移動図書館活動で教員がスキルアップ
こんにちは/サバイディー。
ラオス事務所インターンの木村です。
2019年も残すところあとわずかですね。
なぜだかわかりませんが、今年のラオスの冬は寒いそうです。
11月末から12月上旬にかけて、ラオス北部では朝晩の冷え込みが厳しい日が続き、ルアンパバーン市内でも最低気温が10℃に及ばない日もありました。ほとんどの家庭には暖房器具が備わっていないため、人々はセーターや厚手のコートを着込んだり、焚火で暖をとったりして寒さをしのいでいます。
さて、ラオス事務所では、ルアンパバーン市内から車で2時間ほどのところにあるパクセン郡にて、移動図書館活動を行っています。
各校での移動図書館活動が5回目となる今回は、今後活動が自立的に運営されていくよう、弊会職員は極力介入せず、担当教員の主導で行われました。また、活動の効果を検証するため、教員による活動のモニタリングや彼らへのインタビューもあわせて実施しました。
対象校のうちの1校、プノワン小学校
今回私たちが訪問した6校のうち、ほとんどの教員たちは、学年の異なる子どもたちが全員活動に参加できるよう、よく注意を払っていたように思います。また、読み聞かせの際には、以前よりもはっきりと声色や表情を変えながら、子どもたちの興味を惹きつけていました。
教員や子どもたちの楽しそうな声につられて、年上のお兄さんもお話を聞きに来ました
そして、ある学校では教員だけでなく、子どもたちも紙芝居の読み聞かせを行ったのですが、驚いたことに、ただ読むだけでなく、ポイントをきちんと押さえてレベルの高い読み聞かせを行っていたことです。この学校の担当教員は、自身が身に着けた読み聞かせのスキルを子どもたちにもわかりやすく伝えているとのことでした。
読み聞かせを行った5年生の女の子。全員に絵がよく見えるよう、立つ位置を少しずつ移動していました
一方で、まだ改善すべき課題もいくつか見られました。
ルアンパバーン県には主にラオ族、モン族、カム族が住んでいますが、民族構成は村によって異なります。ある学校ではモン族の児童がほとんどでしたが、モン族の母語であるモン語はラオス語と大きく異なるため、子どもたちがラオス語での指示を理解するのが難しそうな場面も見られました。
また別の学校では、図書コーナーに絵本がきれいに配架されていない、貸出カードが絵本に貼り付けられていないなど、子どもたちが本を借りやすい環境が整っているとは言えず、貸出冊数が伸び悩んでいる状況も見られました。
しかし、このような課題は見られるものの、活動後に行われた教員へのインタビューでは、「読書は子どもたちのラオス語の学習に大いに役立っている。自分自身のスキルをさらに高めて、より子どもたちに読書に親しみを持ってもらいたい」といった期待の持てる意欲的なコメントを教員から多数聞くことができました。
「ぼくがラーメンたべてるとき」 作・絵:長谷川義史
今後は、郡教育スポーツ事務所と協力しながら、これらの課題を抱える各学校に対して個別フォローを行うほか、対象校の教員を集め、課題や成功事例を共有するための会議を開催していきます。
1年間、ラオス事務所のブログをお読みいただきありがとうございました。
皆様、よいお年をお迎えください。
ラオス事務所インターン 木村沙弥香
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掲載絵本(サムネイル写真):
おおきなかぶ 作: A・トルストイ 絵: 佐藤 忠良 訳: 内田 莉莎子(福音館書店)