2020.03.01
海外での活動

勉強よりおカネ… ~マーケットの物乞い少年の本音~ in ピー

ミャンマー

ミンガラーバー!(こんにちは!)

ミャンマー、ピー事務所にてシャンティ2020年春期海外研修プログラムに参加させていただている、押田悠希と申します。現在大学4年生で、ピー事務所の伊藤プロジェクトマネージャーの出身校、法政大学に通っています。

ミャンマーは乾期を迎えており、天気は毎日雲一つない快晴で、最高気温は30度を優に超えています。日本のどんよりとした湿気はないので、暑くても過ごしやすい気候だと個人的に感じています。しかし、乾期であるがゆえに、自動車やオートバイの排気ガスで大気汚染がひどいです。自分が滞在している宿から事務所まで自転車で通勤しているのですが、たまに排気ガスを吸いすぎてクラクラしてしまう時もあります。

ピーに関するネガティブキャンペーンはここまでしといて、本題に移りましょう!

物乞いをする少年との出会い

物乞い少年と同居している親戚

物乞い少年と同居している親戚

東南アジア観光の目玉となるスポットといえば、ナイトマーケットですよね!田舎町ピーにも一つナイトマーケットがあります。ダウンタウンにそびえ立っているアウンサン像の真後ろに!夜は多くの人で賑わいを見せており、私もおいしいローカルフードを食べに頻繁にこのマーケットを訪れます。

ピーのアウンサン像

ピーにあるアウンサン像

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ピーあるナイトマーケット

ある日、このマーケットで夕飯を食べていたところ、小さい桶を持った男の子が私のもとへ歩いてきました。そして、何かをミャンマー語で喋りながらその桶を差し出してきました。そう、彼は物乞いをしていたのです。最初は無視するつもりでしたが、薄く黒く汚れ使い古された服を着ている彼を横目で見ると、何かしてあげなければという衝動に駆られ、ポケットから1000kyat(日本円で約70円)を桶に入れました。その後、少年は立ち去り、また違う人に駆け寄り物乞いをしていました。日本でもホームレスの人が物乞いをしている場面は幾度か見てきましたが、子供が物乞いをしているの場面は初めて見ました。そして、それは自分にとってかなり衝撃的な映像として脳に刻み込まれました。

「何か自分にできないかな…」

その衝撃的な経験を機に、「本当に私のお金で彼らの将来に役立つのだろうか」や「彼らを貧困から救い出すために自分に何ができるか」など自分なりに考えあぐねていました。また、それ同時に、彼らが実際にどのような生活をしているのか知りたいという好奇心が抑えられなくなりました。そして、「彼らに直接インタビューをして、その内容を共有して、彼らの生活改善のために何か少しでもインパクトを与える」というアイデアを思いつき、ミャンマー人の友人の通訳協力の下、最終的に二人でインタビューを決行することになりました。

勉強よりもおカネ…

インタビューを初めて3日目に、ナイトマーケットで物乞いをしている少年を見つけました。早速話しかけて、インタビューに答えてくれるか聞いてみたところ、キョトンとした表情を浮かべながらも了解してくれました

インタビューをする友人とそれにこたえる少年

インタビューをする友人とそれにこたえる少年

以下がインタビューで得た少年の情報です。

少年の名前は「チッアウ」さんで、年齢は12歳。家族には父と母、二人の兄がおり、二人の兄は別の町で働いている。母親は目が不自由で働らけず、父親はマッサージ師として働いているが、収入が安定していない。チッアウ君は6歳の時に、幼稚園をやめて以来学校教育を受けいていません。幼稚園をやめてすぐの時には、ペットボトルや缶を集めてお金を得ていましたが、ある時知り合いに物乞いを教えられ本格的にシフトチェンジしたといいます。

そこでいくつか質問してみました!

1.Q,「一日に平均どれくらいもらえるの?」

A,「一日平均で4000kyat、最高でも8000kyatだよ。めったにないけどね。あとは、時々ナイトマーケットの人に重いものを運ぶ仕事頼まれて、お金を貰う事もあるよ。」

2.Q,「そのお金をどうやって使っているの?」

A,「普段はお米を買うけど、多くもらえた時は卵も買うよ。あと、たまに親の借金返済のためにお金を渡さなきゃいけないこともあるよ。今まで全借金50000kyatのうち30000kyatは僕が払った」

⇒Q,「その借金が返済し終わったら、学校に戻れるの?」

A,「家族が一人でも働くのをやめたり、物乞いをやめてしまったら、家族全体が生活できなくなってしまうから無理。今お父さんは病気だけど、無理をして働いている。」

3.Q,「どういうときに幸せを感じる?」

A,「大きいお金をもらえた時と仕事を頼まれた時かな。

⇒Q,「学校に行くよりも幸せなの?」

 A,「そうだね!」

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チッアンとその家族が住む家

※インタビュー内容掲載・写真使用は了承済み。

インタビューを終えて…

今回のインタビューで分かった彼の生い立ちや生活は自分の想像をはるかに超えていました。最後の質問に対して、彼が放った「学校に行くよりもお金をもらう方が幸せ」という発言は彼の今までの生い立ちが大きく反映されたものだと思います。6年間学校で教育を受けず、物乞いをし続けてきた彼にとって、お金をもらうことが何よりの幸せになっているのです。そんな彼の発言を聞いて、「本当に私のお金がこの子の役に立つのか?」という疑問に対する答えはより一層見えてこなくなりました(今もわかりません)。それと同時に、自分がどれだけ恵まれた環境で生まれ育ったかをこれまでにないくらい強く感じました。日本という恵まれた裕福な国に生まれ、屋根のある家に住み、三食くいっぱぐれることなんてなく、幼少時代はゲームや野球で遊び、小中高すべての教育を受けてきた私は、世界で最も幸せな人々の1人に違いありません。もっと言えば、日本人は日本に生まれ育ったというだけで大きなアドバンテージと思った方が良いのかもしれません。今回インタビューに協力してくれた、チッアウさんとその家族の方々、そして、通訳をしてくれた友人に心から感謝を申し上げます。

最後に

内容はシャンティと直接関係のあるものではありませんが、シャンティが事務所を置く町、ピーのリアルを少しでも深く知る機会となっていただければと思い書かせていただきました。

研修期間も残り1週間となり、「帰りたくない」という感情が日々強くなっています。ピー事務所、東京事務所の皆様だけではなく、支援者の方々などシャンティに関わる皆様のおかげで、私が今までにない貴重な経験を体験させていただいています。自分が今まで訪問した孤児院や学校建設の現場、学校図書館、そして、シャンティの支援よって生まれる子どもたちや先生たちの笑顔が見れるのもすべてシャンティに関わる皆様の努力や支援がなければ見れなかった産物です。このような機会を与えてくださったシャンティ国際ボランティア会、そして、そのスタッフと支援者の皆様に感謝申し上げます。研修を通して得た経験をいかにして次のステップにどうつなげていくかというのを日々意識しながら、研修期間の最終日まで自分にできることを最大限実行していきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ピーのイラワディ川沿いにある公園から見えると夕焼け

ピーのイラワディ川沿いにある公園から見えると夕焼け

2020年春期海外研修プログラム ピー事務所 押田悠希