東日本大震災後 2012年に開設 「陸前高田コミュニティー図書館」が2020年3月末で閉館
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(所在地 東京都新宿区、会長 若林恭英、以下シャンティ)が、東日本大震災後の2012年4月に、陸前高田市小友町のモビリア仮設住宅北集会所に開設した「陸前高田コミュニティー図書館」が、2020年3月15日をもって閉館いたしました。
2012年4月に開設。地域住民の居場所として
陸前高田コミュニティー図書館は、全壊してしまった陸前高田市の市立図書館を補う形で、2012年4月にシャンティが主導となり開設しました。当時空っぽだった本棚は、クラウドファンディングを実施した結果、862人もの皆様からご支援いただき、多くの本を図書館に用意することができました。
「立ち寄り・お茶飲み・おたのしみ」を合言葉としながら、地元の中学生が、毎年お盆とお正月の時期に図書館の掃除をしてくれたり、ただ本を貸し借りする場所ではなく、地域住民が集い、コミュニケーションする場所として、幅広い世代に親しまれてきました。
閉館の背景
シャンティによる運営は2017年7月に終了しており、その後はNPO法人陸前たがだ八起プロジェクトが事業を引き継いでいました。この度、陸前高田市の仮設住宅撤去・集約化に伴い、モビリア仮設住宅の撤去が決定し、「最後の一人の入居者まで」という思いで続けてきた陸前高田市コミュニティー図書館も長年の役目を終え、閉館することとなりました。
モビリア仮設住宅は、最高時は168軒の居住がありましたが、徐々にプレハブ仮設住宅から退去が進み、最近では戸建ての仮設住宅数軒のみとなっていました。モビリア仮設住宅に過去に住んでいた住民は、退去後も陸前高田市コミュニティー図書館に来ていた人が多く、それは陸前高田市コミュニティー図書館が単なる図書館ではなく、心の拠り所であり、人と繋がる空間として愛されていたからだと考えています。
貯蔵書籍の今後
2万冊以上蔵書があるとされますが、今後、絵本などの子ども向けの本は、地元の児童施設、子ども対象のNPO、学校図書館などが貰い手となり、大人向けの本は専門業者によりリユースされる予定で、本の選書と配分が進められています。
・陸前高田市コミュニティー図書館 館長 蒲生哲(がもう さとる)氏からのコメント(NPO法人陸前たがだ八起プロジェクト)
「当初、おそらくシャンティも私も意図する役割以上のことを達成できたと思っています。それは、単なる図書館ではなく、居場所、拠り所、人とのつながり、空間づくりを、本をツールとしてできたということです。これまでサポートしてくれた皆さま方には“お世話様でございました”という声をかけたいです。一抹の寂しさもあります。しかしながらこれも一つの復興への歩みが一歩進んだという事なんだろうと自分に言い聞かせております。引き続き見守っていただければと思います。」
陸前高田市コミュニティー図書館 利用者の声
・お菓子持ってきたよ 一人だとこんなに食べられなくて。(80代男性、1/7)
・図書室休みだから本借りて行こう。本があれば退屈しないし。(50代女性、1/14)
・ここがなくなるのは寂しい。ここだけでも残せたらいいのに。(60代女性、1/16)
・何年も前に借りた本を返しに来ました。(40代女性、3/6)
・もうすぐ終わりだね。ここを買い取れるものなら買い取りたい。(60代男性、3/9)
・ここなくなるってね。ここに来るの楽しみにしてたのに。どうしようね。(80代男性、3/1)