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【開催報告】アフガニスタン:「コロナ禍でも必要な人に必要な支援を」オンライン報告会

2021.5.18   アフガニスタンイベント報告

アフガニスタン:「コロナ禍でも必要な人に必要な支援を」オンラインイベント開催報告

2021年5月10日(月) 18:30~19:30

アフガニスタンにおいても新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く出る中、コロナ禍におけるシャンティの完了事業について報告会を実施しました。イベントにおいては弊会事務局長兼アフガニスタン事務所長の山本英里、アフガニスタン・プログラムアドバイザーの小荒井理恵、海外緊急人道支援担当の芦田雄太が登壇しました。

2021_Classroom

(イベントの様子)

 1.全体概要 

・アフガニスタンとシャンティの活動の概略について山本事務局長より紹介。人口は約3,900万人で、うち74%が地方に居住し農業で生計を立てています。シャンティは学校建設、絵本・紙芝居出版、図書館活動を行ってきており、2003年から活動を継続しています。成果としては39校の建設、93タイトルの絵本・23タイトルの紙芝居を出版、学校132校、公共図書館12館で図書室・児童スペースを整備しました。

・アフガニスタンでは2001年以降国内避難民が発生、しかし隣国に避難した難民を受け入れきれず強制帰還となった住民も多い。2020年末までに38万人の国内避難民(以下IDP)が発生し、うち58%が18歳未満の子どもが占めており、今後も継続的にIDP/帰還民が発生することを見越して活動を行う予定です。

・新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療施設の機能不全(病床のひっ迫、検査機関の機能低下)や生活困窮世帯の増加などの影響がIDP/帰還に及ぶ状況です。国内で既に60,563人(確認済み)が罹患し、正しい数値を図りにくい現状を鑑みつつ、今後も支援を続けていきます。

2.ナンガハル県及びクナール県における国内避難民・帰還民への保護・教育・水衛生支援(事業期間:2019年6月16日~2020年7月16日)

国内外で難民およびIDPが増加する中で、以下の状況に対して支援サービスが行き届いていない状況にありました。

  • ジェンダーに基づく暴力や社会的不平等による女性の基本的サービスへのアクセスが困難(Humanitarian Needs Overview (2019))
  • 50万人の子どもたちに対して、緊急教育支援が必要(EiEWG)
  • 人口の2/3が未改善の衛生環境で生活し、1/3以上が劣悪な水資源を使用し、高度な健康リスクにさらされている(Humanitarian Needs Overview (2019))

シャンティは当時の状況を鑑み、①女性のエンパワメント、②コミュニティベースの教室(CBC)による就学サポート、③給水用井戸開設・水衛生啓発の3点に基づく支援活動を実施しました。

女性のエンパワメント

女性に対してジェンダーに基づく暴力(以下GBV)に関する知識啓発・子どもの保護に向けた啓発をジャララバード市で実施。対象地域で短期・長期的に問題解決を行う女性シューラ(共同会のようなグループで、主に男性のみで組織されている)を形成し、女性の目線から課題解決を話せる環境づくりに寄与することができました。

2021 Shura

 (女性シューラの開催状況)

 30 ppl

(全体で30人の女性が参加しました)

更に女性センターを設立し、ジェンダーと人権問題について地元の教員や女性に向けた研修を行いました。子どもスペース(以下CFS)を女性センターに設置し、母子がともに活動に参加しやすい環境を作ることで育児やジェンダー特有の悩みを相談する環境を整えました。避難民および新型コロナウイルスの支援の一環として尊厳回復キット(ヒジャブなどの日用品)を配布し、緊急時においても日常生活をおくることができるよう支援を行いました。

このような活動を知ってもらうためのイベントや、非識字者向けの識字教室や手に職をつけやすい縫製教室を実施し、ほぼ全員の女性参加者がコースを完了しました。(識字教室:150人、縫製教室:75人)

今後も女性が主体的に集う場を保つため、プロモーターのキャパビル研修を実施したことで活動終了後も状況は維持されています。そして男性も含め、多くのコミュニティに対して上記の活動について説明、理解を広げることに尽力しました。

②コミュニティ教室 就学サポート

国内避難民・帰還民の子どもが地域内において十分な教育にアクセスできる環境づくりを開始しました。具体的には授業実施・新型コロナウイルス対応、緊急時の教育における理解促進に向けたコミュニティ・学校との会合、保護者会の実施を経て、教育の必要性とコミュニティベースの教育への理解を高めることに寄与しました。

Children in Classroom

 (授業に参加する子どもたち)

Parents Conference

(保護者会の様子)

給水用井戸開設、WASH啓発

井戸の維持管理研修をコミュニティの委員会で実施しました。井戸構造の理解から今後の管理を円滑に行うため、参加者の役割を明確にすることを中心に行いました。更にイスラーム法に基づく教えを尊重した上で、水関連の感染症を防止するための衛生啓発事業を実施し、衛生キットを配布しました。

