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オンラインイベント開催報告 「忘れないでアフガニスタン~第二弾~」

2020.12.28   アフガニスタンイベント報告

はじめに

2020年11月24日~25日、アフガニスタンに関するジュネーブ閣僚級会合が開催されました。66か国・32機関の代表がこの会議に参加し、2021年から2024までの対アフガニスタン支援を確認し、2021年の一年間で総額30億ドル以上の支援、2021年‐24年の4年間で計152億ドルの支援が表明されました。4年前のブリュッセル会議と比べて、支援額は32億ドルも減額した形となりました。日本政府も、アフガニスタンの自助努力を前提に、年間1.8億ドル規模の支援を今後4年間も維持すると表明しました。

しかしながら、紛争が40年にわたって長期化し慢性的な人道危機に直面しているアフガニスタンに対する国際社会の関心は薄れています。今回の会議を受けて、ジャパン・プラットフォーム(以下JPF)アフガニスタンワーキンググループ有志団体*が、「忘れないでアフガニスタン~第二弾~」と題して、オンラインイベントを開催しました。6年前の2014年も、同じくロンドンで行われた復興支援会合を受けて、「忘れないでアフガニスタン」イベントを開催しました。今回は、コロナ禍で飢餓と栄養不良により1,240万人が危機的状況にあるとも言われる中、アフガニスタンの2001年以降の復興への道のりを退化させないために、アフガニスタンの現状を伝え、日本として今後アフガニスタンのために何ができるのか、そして政府と市民社会がどのように今後連携してアフガニスタンの困難な状況を少しでも軽減していけるのかについて、参加者と共に考えていきたいという思いで、開催する運びとなりました。

 

Afhan Blog

以下、簡単に当日のイベント報告をさせていただきたいと思います。

開会のあいさつ

駐日アフガニスタン全権大使のバシール・モハバット氏にて開会の挨拶が行われました。バシール大使は、アフガニスタンの復興に携わる日本の方々への感謝を述べるとともに、アフガニスタン復興の長い道のりと、自国を復興すべく奮闘してきたアフガニスタンの人々を忘れないでほしいと強く訴えかけました。

基調講演

次に、共同通信社カブール支局通信員の安井浩美さんによる基調講演が行われました。安井さんは、1993年よりアフガニスタンの取材を始め、2001年の同時多発テロ事件を契機に、共同通信社の通信員としてカブールに移住し、取材活動を続けて今日に至ります。基調講演の前半では、アフガニスタンで未だにテロ行為が止まない現状とその理由から始まり、今年のテロ組織による産院への襲撃で生後間もない赤ちゃんやお母さん、妊婦が殺された非人道的で残虐な事件についての話がありました。また、最近のポジティブな変革として、トルコで訓練を受けるアフガニスタンの女性警察官の話も触れました。講演の後半では、故・中村哲先生への思いを語り、日本のNGOの支援への期待を述べました。安井さんの現地の現状と熱意があふれるお話には、心を打たれた方も多いのではないかと思います。

Ms.Yasui(安井さんのプレゼンテーションのご様子)

パネリストによるプレゼンテーション

パネルディスカッションでは、JPF職員の進藤弘騎さんがファシリテーターとして、Jan Mohammad Ahmadian(Director, Afghanistan National Education Coalition Org. (ANECO )さん・Sabirullah Memlawal(Your Voice Organization 代表)さん・岡野恭子(外務省国際協力局民間援助連携室 主査)さんが登壇しました。

Jan Mohammad Ahmadianさんは、ANECO(アフガニスタン教育連合組織)のナショナルコーディネーターとして、今回のジュネーブ会議の結果を受けて、市民社会組織(CSO)が果たすべき役割とは何なのかについて、お話をしました。市民社会は、アフガニスタンの和平プロセスに参加し、暴力の削減、命を救うための恒久的な停戦、人権や女性の権利、法の支配、教育や経済が発展できるような長期的に継続する平和などの事項に、積極的に影響を与えるべきとしています。ANECOは、教育こそが平和をもたらす方法と考えていますが、アフガニスタンでは今もなお、教育へのアクセスが最大の課題になっています。そのために、ANECOはアフガニスタン政府に、教育に予算を配分するように、アドボカシー(政策提言)活動を積極的に働きかけています。

