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シャンティな人たち「識字教室ひまわりの会|井口幸治」

2020.9.21   東京事務所より

1995年に発災した阪神淡路大震災。シャンティにとって初めての大規模な国内災害への取り組みで、すべてが手探りでした。大きな災害ほど、日常的に内在している課題が浮き彫りになります。そのひとつが、高齢者の多い市営住宅の巡回活動で出会った、在日朝鮮人の高齢の女性たちが抱えている非識字の課題でした。夜間中学校の教諭だった桂光子さんと出会い、神戸事務所スタッフだった藤井隆英さんを派遣し、1996年に識字学級「ひまわりの会」がスタート。現在は、地元のボランティアを中心に、23年間活動を続けられています。現在の様子を井口さんに伺いました。

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二つの願いから生まれた「ひまわりの会」

阪神淡路大震災の直後、藤井隆英さん(以下、隆英さん)の所属していたシャンティはいち早く救援活動を開始。その見回り活動の中で、字が読めない、書けないために公的支援が届かない被災者と出会いました。隆英さんとは「現在日本にこんな状況があるとは思ってもみなかった」と当時を回顧しています。
その方々は神戸市立丸山中学校西野分校の生徒でもありました。西野分校は現存する中で最も古い夜間中学校の一つです。その方々を介して、当時、西野分校教諭として定年を迎えようとしていた桂光子さんと出会うことになりました。
みんなの居場所を作りたい、卒業後も学ぶ場所が欲しいという二つの願いからひまわりの会は誕生しました。

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多くの種をさまざまな人生に蒔いてきた

口コミで広がり、1年後には学習者も支援者も急増し、場所が確保できなくなるほどでした。毎週事務所から会場まで、プリントや辞書、文具等を瓦礫が残る街を通り、隆英さんの運転する軽トラで運んでいました。
マンツーマンの学習から、グループ学習に変わり、場所もプレハブの文化会館から公民館へ移ったりする変化はありながら、ひまわりの会は多くの人々の出会いと成長の場となり、多くの種をそれぞれの人生にさまざまな地域に蒔いてきました。

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現在は、事務所の運営が困難になって手放し、学習者もスタッフも高齢化が進んで、人数も少なくなりました。4年前から、社会人、神戸大学、親和女子大学の3つのグループで持ち回りの一斉学習をしています。形は変われど若い学生と高齢の学習者がともに学び合う中で毎回毎回、大切な何かの種が蒔かれていると思います。

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文字を覚えることは、新しい人生を歩むこと

「ひまわりに来ると元気をもらえる」。これは学習者も支援者も同じ思いです。文字を覚えて、新聞が読めるようになった、区役所に行くのが怖くなくなった、とおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。ある学習者の方の作文にこんな一節があります。
(学んで)「やっと心が開けて、私も言いたいこと言ってええんや、と本音で、自分の言葉で言えるようになりました。文字を覚えたことも嬉しいですが、そのことが、何より嬉しいです。」

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識字は単に文字を覚えるということではありません。文字を覚えることは、新しい人生を歩むことであり、学ぶことは生きることです。学ぶ人の美しさは、人間の前向きに生きる美しさなのではないかと思うことがあります。
23年歩み続けてきましたが、識字を中心に据えつつ、人と人が出会う場に、元気になれる場であることは当初のままです。今後も、この歩みは変わらず、1人でも必要としている人がいるかぎり、できる形で続いていくだろう、また続けていきたいと思います。

「シャンティな人たち」

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.299 (2019年春号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

奈良大学文学部教授|嶋田学

シルクロード・バーミヤン・ハンディクラフト代表|安井浩美さん

生活協同組合パルシステム東京|山中裕子さん

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