です。ミャンマーでは私たちはもし本を読みたければ、図書の質によって一定の費用を支払わなければなりません。しかしこのキャンプにおいては、無料で読書ができます。お金を払わないでよいのです。ここでは私たちは、学校だけでなく図書館を通しても教育にアクセスする保証された権利があるのです。」
―2018年2月、メラマルアン難民キャンプにて


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「私の名前はノー・ラー・エーです。48歳です。2007年から、ウンピアム難民キャンプの第10地区に暮らしています。キャンプでは、裁縫や理髪・美容、料理などの職業訓練の教室に通っています。最近私は裁縫教室に参加し始めました。私のするこれらすべてのことは、キャンプ内において自分のスキルを向上させるためのものです。
これからのことですが、もし第三国定住で他国に移住できる機会があるのであれば、そうします。もしその機会がなく、しかしミャンマーに帰国しなければならないのであれば、そのようにします。キャンプ内で裁縫などの訓練を受けることで、帰還した際にはこれらのスキルを活用して収入を得ることができるでしょう。キャンプ内のコミュニティ図書館事業も、子どもたち、若者、そして大人にとっても非常に良いものです。私は週に2,3回はここに来ています。心から感謝申し上げます。」
―2018年2月、ウンピアム難民キャンプにて


個人的な感想になりますが、コミュニティ図書館はこのように自らの持つ目的や希望に向かっていくための一空間としても存在し、活用されているようです。ぜひ、このような積極的な図書館の利用が広がっていくといいと思いました。
また、お金も払う必要のない、だれにとっても開かれたコミュニティの空間の価値を再確認しました。日本では図書館を含めた公共サービスが発達していますが、そのような環境がどの国でも存在するわけでは全くないことを改めて認識します。同時に、国の資源や政府の能力、政治的意志が欠如している状況において市民社会が果たすべき役割についても、少し考えさせられました。

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ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所
田村