2020.02.25
海外での活動

山々を越えて、学校に通う子どもたち

ネパール

ナマステ! ネパールのヌワコット郡で、これまで行なってきた事業の評価を実施しています。インタビューや現地視察などの調査をもとに、事業の評価を行うことで、よかったこと、よくなかったことを振り返り、その教訓を次の事業に活かすことができます。

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児童へのインタビューの様子

シャンティは、2015年のネパール大地震の際、緊急救援活動を実施し、その後カトマンズに事務所を開設しました。そして、被災した小学校の防災能力強化事業を開始しました。この事業では、被災した小学校で耐震構造の校舎の再建や、周辺校も含め、避難訓練や学校防災計画の策定方法の研修などの防災教育を行なってきました。

事業対象地、ヌワコット郡は、多くの先住民族、少数民族が暮らす山岳地帯です。そびえたつ山々の頂きや、山の斜面に立っている僻地の学校にも、子どもたちは、何時間もかけ、山を登り下りしながら通っています。

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ヌワコット郡の支援対象校の近くで暮らす親子

シャンティはこれまで、とても遠く、悪路で、アクセスの難しい学校も支援してきました。なぜなら、子どもたちが、地震で壊れた学校の再建を必要としているからです。しかし、このようなアクセスが難しい学校には、国際的な支援が集まりにくい傾向があります。

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支援対象校から下校中の子どもたち

車で片道数時間以上かけて、各学校を訪問し、教員や児童、保護者などに、本事業の成果や村全体へのインパクト、問題点、今後の学校の課題などについてインタビューしました。

インタビューで心に残ったコメントを紹介します。 本事業では、読書推進を目指し、各教室に図書コーナーとして本を配架しています。マヘンドラ校の校長先生が、「この事業の図書コーナーで初めて、子どもたちは本を手にしました」と言っていました。

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マヘンドラ校で算数の勉強をしている様子

ラムチャンドラ校の学校運営委員会の代表は、「頑丈な新校舎ができたので、子どもたちが今後、災害で被害を受ける危険性は、確実に低くなったと思います。シャンティの事業によって起きた子どもたちの変化は、私の息子に限って言えば、以前よりも勉強にもっと関心を持つようになりました。居心地の良い校舎と先生たちの良い指導のおかげで、息子は幸せに学校に通っています」と話していました。

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ラムチャンドラ校の子どもたち

各学校で避難訓練に参加した子どもたちは、地震が起きたらテーブルの下に隠れること、地震の揺れが止まったら、頭をかばんか手で覆ってあせらず、ゆっくりと事前に指定された安全な開けた場所に列を作って座ること、その後先生が子どもたちの人数を確認することなどを身振り手振りをつけ、一生懸命、説明してくれました。

インタビューの中では、もっと支援してほしいという声もありましたが、シャンティという一団体が全ての支援を行うことはできないので、もどかしい思いを感じることもありました。 ただ、これまで支援してきた学校で見た子どもたちの笑顔は、シャンティの活動の何よりの成果であり、シャンティの存在理由であると感じました。

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本事業は外務省のNGO連携無償資金協力の助成と、皆さまからのご支援を受けて実施しています。 皆さまのおかげで、大地震で学校が壊れてしまった子どもたちに、耐震構造の丈夫な校舎を届けることができました。ご支援いただき、誠にありがとうございます。避難訓練などを通して、本事業で防災について学んだ子どもたちなら、いつか災害が起きても自分を守り、知識を次の世代につなげていくことができると思います。

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「ナマステ!」校舎を再建した学校で元気に挨拶してくれた女の子

子どもたちの笑顔と未来につながる教育のため、引き続きご支援のほど、宜しくお願いします。

事業サポート課 ネパール担当 竹本