この絵本、こんな理由で断念しました
届ける絵本を選ぶ上で、どうしても断念しなくてはいけない時があります。とてもいい絵本なのに…と、その度に苦しい思いをしているのですが、この苦しさをどうにか昇華すべく、せめて皆さんにコラムという形で共有してみようと思います。
絶版、もしくは在庫が足りない
「絵本を届ける運動」で届ける絵本のひとつとして選ばれた場合、少なくとも200冊、多い時は1,000冊以上がまとめて必要となります。
しかし、「この絵本を届けよう!」と決めて、出版社に問い合わせてみると「そんなに在庫がありません…」と言われてしまう、もしくはすでに絶版となっていることが時にあります。シャンティだけのために印刷してもらうわけにもいかず、泣く泣く諦めます。
他の国にはない縦書き
すでにお気付きの方も多いかもしれませんが、「絵本を届ける運動」で届けている絵本のほとんどが横書き(左とじ)です。この理由は、縦書きを使用しているのは日本だけで、他の国はすべからく横書きのためです。
縦書きと横書きが混在していると、ページのめくり方が絵本によって異なり、子どもも大人も混乱してしまうため避けています。
細かい説明が入っている
情報量が多く、子どもたちだけでなく大人の学びにも有益な、科学やのりものをテーマにした絵本。ぜひとも活動地に届けたいのですが、何を隠そう、つくらねばならない翻訳シールの数とサイズが大きなハードルとなり断念することが多々あります。
翻訳絵本づくりは所要時間を1時間程度と設定しており、翻訳シールの数が増える、もしくは細かくなればなるほど、翻訳絵本づくりや確認作業にかかるさまざまな負担が大きくなってしまうので難しいのが現状です。
日本語の文字数が多すぎるものも…
日本語から活動国の言語に翻訳すると、文字の量が多くなることがほとんどです。そのため、そもそも日本語の文字数が多い絵本は、翻訳シールがかなり大きくなってしまい、絵本のページに貼りきれず諦めることがあります。
今後届けてみたい1冊
このほかにもあらゆる制約をクリアした本が、届ける絵本として選ばれ、活動地の子どもたちの手にわたっていきます。日本にはすばらしい絵本がたくさんあり、届けたいと思うものは年々増えています。
絵本の壊れやすさなどから断念しているのが仕掛け絵本です。
大きく飛び出すものや、引っ張って動くものなど、子どもたちにこれまでの絵本とはまた一味違ったワクワクと学びを届けられると思うのですが、翻訳シールの貼り方の工夫や壊れやすさ対策などクリアすべき点がまだまだあります。
また、子どもたちから人気な情報量が多い本といえば図鑑ですが、現状の翻訳絵本づくりの流れでは何時間あっても終わらなさそうです。解決できる方法があれば、今後届けてみたい絵本や本がまだまだあり、試行錯誤は続きます。
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