H Kits

(衛生キット配布の様子)

3.アフガニスタン人道危機対応支援プログラムクナール県における国内避難民・帰還民への教育及び水衛生支援(事業期間:2020年3月27日~2021年3月26日)

避難民が国内の学校に流入し、結果的に学校が収容できる数以上の子どもたちが詰めかけ、現場は授業体制や学習環境を見直すことにしました。教育局への聞き取りにより支援ニーズを固め、校舎の建設や水衛生環境の改善等に努める事業を立ち上げました。より良い学校運営をコミュニティ内で実施するため、学校運営委員会をコミュニティに設立しました。参画者のジェンダー比率は5:5とし、校長、教員、生徒、学者(宗教学者)、生徒母親、コミュニティリーダー、教育局から多くの人々が参画しました。文化的側面に配慮し、男女別グループの設置・グループワークの実施により女性が参画・意見を出しやすい環境づくりに留意しました。

     Group Participant

(女性グループで会議を行う参加者)

Meeting...

(多くの参加者が話す様子)

多くの子どもが学ぶための仮設教室設置に向けて、現地住民が手に入れやすい材料で教室建設支援を実施しました。行政職員も参加し事業に関わることで、教室備品のチェックなど現場のニーズを知ってもらうよい機会になりました。教育環境を改善するために教員への教育用教材を配布し、水衛生施設(貯水タンク)や女子用トイレの設置により、子どもが安全に学べる環境を整備しました。教員から子どもへ適切な衛生教育を行うため、教員向けの衛生研修を実施しました。教員から子ども、子どもからコミュニティへ知識が伝わる様子がみられました。シャンティは参加者が正しい水衛生に関する知識をつけ、貯水タンク等の管理維持を行うよう研修を実施し、持続的に活動を進めていくよう支援を行いました。

Handwashfacilities

(手洗い場を使う人々)

FemaleToilet

(新設された女子トイレ)

4.ナンガハル県における新型コロナウイルス感染予防のための啓発と衛生用品および緊急食糧配布事業(事業期間:2020年4月27日~2020年8月12日)

コロナ禍で収入を失い、日々の食糧を得られない状態になった生活困窮世帯730世帯を対象に、食糧や衛生用品などの物資を配布しました。事業全体を通じて新型コロナウイルス予防と拡大防止に細心の注意を払い実施しました。衛生啓発として、手洗いの方法を体験型で実施することで、住民が日頃から予防と拡大防止の対策を実践できるよう努めました。説明資料にイラストを用いて非識字者や子どもでも理解しやすいよう資料形態を工夫しました。

ResearchStaff

     (裨益者選定のための調査をするスタッフ)

Distributing

    (物資配布の様子)

5.山本事務局長から芦田さん・小荒井さんに質問

質問1:小荒井さんには、この間事業サポートとして関わって頂きましたが、事業全体を通しての所感をいただけますか。

答1:ノンフォーマル(学校外)教育の有効性

学校に行く機会がなかった国内避難民・帰還民の女性たちの保護やエンパワメントのため基礎的な読み書き・計算(識字)能力や縫製スキルの学習活動を事業の一部として行ったが、アフガニスタンのコロナ禍において、教育活動の継続が難しかった学校教育と異なり、ノンフォーマル(学校外)教育を通じて、柔軟な方策で活動を継続できました。ノンフォーマル教育とは正規の学校教育制度の枠外で行われる組織的な学習活動ですが、この事例は学校教育の補完としてだけでなく、ノンフォーマル教育の重要性・有効性を改めて示すものであったと思います。

具体的には、3月14日にすべての教育施設が閉鎖後、教育省は公教育・ノンフォーマル教育にかかわらず、TV/ラジオなどの遠隔教育のほか、5人程度の少人数でオープンエアの場所での対面学習も政策上認めましたが、公教育では少人数の対面学習は実質的に行われませんでした。加えて、TV/ラジオにアクセスできる子ども・若者は限られるので教育格差が心配されました。他方、教育省識字局が管轄している15歳以上の成人の識字教育では、4月上旬には少人数の対面学習を始めることができ、非常に柔軟に、迅速に対応しました。公教育に比べ、ノンフォーマル教育が持つ学習場所や時間、人数等、実施に係る柔軟性が活きたと考えられます。SVAは中央と県レベルの識字局や教育局と綿密に調整し、NGOの現場レベルでの迅速性と、政府の政策・実施レベルでの迅速性がうまく合致した事例だと思います。

この取り組みにより、150名の学習者全員が規定の識字学習を修了し、小学校3年生と同等の修了証を教育局より受領しました。縫製コースも同様に実施し、コロナ感染予防のため女性たちがマスクを制作し、低価格で村人に販売し、今後の女性のエンパワメントの活動に活用する計画も立てました。

15歳以上の若者・成人の学習の重要性は、子どもに比べると国際的にも軽視されがちでですが、持続可能な開発目標(SDGs)にあるとおり、生涯を通じた学習機会の提供が重要であり、そのためには公教育と同時にノンフォーマル教育のアプローチを通じて有効に実施できることを改めて強調したいと思います。

質問2:クナール県は、東部4県でも紛争により支援が入りづらい地域だったと思いますが、その地域でシャンティとしてめて女性センターを実施しましたが、印象深いエピソードはありますか?

