インドネシア伝統菓子「ドドル」が支える女性たちの笑顔
2019.5.1 緊急救援
Selamat pagi! 事業サポート課の石塚です。
現在、シャンティでは昨年、9月に大地震に襲われたインドネシア、スラウェシ島の被災女性を支援しています。この事業では、被災女性がグループごとに、身近な食材から加工食品を製造、販売し、収入を得ることで、復興を目指しています。
今回は、ある村のグループで作っているお菓子と、活動についてご紹介します。
3月に、シギ郡にある村の女性グループへ、資機材供与式を実施しました。そしてこのグループの女性たちが、受け取った資機材を使って生産するのは、「ドドル」です。
ドドルは、インドネシアだけでなく、マレーシアやシンガポールにもある、伝統的なお菓子です。米粉、黒糖、ココナッツミルクなどの原料を、大きな鍋で過熱し、じっくり混ぜ合わせて作ります。
甘酸っぱくもっちりしていて、日本のお菓子に例えると「ういろう」のような食感です。
フレーバーは色々、プレーンなココナッツやドリアン、ジャックフルーツなど季節や地域で採れる原材料によってバリエーションがあるようです。
生活だけではなく、心を支えるドドル作り
その日、この村のグループにはドドルを作るための資機材として、フライパンや鍋といった調理器具だけでなく、ココナッツミルクを搾りだす機械も供与しました。
ドドル生産用の資機材
資機材供与式が終わってから、グループのメンバーに、現在の生活について聞きました。彼女たちの言葉や視線、表情から、震災で家や仕事を失ったというつらい現実が伝わってきました。
一方で、「こうやって仲間と集まり、一緒に活動ができることが楽しみ」とか「早く活動を始めたいと心待ちにしていた」など前向きな声も聞こえてきました。
地震で今までの生活が一変し、生活再建に不安を抱いている女性たちにとって、このグループでの活動が生計回復としてだけではなく、癒しの一つとして、彼女たちの心を支えていく可能性を感じました。
ドドルを作る女性グループのメンバーと村のみなさん
供与式から約1週間後・・・
現地パートーナー団体のスタッフと村を訪れてみると、さっそくドドルの生産が始まっていました。活動場は、仲間と協力する女性たちの笑い声に包まれています。つらい現実の中でも、彼女たちが楽しそうに作るドドルは、どこか優しい甘さがしました。
震災のトラウマを抱えるスラウェシ島の人々が、このドドルを買って、その優しい甘さに癒されていく。そして、その優しさをまた、別の誰かに渡していったら。そんな優しい経済の循環が、スラウェシ島の復興の礎となるかもしれません。
お互いを支えながら、またどこかの誰かを支えている。人と人が作り、売り、買う。血の通った暖かい商いの仕組みが今、女性たちの笑顔を支えています。
資機材供与式の様子(前列真ん中:石塚)
現在実施中の事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様のご支援を受けて実施しております。