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日本NGO連携無償資金協力の一般管理費が増額

2019.7.6   東京事務所より

こんにちは、東京事務所の瀧です。

2019年4月9日(火)に河野外務大臣が記者会見し、NGOが開発途上国・地域で行う開発活動に対するODA(日本NGO連携無償資金協力[通称:N連])で、一般管理費を現在の5%から最大で15%まで引き上げる旨が発表されました。

外務省、ODAのNGO一般管理費を最大15%まで引き上げを発表 | 国際協力NGOセンター JANIC

NGOの組織基盤を強化し、自己資金拡大と認知向上をさせて、国内外での活動を広げることを目的としています。

一般管理費とは、総務や人事、経理といった、組織が事業を行うために必要な管理部門の費用で、人件費や事業所家賃、事務消耗品費なども該当します。

5%の一般管理費では「活動すればするほど常に赤字」?

特定の国を指定して寄付する場合、事業形態により異なりますが、通常、直接費の10-20%は本部の間接費へ充当されます。国際協力団体への寄付は、その全額が現地の人々が直接受け取る物資購入や活動経費に充当されるのでなく、組織が運営するため、それを届けるための管理運営コストがかかっているのです。

事業を行うには、集めた寄付の範囲で、計画し予算を立てて数ヵ月-数年間の間活動します。特定の個人やボランティアに依存しがちな、小規模のNGOで、代表の交代や、中核のメンバーの退職が起きると急速に弱体することがあります。責任ある活動を継続していくため、職員が安定的に働けることが必要ですし、本来は、給与体系や支給額には、仕事をする組織に対する貢献と評価が伴うのことも企業組織と同じです。

管理費割合5%は、継続的な労働を条件とした雇用賃金、自前の資金源拡大、認知度向上のための広報活動を始めとする、組織の基盤強化に充てることが難しい割合でした。

経理をしていると、管理費5%での公的事業は「活動すればするほど赤字になる」のがわかります。

個人や企業、団体からの限られた部分の寄付や補助金を事業間接費に使い、事業国や支援先を指定しない無指定の一般寄付や会費といった、使途が限定されない団体の意思でその使用目的を決定できる部分を、本部の運営経費に使うことになります。

政府資金であるODA事業をやればやるほど疲弊し、新たな寄付を集めることができない構造もありました。

一般管理費の割合を引き上げるための条件

今回発表された一般管理費を5%から10-15%へ引き上げる際の条件に以下のようなものが含まれています。

(1)過去3年間の政府資金以外の収入が経常収益に占める比率の平均が50%以上。

(2)一般管理費等の10-15%へ拡充導入後3年間、政府資金以外の収入が3年間拡大。

(3)「役務の提供等」における全省庁統一の競争契約参加資格を有している。

(4)過去に国際協力の重点課題に該当するN連事業実績を有している。

(5)過去3年間にN連契約上の違反行為等がない。

(6)事業終了後3ヵ月以内に適切な内容の完了報告書を,遅延なく提出。

(7)事業の完了に際し,特に一般管理費等の使途や達成成果について報告。

(8)国際協力の重点課題に該当するN連事業実績を有している。

(9)公益財団・社団法人または認定NPO法人の資格を有している。

注目点は、(1)の「政府資金以外の50%以上の収入を維持する」点だと思います。収入の過半を政府資金に頼るNGOは一般管理費15%を申請できません。つまり、政府資金に頼らず、自己資金の調達を維持できる団体へ15%を付与支援するということです。

その結果、NGOへ参入が後押しされ、ODAに競争原理が導入され、国際化の流れとともに、NGO間での統廃合、提携契約、合併、国際機関との提携の動きも出てくるかもしれません。

NGOを取り巻く環境が変わっても欠かせないこと

NGOの役割、強み、専門性は国際協力において欠かせないものであり、それを政府が認めつつあることは喜ばしいことだと思います。しかし、よりニーズの高いところへの支援を展開するためには、公的資金だけでは成り立たないところもあり、民間のご支援を頂くことでより継続性があり、柔軟性ある活動が展開できると思います。

国際協力への志を持って、現場へ飛び込む、若手の職員は国内、海外とも多いように思います。NGOを取り巻く環境や、価値観が変わっても、創立者の理念の忘れず、世界の困窮や弱者に寄り添う活動を引き継いでいってほしいと思います。

経理課 瀧 龍太郎

  • 絵本を届ける運動
  • アジアの図書館サポーター
  • 本の力を、生きる力に。