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コロナ禍での地域学習カリキュラム開発事業

2020.8.20   ネパール

集合写真

ナマステ。ネパール事務所長の三宅隆史です。ネパールではコロナ禍のために3月24日から全土でのロックダウンが実施されたため、事業が停止していましたが、6月中旬から自治体の許可を得られれば、開発事業のための車輛の移動や少人数での会合を開くことができるようになりました。2カ月半遅れで「地域学習のカリキュラムの開発・普及事業」を開始することができました。

ネパールでは、2015年に多様性と地方分権を盛り込んだ新憲法が制定されました。それに伴い学校のカリキュラムも刷新され、新しく地域学習という科目が導入されました。日本の「総合的な学習の時間」と似ており、学校でカリキュラムを決めることができ、グループワークやディスカッション、フィールドワークなどを通じて子どもが主体的に、自分たちが暮らす地域について学ぶ科目です。しかし、ほとんどの自治体では資金と人材の不足のために地域学習のカリキュラムや教材が開発できておらず、地域学習の授業は実践されていません。

この事業は、マクワンプル郡ラクシランという先住民族が多く居住する農村自治体のすべての小中学校にあたる53校で地域学習の授業を普及することを目的とし、教員向け手引書と児童向け教材の開発、教員研修、授業実践のモニタリング、図書コーナーの設置、紙芝居の普及を3年間をかけて行います。

7月上旬に村長や自治体教育課、校長、先住民族組織を対象にこの事業についての意見交換会を行いました。村長は「ラクシランでは学校を卒業すると同時に首都カトマンズや外国に出稼ぎに行く若者が多い。経済的な理由が大きいが、ラクシランという村に愛着を持てないことも理由の一つだ。ラクシランには素晴らしい文化と自然がある。地域学習の授業によって、子どもがラクシランに生まれて良かったと誇りに思えるようにしていきたい」と述べました。また「これまで全く行われてこなかった地域学習の授業を本事業を通じて同村のすべての学校で実施していくことを決意する」と挨拶しました。

市長

そして、地域学習のニーズやリソースを明確にするためのワークショップを4つの地域で行いました。このワークショップには、教員だけでなく親や住民が参加し、ラクシランの良いところ、自慢できることを出し合って、地域学習カリキュラムに盛り込むべき項目を明らかにしました。その後、カリキュラム専門家、教員、住民代表が参加するカリキュラム開発ワークショップを開き、小学校1年生から中学校2年生までの学年別の単元、学習目標、学習内容、教員から児童への発問を含む学習過程・方法を考案しました。現在これらを整理し、イラストや写真をつけた教員向け手引書を編集しているところです。

ニーズリソース研修

カリキュラム開発ワークショップに参加したチェパンという先住民族のリーダーは「チェパンの文化や暮らし、伝統が地域学習カリキュラムに盛り込まれたことは喜ばしい。地域学習は子どもたちが多様性の大切さについて学ぶ機会ともなる」と話しています。コロナ禍において事業を進めるのは困難が伴いますが、だからこそ事業のパートナーである自治体職員や教員、住民はこの事業の大切さを感じてくれているようです。(本事業は外務省NGO連携支援無償の支援を受けています)

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