ココナッツオイルの作り方
2019.6.13 緊急救援
Selamat siang! 事業サポート課の永井です。
現在、シャンティでは昨年9月に発生したインドネシア、スラウェシ島地震の被災女性を対象に生計回復支援事業を行っています。この事業では、女性グループごとに身近な食材を使って、加工食品を製造・販売することで収入を得て、復興のための基盤を作ることを目指しています。
ココナッツオイルをご存知ですか?最近日本でも話題になっており、ご存じの方も多いかもしれません。ココナッツの果肉からとれるオイルで、料理に使うと、ココナッツのふんわりとした優しい風味が楽しめます。今回のブログでは、調理用のココナッツオイルを作っているグループの活動についてご紹介します。
女性グループのメンバーと彼女たちが製造したココナッツオイル
女性グループのメンバー、ヌルジャンナーさん
ココナッツオイルを生産する女性グループのメンバー、ヌルジャンナーさんは4人の子供を持つ母親です。ヌルジャンナーさんは家を震災で失い、半年以上経った今でも仮設住宅での生活を余儀なくされています。旦那さんは漁師ですが昨年の地震と津波以来、漁獲量が減ってしまっているため、ヌルジャンナーさんはこのココナッツオイル作りで家計を助けたいと思っています。
ココナッツオイル製造の様子
ココナッツオイル作りでは、まずココナッツの実の外側の堅い殻をナタで割って、白い果肉の部分だけを取り出す必要があります。この作業は手作業なのでとても大変で、時間もかかります。取り出された果肉は、供与した機械を使って粉砕し、絞ってココナッツミルクを抽出します。次にココナッツミルクを煮詰めて水分を飛ばし、さらに固形物を濾すと油分のみが残ります。これがココナッツオイルです。
このグループは主婦の方が多く、作業中は家での出来事や、家事に関することを話すことが多いそうです。作業のモニタリングに行ったこの日も、活気のある作業場は、女性たちの喋り声や笑い声に包まれていました。仲間と共に作業することで、震災のつらい記憶や不安を忘れられ、前向きになれるとヌルジャンナーさんは言います。
シャンティが供与した機械でココナッツの果肉を粉砕する様子
女性たちが作ったココナッツオイルの売れ行きは順調です。4月には約100本のボトルを生産し、8割がその月の内に売れました。しかし、ヌルジャンナーさん達は現状に留まるのではなく、更に販売量を増やしていきたいと考えています。現在は主に、女性グループのある村の中で近所の人や知人に直接売っています。これからもっといろんな場所でココナッツオイルを販売していくために、加工食品製造の研修で講師を務めてくださったアディアルティさんがジャワ島の都市部での販売に協力してくださるそうです。
アディアルティさんの研修についてご紹介したブログは下記のリンクから読むことができます。
インドネシアでは、都市部の富裕層や中間層の人々がココナッツオイルを購入します。しかし、ヌルジャンナーさんたちのグループが今後そういった人々をターゲットにするためには、乗り越えなくてはならない課題が大きく3つあります。
①品質の向上
インドネシアでは、ココナッツオイルは透き通ったものほど価値が高いとされていますが、グループの製品はやや色味がついたものが多く、また製造日によって色にバラつきがあります。今後は製造工程の見直しや品質管理の改良が必要になってきます。
②認証の取得
都市部においてスーパーマーケットなどで販売する場合、当局からの認証が不可欠になります。
③マーケティング
購買層を意識したパッケージの改良や、都市部での新しい販路の開拓が必要です。
これらの課題にヌルジャンナーさんたちは、シャンティと一緒に本活動を実施している現地NGO、KPKP-STや現地の行政と共に協力して取り組んでいく予定です。いつの日か、インドネシアで、ヌルジャンナーさんたちのココナッツオイルが使われた料理を食べたり、お土産に購入したりすることができるかもしれません。
現地NGO、KPKP-STのスタッフと話し合うヌルジャンナーさんたち
震災という苦境にもあきらめずにがんばっているインドネシアの被災女性のため、ご協力宜しくお願い致します。
現在実施中の事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様のご支援を受けて実施しております。