卒業生を送る会が開催されました タイ・シャンティ学生寮
こんにちは、広報・リレーションズ課の吉田です。
卒業、入学など、新しい生活が始まる季節ですね。
先日、タイのシャンティ学生寮では、卒業生を送る会が開催されました。本日はその様子を含め、タイのシーカー・アジア財団がパヤオ県で運営する少数民族の中高生が暮らす学生寮について、ご紹介いたします。
今年もシャンティ学生寮で、卒業生を送る会が開催されました。
2021年3月31日に、シャンティ学生寮(タイ・パヤオ県)で、卒業生を送る会が開催されました。今年は4人の寮生が高校を卒業し、3人の寮生が中学を卒業しました。
卒業する寮生と保護者を迎え、現在の寮生、寮生の出身の村の住民委員の方たちを招きささやかに行われました。
卒業する寮生たちは、民族衣装を着て参加しました。モン族の民族衣装は、手刺繍が施されています。この衣装は、寮生の母親が、息子や娘のために一針一針刺繍して仕立てられた衣装です。
今後の進路について、3人の寮生が大学に進学、中学を卒業した寮生たちは職業訓練校に進学が決まり、この季節に退寮します。
今年はコロナ禍によりオンラインでタイと日本を繋ぎ開催されました。オンラインでは、ご支援者であるシャンティ山口事務局長の佐伯昭夫様、シャンティ国際ボランティア会のスタッフが参加し、卒業生たちへお祝いのメッセージを贈りました。
卒業生の保護者からは、「時には実家に帰っておいで、両親が会いたがっているから」というメッセージに、オンラインで参加した私は目頭が熱くなる思いでした。
送る会に参加した学生寮のOBからも、寮生たちへ激励のメッセージが送られました。
毎年、寮生たちから両親へ、感謝の気持ちを伝える場面があります。寮生が両親にありがとうを伝え、両親が寮生を抱きしるシーンでは、男子寮生が目に涙を浮かべ、寮のスタッフからがんばれと声を掛けられる場面があります。寮生たちの成長と感謝の気持ちが伝わり、心温まる瞬間でした。
卒業した寮生からのメッセージ
高校を卒業した寮生(男子)
卒業した今、学生寮を振り返って
私は実家がある村を出て、シャンティ学生寮で6年間暮らしました。学生寮で過ごせてとても嬉しかったです。同じ村出身の友だちもいるし、他の村出身の友だちや後輩たちとも出会えたからです。お互いに助け合って過ごしてきました。退寮した今、学生寮のことが恋しいです。一緒に暮らした後輩たち、友だち、先輩たちのことを想っています。
今学生寮で暮らす後輩たちへ
一生懸命学んでください、両親にとって良い子でいてください、社会にとってよき人になり、社会によいことをしてください、分からないこと、できないことがあれば、いつでも寮の先輩や寮のスタッフを頼ってなんでも相談してください。
将来について
将来は、自分の村に戻り、両親や村、社会のために良いことができるようになりたいです。
1996年に始まったこの学生寮を、創設期から支えていただいています
特定非営利活動法人シャンティ山口様、山口県曹洞宗青年会様は、この学生寮の創設期から長きに亘りご支援を頂いております。シャンティ山口様は、元々はラオス内戦で難民となり、タイの山岳部に逃れた少数民族の人たちが暮らす貧困の村を対象とし、新しい農業手法により持続可能で希望の持てる生活を目標に農村開発に取り組まれています。エコトイレ普及開発事業や森林再生事業等も展開されています。この度、シャンティ山口様は第23回日本水大賞(2021年)を受賞されました。心よりお祝い申し上げます。
タイ北部で暮らす少数民族の子どもたちが置かれる状況
タイ北部の山奥の村で暮らす少数民族の子どもたちは、村に小学校はあっても、中学校が近くにない、という状況があります。村から一番近い中学校まで30km以上離れていることも少なくありません。学校までの距離という理由で、中学校への進学を諦める子どもたちもいます。村で農業を営む世帯は貧困世帯が多く、農業の収穫があった時のみ家族の現金収入になります。学びの機会がないと世代間に渡り、貧困の負の連鎖が続いていきます。
学びの機会をつくるシャンティ学生寮
シャンティ学生寮(タイ・パヤオ県)は、少数民族の中高生たちが共同生活を行う学生寮です。村から学校までが遠く、中学校や高校に通うことができないという少数民族(モン族、ミェン族、アカ族等)の中高生が、寮で暮らし、奨学金を受けながら公立の学校に通っています。寮では、職業訓練として農業を行っています。寮生たちは、稲作や畑作、家畜の世話を通して農業を学び、収穫は寮での自分たちの食事の材料ともなります。寮生たちは、炊事や清掃など分担し寮の運営にあたります。自給自足の生活を目指しています。中学校の入学と同時に入寮した生徒は、初めて親元を離れての生活になりますが、先輩たちが後輩たちに寮での生活を教えます。先輩たちは後輩の宿題を見て、分からないところを教えてあげたり、後輩が寂しがっているときは本当のきょうだいのように接し、下の子の世話をします。寮で一緒に頑張った寮生たちの絆は強く、寮のことを「第二の家」と話す寮生たちもいます。現在は家族を持ち、働く元寮生たちが、学生寮に来て寮生たちを励まし、差し入れをしてくれます。元寮生たちが今の学生寮を支えるOB会が結成されています。シャンティ国際ボランティア会の元タイ事務所であるシーカー・アジア財団が運営を行っています。
困難な状況にある子どもたちへ、学びの機会を支えてくださる皆さまに、心より御礼申し上げます。
卒業される寮生の皆さん、本当におめでとうございます!
これからのご活躍を心よりお祈りいたします。