答2:現地に女性たちが集まって話したり、学習する場がなかなかないので、女性センターは貴重な場所としてうまく機能しました。どのような女性たちかというと、学校が遠い、女子のための学校がない、家事の手伝い、年齢が学齢より上になり親に通学を許可されない、紛争のため避難しなくてはならなかった等の理由で教育を受ける機会がなかった女性たちで、女性の保護のための研修、識字、縫製などを学ぶ機会を得て、本当に嬉しそうでした。学習者の一人は、「女性センターで識字コースに参加した日、どれほどhappyだったか、気持ちを言い表せないほどです」と教えてくれました。また、教師も学習者も女性のみということが、女性たちが安心して学び、家族も許可した大きな要因です。

なぜ学びたいか、というと、読み書きや計算などを学び、教育を続けたい、家族やほかの人を助けたい、などの声がありました。学習者の中には学び始めて3ヶ月目ですでにお母さんにアルファベットを教えているという女性もいました。

学習を通じてどのような変化があったか、15歳のファティマさんの声を紹介します。

「以前は人生において多くの障害があり、どのように解決するかを常に考えていました。今は文字の読み書きができ、お金を数えたり、支出を記録することができるようになりました。教育を継続し学校へ編入したいです。家で服を縫い、得られたお金で教育を続けると母に伝えたところ、私よりも母のほうが喜んでいました」

興味深いことに、女性センターで行われた識字、縫製コースは、事業終了後、コミュニティの人びとで独自に継続する決定をしました。学習者の中にはコミュニティの他の女性に教えたい、と意気込む人もいました。女性にとって学習機会が地域にほぼないため、自分が学んだら他の人にも教えたい、という想いは自然に湧き上がってくるのだと想像します。またイスラームの教えで、教育を受けている人は2人の人に教えなさい、ということも言われています。

6.質疑応答

今回はオンラインの質問フォームにより、参加者からたくさんの質問を頂きました。

Q:コロナ禍での事業実施となり、従来の事業実施方法と変更した点があれば、変更してみた結果これまでの事業成果と比べてどうだったか(従来の方法と同じような効果があった、別の効果があった等)について教えていただければと思います。

A:各事業によって影響は千差万別でした。特に教室設置などは対面での実施が必要なため、一部できない事業内容もありました。しかし活動を通してマスク着用の重要性・衛生的な意味合いを体験型で理解してもらえるなど、副次的な効果もありました。東京事務所とアフガニスタン事務所はもともと遠隔で連絡を取っていたため、マネジメントにおける影響はあまり見られませんでした。食糧配布も感染予防を鑑みながら行い、事業運営が円滑にいったと思います。

Q.アフガニスタンで週末に爆発事件が起きましたが、SVAアフガニスタン事務所職員の安否は?活動への影響はありますか?

A.活動地域ではないエリアで爆発が起きたため、幸運にも直接的にSVAの職員に被害は及びませんでした。現状について注意深く情報収集を行っています。

Q.報告の写真においてマスクを着けていない裨益者が多いのはなぜか?

A.写真撮影の間だけマスクを外しているケースや、新型コロナウイルスが蔓延する前の写真もあるためご了承いただけましたら幸いです。しかしマスク着用による感染予防の普及を行うのは、全ての住民に対する理解を求めるのはとても時間と根気を要する作業でした。随時マスクを着用していただけるよう、啓発事業に努めることで対応いたしました。

Q.たくさんの物資を裨益者はどのように持ち帰ったのか?写真で見る限り、1世帯で持ち帰るにはとても重そうに見えますが…?

A. SVAから荷台付きの三輪車を手配しご利用いただきましたが、コミュニティの住民同士でも車に相乗りしてめいめいに物資を各世帯に運ぶ様子も見受けられました。シャンティとしても車両を手配しましたが、住民の皆さんの協力が垣間見られる瞬間でした。

最後に

今回はお忙しい中、弊会の事業報告会にご参加いただき、ありがとうございました。シャンティは、今後もアフガニスタンで支援を必要としている人びとへの活動を継続していきます。引き続きご支援・ご厚情を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

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