Janさんは、以下、3つの提言が、アフガニスタンの教育にとって大事だと述べています。1つ目は、安全な教育環境の確保です。近年、教育施設への攻撃が多くなっている中、いかなる団体も、教育施設を攻撃、あるいは政治・軍事的に利用してはならないとしています。2つ目は、教育分野への予算配分の拡充です。GDPの6%及びアフガン国家予算の15%を教育に充てるべきと考えています。3つ目は、成人識字・教育、職業訓練の拡充です。成人教育と職業訓練に対する国内予算を増加させ、教育と労働市場との関連を明確にし、職業技術訓練機関の卒業生を増加させたいとしています。

Mr. Ahmadian

(Ahmadianさんのプレゼンテーション)

Sabirullah Memlawalさんは、現地団体Your Voice Organization(YVO)の代表です。YVOはアフガニスタン東部で、保健、教育、平和教育の分野で活躍している団体です。Sabirullah さんは主に、コロナ禍による現地に住む人々の厳しい生活を紹介しました。内陸国であるアフガニスタンは、コロナによる国境閉鎖で経済が大打撃を受け、物価上昇に伴い人々の生活が困窮しています。YVOが緊急支援をしている家庭も、 ISIS(イスラム国)に家を奪われ、米軍のドローンがその家を攻撃し、家が全壊したという経歴を持っています。一家は、牧舎を借りて住み、 Sabirullahさんが訪れたときは、家に食器も、調理器具も何もない状況でした。その厳しい状況の中でも、地元の方々、特に若者と一緒に活動できるのは、アフガニスタンの希望だと感じていると Sabirullahさんは述べました。

Mr. Memlawal

(Sabirullahさんが訪れた支援対象者の家の様子)

外務省民間援助連携室・岡野恭子主査は、自身がアフガニスタンの国際協力を携わるようになった経緯について話し、先日のジュネーブ会議の内容および外務省民間援助連携室とNGOの連携体系について紹介しました。

Ms.Okano
(岡野さん)

その後、JPFプログラム・コーディネーター進藤弘騎さんは、ジャパン・プラットフォームについておよびアフガニスタンにおける事業の紹介をしました。

Shindo

(進藤さんの発表)

登壇者によるディスカッション

以下について、パネリストに話を聞きました。

Q:現在のアフガニスタンにおける子どもや女性の権利について教えて下さい。

Sabirullahさん:アフガニスタンの長い紛争や過激主義も影響して、女性と子どもの権利保護がなされてきませんでした。まず女性の教育はまだまだ足りていません。教育機関に行けたとしても、どこまで教育を受けられるかは本人ではなく家族が決めます。多くの家庭では特に父や兄が、女性は何年生まで学校に通うべきか、それ以上は行かなくてよい、と決めてしまいます。もし女性の高等教育が許されたとしても、どの分野を学ぶかは本人の意思ではなく、家族が決めます。さらに早期結婚も問題です。紛争によって多くの若い女性が夫を失っています。しかし、再婚は本人が決められません。こういった基本的人権が、女性から奪われています。アフガニスタンの子どもたちは、最も脆弱な立場にいてすべての危機にさらされています。児童労働や、早期結婚は多く、学校さえも攻撃されて、児童が犠牲になり、少年が、自爆テロ犯に訓練されたり、戦争の道具として使われたりしています。

Q:コロナウィルスは今どうアフガニスタンに影響を及ぼしているのでしょうか?

