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「こんにちは」が届くまで 49もの民族がいて、それぞれのことばを話す国、ラオス。この国では、授業を受けていても、先生が何をいっているのか分からない、そんな子どもたちがたくさんいるのです。

 

49の民族が話す、別々のことば

スタッフが現地で村の人の話を聞いているところをご覧ください

  

ラオスには49の民族が暮らし、異なる言語を話しています。それは日本の方言のようなものではなくほとんど別の国の言語なんです。

 

ラオ語を生活に使っている民族は全体の66.2%。
他の少数民族の子どもは、家では独自の言語を話し、
小学校へ上がって、はじめて国語であるラオ語に触れるのです。
そのため、ラオ語に不慣れな子どもたちは、教科書が読めず、先生の言っている事もわからず、
教育に大きな影響が出てしまいます。

ヴィエンチャン(首都)の大半の子どもは、 生まれて最初に耳にする言葉が、 既に共通語の「ラオ語」です。

ヴィエンカム郡の8割以上の子どもが、 生まれてから6年経ってようやく「ラオ語」を耳にします。

このような現状を改善するべく、シャンティはラオ語が母語ではない子どもへの教材として、紙芝居や絵本などを作っています。

  • 「母親を忘れたトラ猫」(ラオスの昔話より)

    出版元:シャンティ国際ボランティア会

    2000年出版。
    少数民族の子どもたちが聞いて慣れ親しんでいる昔話を絵とラオ語で表記することにより、「絵を見る」ことから「文字を読む」、さらに「物語を読みたい」という気持ちを育みます。子どもたちにラオ語に触れるための教材として絵本や紙芝居を出版しています。

  • 昔々、あるところに猫の母親と息子が2匹で暮らしていました。息子のトラ猫は怠け者で派手好きでした。息子は毎日何も仕事をせず、遊びほうけて、女の子のトラ猫を追い回し、ただ飲み喰いするだけの暮らしをしていました。

  • ある日、母猫が息子を呼んで普段の怠けてばかりの態度を注意しました。
    「体ばっかり大きくなって、お前は将来のために何もしていないじゃないか。
    毎日女の子と喋って、飲んで、喰ってばかりで、私の手伝いなんて全くしてくれないじゃないか」
    「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよ、お母さん。なんでそんな言い方するのさ。いつもちゃんと手伝いをしているじゃないか。
    それに、女の子となんて、しゃべってないよ。ただ友だちと話をしているだけだよ!」
    と息子のトラ猫は怒って家を出て行ってしまいました。
    母猫は息子が何も話を聞いてくれないので、とても寂しく思いました。

  • しばらくして、村で祭りがおこなわれました。息子のトラ猫は祭りに行きたくてしかたありません。
    一方、母猫は体調が悪くて行けないので、息子に一人で行くように言いました。
    しかし、実は母猫はウソをついていたのです。母猫も村祭りへ行き、隠れて息子の様子を見に行くつもりだったのです。

  • 息子は、村祭りで大酒をあおって酔っぱらっていました。
    母猫は、美しい女性の猫に変装して、たくさんのトラ猫の気を惹くために踊り始めました。
    変装した母猫が踊っているのを見つけた息子の友だちは
    「おい見ろよ。あのキレイな女の子はどこから来たんだろう?」
    友だちが話している声を聞きつけた息子のトラ猫は女の子に駆け寄って話しかけました。

  • 「ねぇ、どこから来たの?名前はなんていうの?」
    息子が話しかけても、女の子はただ微笑んで踊り続けるだけで、全く答えようとはしません。

  • 女の子が息子に全く興味を持たないことが分かっても、息子はあきらめず、どうか自分に興味を持ってもらいたくて、いろんな物を女の子にあげ続け、女の子はただもらい続けました。

