シャンティブログ

  1. ホーム
  2. シャンティブログ
  3. 今、考えたい「事実に基づく世界の見方」

今、考えたい「事実に基づく世界の見方」

2020.6.30   スタッフの声東京事務所より

こんにちは、シャンティ東京事務所、事業サポート課の谷島です。
自粛期間中、自宅で過ごす時間が増えたことをきっかけに、以前読んだ本や、読みたかった本を少しずつ読みはじめました。今回は印象に残った本についてご紹介したいと思います。

本とアジサイ

・ファクトフルネス(Factfulness)

ベストセラー本ということで、テレビなどでも話題になっていた著書です。
私たちは、世界で起きている色々な事象に関して自分なりの理解をしています。
冒頭に世界の状況に関する13問のクイズがあります。私が正解できたのはわずか3問でした(2014年のオンライン調査の平均正答数が2問ということだったので、少しホッとしました)。

例えば私たちは、「世界は分断されている」、「状況はどんどん悪化している」とか、危険でないものを恐ろしく感じてしまう等の思い込みを持っていたり、あるいは、問題をパターン化、単純化してしまったり、「今すぐ手を打たないと大変なことになる」というような焦りを感じることがあります。

こうした思い込みは、教育によるバイアス(偏ったものの捉え方)、メディアによるバイアス等による情報そのものにも起因しているものの、主に受け取る側の「本能」により、真実(事実)の理解が歪められてしまっていることが原因であることに気づかせてくれます。

そして、こうした「思い込み」についてまず認識したうえで、データに基づいて、世界を正しく見る習慣が必要である、と述べています。

その「思い込み」を回避する方法として、例えば「状況はどんどん悪化している」バイアスを回避するためのコツ(ネガティブなニュースに注意する、良い出来事やゆっくりした進歩はニュースになりにくい、過去は美化されやすい、悪いニュースの方が広まりやすいことを理解する等)や、こうした「事実に基づく世界の見方」を習慣化するためのヒントを紹介しています。

また、教育によるバイアスについては、学校教育を受けたときの担当教員自身が教育を受けた時代の情報がアップデートされていない可能性がある、という指摘もありました。つまり、先生が学校に行っていた当時の世界に関する古いデータが、そのまま教室で伝えられていることがあるというもので、なるほど!と思いました。

この「事実に基づく世界の見方」として、世界の人びとを「先進国」(Developed countries)・「途上国」(Developing countries)と2分する考え方ではなく、4つのグループに分けることを提案しています。約70億人の世界の人口を、レベル1(1日2ドル以下、10億人)、レベル2(1日2-8ドル、30億人)、レベル3(1日8-32ドル、20億人)、レベル4(1日32ドル以上、10億人)という4段階で捉えるということです。

このうち、最も多いのはレベル2ですが、今から200年前までは世界の85%がレベル1の極度の貧困下で生活していたこと、現在も10億人の極度の貧困にいるレベル1の人々がいることに気づく必要があり、レベル1~3の各段階の間に、それぞれ大きな隔たりがあることを改めて認識することで、より正しい理解ができるということです。

私たちが携わっている海外での協力の場面では、段階的な進歩を正確に捉えるためにも、こうした考え方がとても重要だと思います。そして、先のネガティブバイアスも考慮したうえで、よい出来事(成果)があれば、積極的に発信していきたいと思いました。

なお、著者のハンス・ロスリングさんは、この本を執筆していた2017年に他界されたそうですが、公衆衛生学や統計学を専門とする医師であったということで、もしご健在であったならば、きっとコロナ禍の現在の状況に多大な貢献をされたのではないかと思いました。
また、日本語訳も大変分かりやすくなっているので読みやすかったです。

キカラスウリ

さて、6月より、徐々に事務所での勤務が再開し、今年も事務所の近くでキカラスウリ(黄烏瓜)が咲きました。いつしか季節は進み、早いもので、もう夏です。明日から今年も後半期に入ります。今年の前半の半年間は、これまでに経験しなかった様々なことが起き、私たちの日常生活にも、予期せぬ色々な変化がありました。私たちが担当している海外事業の現場でも、依然として厳しい状況が続いており、今のところは担当者が現地に出張できる見通しが立っていません。このような時こそ、現地の関係者やパートナー、そしてご指導・ご支援を頂いている国内の皆さまと、より一層手をとりあいながら、私たちにできることに一つずつ取り組んでいきたいと思います。
そして、後半期が少しでも平穏でありますように、心よりお祈りしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

事業サポート課 谷島

  • 絵本を届ける運動
  • アジアの図書館サポーター
  • 本の力を、生きる力に。