絵本を子どもたちにつなぐ先生の思い 映像「奇跡の図書館」
日本から届く絵本を受け取る人たちは、どのような想いをもっているのでしょうか。公開映像「奇跡の図書館」に登場するカンボジアの校長先生の想いをお伝えします。
絵本を子どもたちにつなぐ先生の思い
ダイアット小学校 ノッ・スイアン校長
私は1996年にシャンティが開催した図書館研修を受講し、衝撃を受けました。この時初めて絵本を手にし、おはなしの読み方を教わり、なぜ図書館と絵本が子どもにとって大切なのかを学びました。研修終了後、私は毎日おはなし会を続けました。この時の実践が私の礎となっています。
校長となった今も伝え続けていることがあります。「本を読むと学びが深くなります。本を読まなければ目がなく働くようなもの」だと。
このように思うようになった背景には、ポルポト時代を生き延びた私の経験があります。
1975年のある日、家族バラバラでプレアヴィヒア州に強制移住させられました。それまでの日常が突然奪われ、私は同年齢の子どもたちと夜中まで米を育てるように言い渡されました。しばらくすると、なぜここで米を育てているのか、誰のために働いているのかなど、疑問を持つようになりました。しかし、質問をすることは許されず、自分の考えを口にすることも禁じられました。口にした人は突然いなくなり、帰ってくることはありませんでした。
この時、人々が瞬間的な感情でしか生きていないことに気づきました。その姿を見て、いかに学び、考えることが大切かを感じました。
このような経験から、子どもたちには本を読むことで考えを深めること、生きる指針を身につけることが必要だと考えるようになりました。そのためにも、絵本は欠かせない存在だと信じています。
聞き手:広報・リレーションズ課 課長 鈴木晶子
本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.302 (2019年秋号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。
映像「奇跡の図書館」、誕生のストーリーと共にご覧ください
カンボジア ダイアット小学校には、シャンティがカンボジアで初めて建設支援した学校図書館があります。ポルポト時代に行われた文化・教育施設の破壊により、カンボジアの人々は『学びの場所』を奪われました。図書館ができて20年以上が経った今、毎日たくさんの生徒が本を読みに来ます。映像が生まれたストーリーと共にどうぞご覧ください。
https://sva.or.jp/wp/?p=38531