  • いつまでたっても興味を持ってくれないので、息子はだんだん悲しくなり、また酒を飲み始め、酔いつぶれていしまいました。

  • あくる日になって息子が家に帰ってきました。
    息子の姿をみた母猫は村祭りはどうだったかと尋ねてみました。
    「村祭りは良かったかい? 楽しかったかい?」と。
    息子は
    「そりゃ、良かったよ。とっても楽しかったさ」
    と答えました。
    「そうかい。そりゃよかったよ。だけど、なんでお前は家に早く帰ってきて、私の看病をしてくれなかったんだろうね。
    まぁ、別にいいや。そんなことは気にしなくていいよ。ところで、村祭りでお土産か何かなかったかい?」
    母親が尋ねると
    「いいや、何もなかったよ」
    と息子が答えました。

  • 「何もなかった?そんなことないだろう。お前が全部、女の子にあげちゃったんじゃないのかい?」
    母親が言いました。
    「ちっ、ちっ、違うよ。女の子にあげたりなんてしてないよ」
    これを聞いた母親は怒りだし、昨日、息子がくれたものを全て持ってきました。
    「こりゃ、なんだい!昨日、全部お前がくれたものだよ!昨日のキレイな女の子は、実は私なんだよ。覚えているかい?」

  • 「えぇーっ!」息子は驚きのあまり何も言えませんでした。

  • 息子は家を飛び出して森へ向かって走り出しました。近くにいたニワトリや犬や豚やアヒルは、息子を見て笑い出しました。
    「なんて、バカなトラ猫だ。自分の母親の顔を忘れるなんて。酔っぱらって母親の顔を忘れるなんて、ははは」
    これを聞いた息子は腹を立てて怒鳴りました。
    「俺を笑ったヤツは、みんな喰ってやる!」

  • この日から、トラ猫はニワトリやアヒルやブタなどの家畜を見ると、急に怒り出して家畜を食べてしまうようになりましたとさ。

村出身の女の子のお話「先生になる」

教員養成学校に通う女の子のお話。
「私の住んでいる村から教員養成学校までは通える距離ではないので、
県都に下宿をしながら勉強をしています。
卒業したらこの村に戻ってきて先生になりたいです。
この村は貧しいですが、子どもたちには希望を失わないでほしい。
それは教育の力でできることだと信じています」
国語はラオ語で教えますが、子どもたちが分からなければ、
ちょっと自分の民族の言葉も使って教えます。
「まずは学校を怖がらないで来てもらいたいです」

家の1階で機を織っていた女の子。学校ではくスカートを織っています。
この村のどの家にも1階には機織り機があります。
民族に伝わる柄の布を織り、スカートを作る。そんな丁寧な生活をしています。
村のあるヴィエンカム郡はラオスの中でも貧しい郡の一つです。

プーカン村の村長トンヴィンさんのお話

「私の願いは子どもが先生になって、この村に戻ってくること。
今、この村の出身の先生はいません。
今建設中の小学校で学び、進学して、教員養成学校で学び
先生になって故郷に帰ってきて欲しい」
少数民族の子どもたちが話す言葉や
この村での生活を知る先生が増えれば、
「先生のようになりたい」と学校に来る
子どもたちも増えることでしょう。

シャンティはルアンパバーン県ヴィエンカム郡のプーカン村で 小学校の建設、トイレと給水タンクの設置を行っています。 72家族592人の住民がいる村の村長・トンヴィン氏は54歳。 小学校の建設現場にも足しげく通っていました。2013年10月現在この学校は完成しています。

もっと知りたい!ラオスのこと

まずはもっとラオスという国を知ろう!

ラオス料理の基本は唐辛子。この唐辛子の辛味をきかせた肉味噌をたぷっり入れた汁麺の「カオソーイ」がラオス北部のルアンパバーンの名物。 東京の吉祥寺にある「ランサーン」ではラオス料理を味わう事が出来ます。

▶ラオスを知るための60章
▶ランサーン

シャンティがラオスで行う活動を知ろう!

人口660万人の半数以上が49の少数民族からなる ラオス。どんな片田舎に生まれても「教育」を受ける権利はある。権利を「絵に描いた餅」にしない活動に取り組みます。

▶ラオスでの活動について
▶シャンティブログ(ラオス)

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教育の底上げにご協力ください。本は、配っただけでは活用されず、研修会は、1回の実施では身に付きません。シャンティの行う教育・文化支援活動にご協力ください。

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