2018.10.30
海外での活動

ラオス:カム族の村へホームステイ

ラオス

ラオス事務所インターン松永です。

雨季も終わりを見せ、朝夕はすっかり冷え始めてきました。

昼間は30度越えですが、朝夕は20度ぐらい…

日本でいう残暑が残る初秋という感じですね。

ラオスでは、日本で見るような赤、オレンジや黄色のカラフルな紅葉を見ることはできませんが、田んぼの稲穂が風になびく景色を目にすると秋を感じます。

「ラオスの秋をもっと感じたい!」ということで、先日、稲刈りのお手伝いをしに、カム族の同僚のお家にお邪魔してきました。

同僚の両親が暮らすナムカン村は、カム族とラオ族が共生する場所で、互いに違う言語を話します。カム族の子どもたちは、学校ではラオ語で学習するのでラオ語の読み書きはできます。しかし、40代以上の大人の中には、学校に進学せずに兄弟姉妹の面倒を見て幼少期を過ごしてきた人も数多くおり、ラオ語の読み書きができない人もいます。

同僚のお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんもカム語しか話すことができません。ですので、家族の会話はカム語です。

昼前に今回稲刈りをする田んぼに向けて出発です!

そこまでの山道は、舗装されておらず、未開の地に足を踏み入れるかのようでスリリング満載です。絶壁をバイクで走り、川の中を4、5人の男性がバイクを持ちながら進み、竹橋を渡って、30分ほどで目的地へ到着。

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新緑が生い茂る山々の中で、黄金色に輝く稲穂の光景は、「美しい」の一言に尽きます。

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同僚の親戚15名と一緒に稲刈りを開始。日本ではトラクターで稲刈りを行いますが、ここはラオスですからもちろんすべて手作業。

一束3、4キロはある稲穂を何往復もしながら運びます。男性は3,4束、華奢な女性も2,3束をいっぺんに運びますから驚きです。

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休憩中に、ある1人がこんなことを話してくれました。

「ラオスは後進国なので、開発を進めていかなければ、経済的に豊かな暮らしは手に入らないことは知っています。僕もお金を稼ぐために、村を出て、今はホテルで働いてます。きっとこれからも村に戻って農家を継がないと思います。ですが、両親が生きるこの生活様式すべてを否定しませんし、変えてほしいとも思いません。なぜなら、両親にとってこの田んぼがすべてで、これ以上の生活を望んでいるわけでもないですからね。」

彼のこの言葉は、「豊かな暮らしとは何か、人々にとって幸せとは何か」を考えさせられるものでした。

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一通り作業を終え、夕暮れに差し掛かるころに、みんなで1時間以上かけて歩いて村まで帰ります。

直射日光を浴びながら作業をしてきたので、きっと肉体的にも疲れているはず。

が!!!

ラオス人の体力をなめてはいけません。

帰り道も、夕食用のネズミや鳥などの小動物を狩ったり、山菜を積んだり、虫を取ったり、川で魚を捕まえます。

ラオスの山々と川は、「お金がかからないマーケット」と言われるほど、ラオス人の暮らしを支える基盤です。IUCN (International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)によると、農村に住む世帯が自然から手に入れるものを現金に換算すると年間3万1千円という結果が出ています。この金額をみると、ラオス人の公務員の平均月収が約2、3万円と言われている中で、ラオスの自然が人々に与える恩恵がいかに大きいものかがわかりますね。

自宅に戻ってからは、途中で捕った川魚や山菜を用いて夕食づくりです。香味野菜をたっぷり使って、一品一品丁寧に時間をかけて調理をしていきます。

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そして、家族みんなでごはんです。

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食事の最中に、同僚のお母さんがこんな話をしてくれました。

「私は、学校に通ったことはありません。大人になってから、ラオ語を学習しましたが、会話も片言で、今までたくさんの苦労をしてきました。山奥の村で今の夫と出会い、結婚して、子ども4人にも恵まれました。この子たちに私のような思いはしてほしくないと思い、子どもたちが小さいころに山奥での暮らしを捨て、学校がある今住む村に引っ越してきました。そして、4人全員を大学まで通わせることができ、私たちは今とても幸せです。」

「子どもたちに教育を受ける機会を」という思いを持ち、故郷を離れたご両親の決断は、決して簡単なものではなかったと思います。しかし、英断であったと思います。なぜなら、彼らの子どもたちは両親の教育への思いをしっかりと受け止め、その中の一人がシャンティの職員として、僻地の子どもたちの教育支援に今懸命に努力しているのですから。

私たちも彼のご両親の思いを受け止め、より多くの方々に教育の重要性を理解してもらえるように、より良い教育を提供できるように、私たちができることを精一杯頑張ってまいります。

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今回もお読みいただき、コップルニュアム!(カム語でありがとうございます)