ラオス:つながりを大切にするモン族の正月
こんにちは/サバイディー。
ラオス事務所の木村です。
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。
もうすぐ2月になるところですが、正月の話題です。
ラオスに来て驚いたことのひとつに、“正月が多い”ことが挙げられます。多民族国家のラオスでは、コミュニティごと異なる時期に正月を祝うのです。
1. 国際的な正月(1月1日)
2. ラオス正月(4月)
3. 民族ごとの正月(民族ごとに異なる)
4. 中国正月(1月末~)
このうち、先月12月下旬から1月上旬にかけて、モン族が正月を迎えました。モン族はラオス人口の約1割を占め、ラオス三大民族の一つとして知られる少数民族です。
ラオス事務所には2人のモン族のスタッフがいますので、どんなことをして過ごすのか教えてもらったところ、民族のアイデンティティや一族の結束が強いといわれるモン族らしい点をいくつか聞くことができました。
正月3ヶ日は儀式が目白押し
モン族は精霊や祖先を信仰しています。新年が明けてから3日間は、先祖や霊とつながりを持つために各家庭で様々な儀式や行事が行われるそうです。
例えば、先祖の霊を家に迎える儀式。多くの先祖が家に集うと、その家族に無病息災や繁栄をもたらしてくれると信じられています。
何だか日本のお盆に似ています。
また、Xim Kaabという富をもたらす精霊も信じられており、この精霊を迎える儀式も行われます。Xim Kaabは家に幸運をもたらしてくれるだけではなく、未婚の女性には、男性との良縁を運んできてくれるのだそうです。
他にもいくつかの儀式があるようですが、これらはすべて村の中、主に各家庭で執り行われます。この3日間、村人は慣習上、村の外に出ることはないそうです。
コミュニティで祝うお祭り
3日間の儀式の後には、近隣の村々が集まり、お祭りが始まります。
広い会場の中心にステージが設けられ、音楽や踊りが披露され、屋台もたくさん並びます。
<だだっ広い林に設けられた会場にたくさんのモン族が集まります>
特徴的なのは、やはり“まり投げ”です。
男女が2列に分かれて向かい合って並び、ボールを投げ合います。参加するのは主に独身の若者です。なぜなら、このまり投げは、山岳民族のモンの人々にとって、結婚相手を探すお見合い的な役割を担っているためです。男性が気になる女性を見つけたら、一緒にまり投げを始めます。もしお互いに気が合えば長く続きますし、ボールを落とせば相性が合わなかったというサインになるのです。
<まり投げの様子>
しかし、山間の村を離れ、普段は町に降りて生活している若者も多い今では、久々に会った友人同士や同性同士、世間話をしながらまりを投げ合うことも多いそうです。
<友人とまり投げを楽しむ女の子>
<まり投げに使われるボール>
また、色鮮やかな民族衣装も見所です。
随所に刺繍の施された色鮮やかな民族衣装は、基本的に女性の手作りによるものです。さすが、手先の器用なモン族です。似たデザインに見えるものでも、細部は所々違う色や柄で作られており、一つとして同じものはありません。
<小さな丸い装飾は貨幣をかたどったもの>
<プリーツがたっぷり使われた可愛らしい衣装>
<比較的シックなデザインのものもあります>
ルアンパバーン郊外で開催されていたお祭りでは、カップルや家族で色をそろえた衣装を着ている人々の姿も多く見かけました。
<子どもたちも大人と同じように着飾ります>
モン族の正月は、先祖や精霊などの信仰対象とのつながり、また家族や親しい友人とのつながりを大切にしながら、家族の繁栄を願う意味合いが強く、やはり結束力の強いモン族らしさが表れているように感じました。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
ラオス事務所インターン
木村沙弥香