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【寄稿】東日本大震災から10年―伝える心意気―(早坂文明)

2021.9.13   東京事務所より

年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。

シャンティ国際ボランティア会 理事
早坂文明 宮城県・徳本寺住職

 

千年先の未来に生きる人々へ

わが山元町は東日本大震災で甚大な被害に遭った。拙寺の沿岸部の中浜墓地は、壊滅状態で遺骨まで流出。その集落は小学校を除き1軒残らず流された。町内の600人を超す犠牲者のうちの2割強を占める。町内の沿岸部は災害危険区域となった。中浜墓地も移転を余儀なくされた。

2年後の3月、墓地跡に「鎮魂・東日本大震災石塔展」の縁で、古代五輪塔が建てられた。高さ3.8mという大きさを前に、私は「千年塔」と名付けた。大震災は千年に一度と呼ばれたが、千年先にも忘れず災禍を伝え、鎮魂と世の安寧を願ってのことだ。

 

叡尊と有馬師とのえにし

千年塔は、奈良県西大寺の日本最大級の五輪塔と言われる叡尊塔を等身大のモデルとして造られた。
叡尊といえばシャンティの創始者有馬実成師が、日本のボランティアの先達として、尊んでいた鎌倉時代の僧侶。ハンセン病者の救済や、橋や港湾の整備、寺社の復興など社会救済事業に尽力した。90歳で亡くなった1290年に、その足跡を慕って建てられたのが叡尊塔だ。

IMG_1023 千年塔と中浜小学校
千年塔と中浜小学校(2021年撮影)

奇しくもシャンティは震災翌年9月に拙寺の一隅に事務所を設け、山元町での移動図書館車の運行を始めていた。町内の9カ所の仮設住宅を巡回して、図書の貸し出しやお茶などを振る舞い、被災者の心に潤いをもたらした。その活動が呼び寄せたかのような千年塔である。

有馬師は自分の活動に行き詰まったときには、必ず奈良の叡尊ゆかりの地を訪れたという。そして再び勇気を取り戻すことができたと述べている。
大震災の光景は、地獄そのものだった。千年塔の雄姿は地獄で仏に出会ったかのようで、復興への先達となった。

 

ボランティアの心意気とは

この10年間で町は一応の復興を果たした。中浜墓地に隣接して、流出を逃れた中浜小学校には、震災時90人の児童や先生等が避難して全員無事救出された。
昨年9月、校舎は震災遺構として公開された。グッドデザイン賞にも輝き、復興のランドマークとなっている。
叡尊入滅後731年、有馬師没して21年、大震災より10年、ボランティアとは伝えるという心意気でもあろう。
 

本寄稿記事とニュースレターについて

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.309 (2021年春号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

【寄稿】ともに学ぶ(藤谷 健)
【寄稿】笑顔とテレビの間を埋めたい(高田博嗣)
【寄稿】難民キャンプから学んだ原点(八木澤 克昌)

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