Janさん: 残念なことに、効果的な公共保健サービスの不足のため、人々は困難に直面しています。公立・私立学校は今年3月から8月まで閉鎖されました。保健省の助言により、8月23日までには徐々に行動制限やロックダウンは解除され、学校や識字教室も徐々に再開しましたが、状況はなかなか制御できていません。アフガニスタン保健省データによると、パンデミックが始まってから12月10日時点までにアフガニスタンの全34県で計48,753人のコロナ感染者が確認されており、子どもや高齢者を危険にさらしています。アフガニスタンは、感染の第2波に直面しています。感染症予防のための行動制限により、失業者が増加しました。特に日雇い労働の人々の雇用が減り、私立学校の先生は給料がもらえないという状況を生み出しました。他方で、アフガニスタンは物資を輸入に大きく依存しており、感染予防の規制によって食料の輸入が減り、大都市では大幅に価格が上がり、特に貧困家庭の子どもなどすべての人々に悪影響を及ぼしています。

Mr. Memlawal 2

(質問に答えるSabirullahさん)

Q:アフガニスタン支援に携わるために、アドバイスがあれば教えて下さい。

岡野さん:何がしたいということと、何ができるかということが大事です。アフガニスタン支援にはたくさんのアクターがあり、様々な視点から役割を果たしています。語学・専門知識など、色んな「武器」を身に着けた方がいいと思います。

アフガン女性の声

今回の復興会議では、女性の権利が取り上げられました。しかし、長年の紛争と社会慣習によって、アフガニスタンの女性は政治的・社会的に制限の多い生活を余儀なくされています。私達ワーキンググループ有志団体は、アフガニスタンの復興を考える上で、女性の声も欠かせないと考え、「アフガニスタンの女性を忘れないで」というメッセージを込めて、この「アフガニスタン女性の声」の時間をイベント中に設けました。
今回は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアフガニスタン現地事務所で働く、二人の女性職員の声を紹介しました。
お二人は、医療・教育・女性への家庭内暴力など、アフガニスタンの女性における様々な課題を教えてくれました。そして、いつかはこれらの課題の解決を願っていると、心の思いを述べてくれました。

質疑応答

今回はオンラインの質問フォームにより、参加者からたくさんの質問を頂きました。

Q:安井さんへの質問です。悲惨な状況を目の当たりにして、どうやって前向きになれるのでしょうか。

A:1993年に取材活動を始めた際は、まだタリバンが政権を握っていた時だったので、いつ爆弾が落ちてもおかしくない状態でした。今はかえって、「平和」になったといえます。悲惨な状況を見て、ショックな気持ちになるが、そんなことよりも、そんな状況になる背景について考えてしまいます。それでも、毎日楽しく前向きに生活することを心がけています。

Q:Sabirullahさんに質問です。外国人による支援は攻撃されやすいのでしょうか。

A:基本的には国際支援は必要です。特に、日本の支援はとても歓迎されています。これまでも私たちの日本の支援は問題なく行ってきました。他の国のプロジェクトは、軍事介入をしたことが大きく影響して、攻撃の対象になっています。

Ms.Yasui 2

(質問に答える安井さん)

結びに

今回のイベントは、国内外合わせて、120人の方々に参加して頂きました。参加者の皆様から、「アフガニスタンからの声や、実際NGOに携わっている方達の声を聞けたのでよかった」・「アフガニスタンの人びとのために現地で長年かかわっている人たちの生の声を聴け、最近の情勢、ニーズ、今後の展望などさまざまな視点でお話を聞けて大変有意義でした」など、嬉しいご感想やコメントをたくさん頂いております。この場を借りて、お礼申し上げます。私自身も、今回のイベントで、アフガニスタン支援に関わる方々の思いを聞き、身の引き締まる思いになりました。シャンティも、今回のイベントを糧に、引き続き、アフガニスタンへの支援に励んで参りたいと思います。

アフガニスタン事務所事業サポート 許 東音

*ジャパン・プラットフォーム(JPF)アフガニスタンワーキンググループ有志団体は、以下の団体です。

(特活)ADRA JAPAN、(特活)CWS JAPAN、(特活)ジャパン・プラットフォーム、 (特活)ジェン、(特活)ピースウィンズ・ジャパン、 (公社)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、(公社)シャンティ国際ボランティア会

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