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「絵本を届ける運動」20周年記念イベント~絵本が拓く子どもたちの未来 開催報告

2019.12.15   イベント報告絵本を届ける運動

2019年12月3日、東京・広尾の聖心女子大学4号館/聖心グローバルプラザにて、「絵本を届ける運動」20周年記念イベントを開催しました。

絵本作家・翻訳家のなかがわちひろさんと、シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザーの鎌倉幸子さんをお迎えし、絵本が持つ普遍性と、絵本の力を実感したご経験をお話しいただいた本イベントは、おかげさまで定員を上回る方々からお申し込みいただき、当日は満員御礼となりました。

「絵本を届ける運動」20周年記念イベント~絵本が拓く子どもたちの未来

シャンティ国際ボランティア会は、2019年12月10日で設立39年目を迎えます。1999年から行っている「絵本を届ける運動」は20周年を迎えることができました。参加してくださった皆さまをはじめ、弊会の活動を支えてくだる皆さまに、心より感謝申し上げます。

本の持つ力

イベントの冒頭、シャンティ国際ボランティア会 会長の若林恭英よりご挨拶させていただきました。先日、タイへ逃れていた難民の帰還先となっているミャンマー国内の村を訪問した際、施設の完成セレモニーでスピーチした20代の帰還した難民代表の言葉に心が震えたそうです。

シャンティ国際ボランティア会 若林恭英
シャンティ国際ボランティア会 会長 若林恭英

「シャンティが運営している難民キャンプの図書館で、私は本の持つ力に気づきました。安心して暮らせる村にしていきたい」というスピーチを聞いて、弊会の理念が図書館を通して若い世代に受け継がれていることを実感したと言います。

「本は生きる目標、手段を見つけるための」

シャンティ国際ボランティア会専門アドバイザーの鎌倉幸子さんは、カンボジア事務所の職員だった頃の話をしてくださいました。

シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー 鎌倉幸子
シャンティ国際ボランティア会 専門アドバイザー 鎌倉幸子さん

「教育支援」という言葉は一方的に聞こえかもしれませんが、シャンティは「向き合うこと」を重視して39年間活動を続けてきました。祖国を追われ難民となった人々が帰還した時、その国を作っていくのは他の誰でもない難民だった人たち自身です。シャンティは一人ひとりと向き合いながら、想いに耳を傾け、一緒に活動を行ってきました。難民キャンプでの生活を支援するだけでなく、帰還後の生活が安心できる暮らしであるようにサポートするところまでが役割です。だから「本を届ける(=物を届ける)」だけではいけないのです。絵本を届けた後のアフターケアまで行うことが大事で、届けた「本」が生きないからです。

イベントは満員御礼

よく「まずはワクチンなど医療を届けることではないのか」と言われることがあります。ですが、私が考える医療は、あくまでも手段であり、本は「生きるも目標や手段を見つけるためのもの」だと思っています。

「絵本は今いる場所から一時避難できる手段」

なかがわちひろさんは、自身が翻訳された本「せかいでいちばんつよい国」(光村教育図書)や「ひみつのビクビク」(廣済堂あかつき)を通して、なかがわさんが考える絵本とは何か、絵本の魅力についてお話をしていただきました。

絵本作家・翻訳家 なかがわちひろさん
絵本作家・翻訳家 なかがわちひろさん

絵本はちょっとズルいです。そして。間口がひろいです。絵本にはかわいい絵やきれいな絵、ユーモラスな絵などさまざまな種類があるからこそ、幅広く人々に受け入れられています。老若男女問わず、警戒心を解いて心の中にスルッと入っていく絵本はズルいです。それが絵本の魅力です。絵本には絶対的なメッセージはありません。断定的ではなく、普遍的なのが絵本。だからこそ、受け取り方は読んだ人それぞれです。

子どもの頃に読んだ絵本の中には、理解できなかったり、気に留めていなかったりした部分がありますが、大人になって読み返してみると「もしかしてここはこういう意味だったのかな?こういうことを伝えたかったのかな?」と気づけることもあります。絵本は普遍的で奥深いです。かわいらしい絵の奥に深みがあります。

絵本の持つ普遍的な力について紹介いただきました

共感する力は、子どもたちの中に芽生えるもの。教えるものではありません。大人ができることは「共感する力」を芽生えさせるために心をくすぐってあげることです。それが、本を通してできます。また、今ここでない場所に一時避難ができる。それが本のすごいところです。本は震災で苦しんでいる人やいじめで苦しんでいる人が、今の置かれている状況から離れられる手段になることができます。

なかがわちひろさんへ一問一答

二人からのお話の後、参加者の方でグループを作り、「本とはなにか」について話し合っていただきました。

イベント参加者との交流会の様子
参加者同士の交流会の様子

各グループから寄せられた質問に、なかがわさんがユーモアを交えながら答えてくださり、とても盛り上がりました。

絵本作家・翻訳家 なかがわちひろさん

Q.心が荒んだ大人におすすめの絵本は?
A.荒んだ大人は相手にしていません(笑)。私は大人の中に子どもはいると思います。そんな大人の中にいる子どもに向けた本はあります。昔から「いい子どもの本は一冊で三度おいしい」と思っています。最初は子どもの時、次が思春期、その次が大人になったときです。荒んでいようがいいんです。どんな本でもじぶんに響く本を見つけてください。大人にならなきゃわからない本もあります。読むのは子どもだけれど、作るのも売るのも買うのも大人で、絵本は不思議な文化です。目指しているのは「対象年齢以上」で、いつまでも楽しんでもらえる絵本づくりを頑張っています。

Q. 子どもにとっていい本とは?
A.子ども全員にとってのいい本と選ぶことは難しいです。作り手は全ての子どもに好かれる本は無いことはわかっています。目の前の子どもをよく見て、その子にあった本を渡してください。探ってみてください。

Q.アジアの子どもたちに今後届けたい本は?
A.今の時点でははっきり答えられないです。ただ、より多くの本が届いてほしいです。いろいろな作家が出すさまざまなバラエティー豊かな本をたくさんの子どもたちに読んでほしいです。一冊でも多くの本が届いてほしいです。

最後になかがわさんからのメッセージ

このイベントを通して、自分の本がどのように読まれているか、どう感じとってもらえるのか知ることができました。この先、子どもたちのためにできることを、どこまで諦めないでできるかが私の挑戦です。

「絵本を届ける運動」20周年記念イベント

なかがわさん、鎌倉さん、普段なかなか聞くことができない「本」の作り手と、届ける人の想いについて、奥深いお話していただきありがとうございました。そして、寒い中ご参加くださったみなさまありがとうございました。

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