ミャンマー「第二回おはなし大会2020」盛会なり
ミンガラバー!ミャンマー事務所インターンの川村です。
ミャンマーでは2019年「第一回おはなし大会」に引き続き、2回目となる「おはなし大会」が開催されました。
「おはなし大会」とは、児童図書(絵本、紙芝居、パネルシアター等)を使って、子どもたち向けに読み聞かせ実演を行い、その場で審査するコンテスト形式の大会です。シャンティがアジア各国で図書館活動の柱、また教育の原点として位置付けている「読み聞かせ(おはなし)」。今日はその一部始終をお届けします!
ミャンマー情報省、教育省との協働、そして国際交流基金、Toyota Aye&Sons(TTAS)、個人の方の協賛を頂いたお陰で今回の会が実現しました。さらに、バンコクから朝日新聞、八木沢アジア地域ディレクター、ヤンゴン事務所、ピー事務所、さらにはパアンから中原ミャンマー国境事業事務所長を始めとするパアン事務所メンバーが駆けつけ、主催側のシャンティは総勢30名体制で臨みました。
会場の外に展示された移動図書館用のオートバイとバナー
おはなし大会を待ちきれない子どもたちの様子
空き時間に絵本を読みふけるトヨタのボランティアスタッフ
開会式での弊会スタッフによる読み聞かせで会場は大盛り上がり(使用絵本『おおきなかぶ』A.トルストイ.福音館)
「参加者数は去年の3倍に」
コンテストに参加したのは、公共図書館職員、寺院学校の先生、そして公立小学校の先生たち。2019年第一回おはなし大会も際は、西バゴー地域から参加者を募り、28名の参加がありました。今回は、西バゴー地域のみならず、東バゴー地域からも参加者を募ったことで、総勢87名の参加がありました。当会では、2014年から西バゴー地域の公共図書館の整備、2018年から学校図書館の整備、同年より対象地域を東バゴー地域にも拡大し、より多くの子どもたちがおはなしに触れる機会を作るべく、活動を行っています。本大会では、東バゴー地域からの参加者も臆することなく、子どもたちの前で堂々と読み聞かせを行っていたのが印象的でした。
子どもたちを魅了する東バゴー地域からの参加者(使用絵本:『おおきなかぶ』A.トルストイ.福音館)
おはなしが始まると、教室内の空気がガラッと変わり、眠そうだった子どもも、注意散漫だった子どもも、じっと絵本を見つめ、時折笑顔を浮かべたりして、おはなしにくぎ付けに。
読み聞かせをする先生の実演にも熱が入ります。
おはなしの展開に興味津々な子どもたち
審査結果を待っている間はトヨタによるアクティビティで体を動かします。
「笑いあり、涙ありの2日間」
絵本、紙芝居、パネルシアターのジャンル別に参加者が競い、入賞者が決まりました。実演前に緊張した顔を見せる参加者、おはなしが始まると実演に集中し、教室内に一体感を生み出す参加者、読み聞かせの本にちなんだ詩を作ってきて、読み聞かせ後に披露する参加者、さらには入賞し、思わず涙する参加者も。
絵本『はらぺこあおむし』に出てくるあおむしを紙で作り、子どもたちに見せる参加者
「教員の私たちがもっと本を手に取って、読書の大切さを若い世代に伝えたい」
紙芝居部門『ミ・エの一杯のカレー(2018年シャンティ出版紙芝居)』入賞者による実演
紙芝居部門では、東バゴー地域のタウングー県からの参加者が『ミ・エの一杯のカレー』で見事1位に輝きました。30年近く公立小学校の教員をしている彼女は56歳で、参加者の中では最高齢でした。
「私は小学校1年生のクラス担任をしています。児童に話すときはいつでも、物語の一部を引用し、伝えるようにしています。そのほうが、よく話を聞いてくれますから。シャンティが移動図書館の対象校として選んでくれたおかげで、本が読みたくても読めない状態から脱することができました。しかし、私たちの住むタウングー県には、アクセスが悪く、取り残されている地区がまだまだありますので、どうかその地域にも本を拡充してほしいと思います。教員自らが本をもっと手に取ることの重要性、また若い世代に対しても読書を推進していくことの重要性を伝えていきたいです。また来年もおはなし大会に参加するつもりです。」と語ってくれました。
「ここからが本当の始まり」
2日目の閉会式にて、ミャンマー教育省代表は「おはなし大会はここで終わりましたが、本当の始まりは今からです。ここから各々が各学校や公共図書館に知見や技術を持ち帰り、実践することからすべては始まるのです。」と公共図書館職員や教員たちを鼓舞していました。教育省側からも来年の開催を期待する声が聞かれています。
自由読書時間に好きな本を読む子どもたちの様子(『ゾウくんのあめふりさんぽ』なかのひろたか.福音館)写真©むくおうた
長く続いた軍事政権下で培われた暗記中心・教員中心の教授・学習方法を切り替えるのは容易ではありません。ですが、読書の実践(まさにおはなし大会)を通じて、子どもたちがおはなしの世界に触れ、自身の世界を広げていくことができることを願っています。
本大会の入賞者たち
弊会スタッフで記念撮影
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ミャンマー ピー事務所インターン 川村 真由