古新聞と私とシャンティ、ちょっと青森 「入職のご挨拶」
2021.1.11 スタッフの声
「文字を読めることがこんなに素晴らしいなんて知らなかった・・・」
厳しい境遇の中で一冊の本を手にした子ども。
幼き日に教育の機会を奪われながらも必死に文字を学ぶお年寄り。
この言葉からはそんな遠い国の誰かが思い浮かぶかもしれません。
でも実はある日の私が、心の底から思ったことでした。
皆さまはじめまして。昨年11月に地球市民事業課に入職いたしました村松清玄(むらまつせいげん)と申します。主に外国ルーツの子ども支援を担当して参ります。どうぞよろしくお願いいたしします。
我がふるさと青森
生まれも育ちも青森県は南部地方。青森というと、「りんご!ねぶた!」とまでは皆さん勢いよく答えてくれても、あとはうーんと唸って「なんか雪多いよね・・・」くらいが関の山。
りんごの生産量が多いのも、ねぶたも、さらには雪がいっぱい降るのも左側の津軽地方で、私はなんとなく主役の座を津軽に奪われてる感が否めない、右側の南部地方は五戸町という田舎町からやって参りました。(南部地方も海に山においしいものいっぱいですので、ぜひお越しください!)
厳しい修行とある日の出来事
さて、なんの因果か寺に生まれた私は(妹を尼にするという手もなくはないが)幼き日より僧侶、そして寺の後継者になるという志とともに育ちました。頭を丸めてわらじを履いて、向かうは福井の深山幽谷、禅極まれる大道場。厳しい修行がはじまります。
質素な食事と3:30起床。失敗を繰り返しては怒られ続ける日々。
空腹と眠気に襲われながらも、無我夢中の毎日でした。
そんな私はある日、古新聞を敷いてロウソク立てを拭いていると・・・気づくと手は止まり、動くのは新聞の文字を追う私の目。
そう、それは厳しい修行生活に追われる中で久々に読む生きた文章、外の世界の知識でした。空腹も眠気も吹っ飛んで、私は文字を貪り続けました。
「文字を読めることがこんなに素晴らしいなんて知らなかった・・・」
活字が染み渡っていく感覚とともに、文字を読むことの素晴らしさ、そして知識を求める欲の深さを心から感じました。
青森に戻っても、様々な経験とともに忘れられないのはこの思い。
「明日死んだら後悔で終わる」と一念発起し、有難くもシャンティとのご縁を頂き上京して参りました。
思えば私とシャンティを繋いでくれたのは、1枚の古新聞だったのかもしれません。
私は英語も話せなければ、社会経験もありません。ただ、文字を渇望とする人たちと少しだけ、思いを共有することができます。
どうかこの思いを忘れず、「触媒」としてできる限りの力を尽くして参ります。
地球市民事業課
村松 清玄
(余談:その新聞記事には知らない政党名が書かれており、国際面かと思って読むと実は国内政治面!知らぬ間に政界は様変わりしていました。)