2015.05.13
海外での活動

私たちがいなくなっても、図書館が育っていくために

カンボジア

みなさま、こんにちは。カンボジア事務所の萩原です。

シャンティが1990年代にカンボジアで図書館活動を始めてから20年超。その成果が実り、2014年に教育省の主催で初めて「認定図書館員研修」が行われ、先日正式に受講証明書が参加者に発行されました!
1
カンボジアにはそもそも、図書館員の育成制度がありません。これまで図書館員の育成はNGOがそれぞれの研修会で実施している状況でした。そのため、教育省として正式に研修会を実施し、参加者に受講証明証を発行したことは、大きな一歩だと考えています。シャンティは教育省と共に、この研修会のプログラム作りや一部プログラムの講師を務めました。

どんな研修会なのか、ちょっと覗いてみましょう。
こちらは2015年4月に実施した第2回研修会の様子です。

2
こちらは開会式の様子。教育省の小学校教育局、教員養成局、カリキュラム開発局の職員が並びます。

3
学校図書館スタンダードガイドラインについて説明するカリキュラム開発局のイム・モリーさん。
私を見つけるといつも、「ヒロコ!」と大きな声で声を掛けてくれる、元気なおばちゃん。

4
参加者の前で紙芝居の実演をする教員養成局のチア・シムさん。
表情は真剣、紙芝居を持つ手に力が入っています!

これらの教育省職員の皆さんは、シャンティがJICAとの協力で実施した学校図書館推進事業を共に実施した方々です。こうした方々が今、カンボジアの図書館のためにがんばっているのを見ることは、私たちにとってもうれしい瞬間です。

5
資料に目を通しながらメモをとる参加者。

6
グループワーク。

7
シャンティの職員も、おはなし読み聞かせの講義を教育省と協力して担当しました。
写真は少し小さくて見づらいですが、エプロンを使ったおはなし読み聞かせの様子です。

こうして、2015年の認定図書館員研修は無事終了。2014年の認定図書館員研修では、シャンティを含むNGOが開催費を支援しましたが、2015年は教育省自らが予算をつけて研修会を実施しました。教育省として責任を持って図書館員を育成していこうとの意思の表れであると思います。

* * *
8
こちらは1994年の写真。

シャンティは、子どもたちへの読み聞かせから図書館活動を始めました。
図書箱を携え、たくさんの学校を回りました。
「私もやりたい!」という先生たちの声にこたえて、図書館活動の研修会を各地で行いました。
2004年、JICAと協力してバンテイミンチェイ州での学校図書館普及事業を行いました。
その成果が教育省の目に留まり、学校図書館にかかわる教育省の人材の育成を行いました。
2011年、学校図書館政策の根拠となる「小学校図書館スタンダードガイドライン」が制定されました。
そして2014年、教育省主催の認定図書館員研修が初めて行われました。

カンボジアで図書館を育てていくことはかつて、NGOの役割でした。今もNGOに期待される役割は多々ありますが、政府がその役割をこれまで以上に担っていくことが大切です。カンボジアで図書館を育てていく『しくみ』をつくるお手伝いをすることで、引き続き貢献していきたいと思います。

私たちがいなくなっても、未来を生きるカンボジアの子どもたちが、素敵な図書館で本を読むことができるように。

カンボジア事務所 調整員
萩原宏子(バッタンバン駐在)

DSCN2252