2018.10.18
海外での活動

ラオスの人々が日本へ

ラオス

皆様、こんにちは。ラオス事務所の玉利です。

ラオスの農村部では、児童数が少ない、また十分な数の校舎や教員が不足しているなどの理由により、複数の学年の生徒が一つの教室、1人の先生から授業を受ける複式学級が広く行われています。これは授業を受ける子ども達にとっては、直接先生から教えてもらえる時間が少なくなるので授業についていくのが大変ですが、先生方にとっても、限られた時間でどのように複数の学年の子ども達にそれぞれ異なる内容の授業を効果的に行うか、非常に難しい問題です。ラオス農村の郡ではこのような複式学級の割合が半分を超えているにも関わらず、複式学級指導のための適切な教材はなく、先生方も複式授業に関する研修をほとんど受けた事がありません。そこでシャンティ・ラオス事務所では国際協力機構(JICA)の協力を得て、2014年から教員研修や指導書作成を中心とした複式学級の運営改善事業を行なっており、この8月からその第2フェーズが始まりました。

その事業の一環として、9月24日から10月1日まで、ラオス政府教育行政官や教員養成校教官8名を対象に、札幌及びその近郊の小学校で複式授業の研修を行いました。研修の受け入れは、日本で複式及びへき地教育の分野で研究実績のある北海道教育大学が行って下さり、専門の教授の方々から日本の複式授業の事例や技術的な指導方法について講義を行って頂きました。

また、研修期間中に2度、日本のへき地にある学校を訪問し、直接日本の先生が複式授業を行っている様子を視察し、先生方との意見交換を行いました。学校では生徒たちにラオスの学校や子ども達の生活の様子についての発表を行ったり、一緒に給食を取ったりと生徒たちとの交流も行っています。参加者は生徒の学習意欲を高めるための様々な廊下の掲示や、先生と生徒が一緒になって掃除をする様子などにも大きな関心を寄せ、ラオスにも取り入れたいと話す人もいました。

最後の2日間は、参加者が2グループに別れて学習指導案を作成し、その指導案に基づいて複式学級の模擬授業を行いました。参加者は日本の複式学級で行われている教授法を果敢に取り入れており、その学習意欲の高さを感じました。初めての試みもあったのでさすがに予定通りの授業とはいきませんでしたが、経験を積んでいけば日本の教授法も取り入れることができるであろうと期待できる内容でした。模擬授業終了後は参加者同士で授業の振り返りを行い、講師の方々からも有意義な助言を頂きました。

日本での研修は無事終了しましたが、今後は今回の研修で得た知識をラオスの教育現場で生かすため、現場の先生方への研修や指導教材の作成など重要な活動が続きます。今回様々な方々のご協力で実施した研修がより意義のあるものとなるよう、ラオスに帰ってから研修のフォローアップや次の活動の準備を行っていきます。引き続き、皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。