職員たちが残してくれたもの
こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事務所の山内です。
私達の事務所のあるタイ・メーソットは一番暑い時期に入り、連日40度を超える気候が続いています。
この暑さを跳ね返すような、水かけ祭りとも呼ばれるタイの旧正月(ソンクラーン)も先日終わり、少し日に焼けた職員達と「暑い、暑い」と言いながら業務を開始しています。
少し脱線しますが、こちらがタイ北部チェンマイでのソンクラーンの様子です。お寺ごとに違う装いの仏様が街中を通っていき、その仏様に水をかけていきます。
実はこの4月からミャンマー(ビルマ)難民事務所は新体制になりました。というのも、4名の現地職員との別れが3月末までにあったためです。私達の活動を影で支え、時には海外生活に慣れない日本人職員をも支えてくれる現地職員は、事務所にとって、シャンティにとって大切な存在です。
私は前職で、とあるメーカーの中国工場へ伺ったことがあるのですが、そこで働く日本人の方にとって、これまでの一番の苦労は「現地職員の定着」だったと話してもらったことがあります。技術を伝えてもすぐに他の給料のいい会社に転職をしてしまう、長期休みが終わる時に田舎から帰ってこなくなる、、などなど。職員が定着するまでに、かなりの時間を費やしたとのことでした。
そんな話を聞いたことがある私が、事務所に着任して驚いたことの一つが、10年以上働いている職員が多いということでした。一番短い職員でも5年働いており、シャンティに入職して4年目の私にとっては、大先輩ばかりの事務所なのです。
そして更に驚いたのは、職員1人1人がしっかりとした熱意を持って仕事をし、図書館活動を支えているということです。今回お別れをした職員も、たくさんのことを難民キャンプの子ども達に、そして他の職員達に残してくれました。
まず、子ども達へ本や図書館の楽しさを伝えること、そして自分達の持つ技術を難民キャンプの図書館員・青年ボランティア・学校教員に伝授してくれました。
職員からの読み聞かせ前の手遊びが始まると、少し騒がしかった子ども達が一気に静かになり、一緒に楽しみ始めます。
そして、おはなしを絵本だけでなく様々な方法で伝えるために、たくさんの読み聞かせの道具を手作りし、残してくれました。
エプロンシアターで使う果物です。全部職員が手縫いで作っています。
その他にも、事務所を掃除し綺麗な環境を常に維持してくれたり、キャンプまで安全に車で職員を運んでくれたり、、とお別れをした職員は仕事を通してシャンティの活動を支えてくれました。
そして、今回お別れした職員が、最後にシャンティや事務所への思いを話してくれました。
「シャンティの活動は、子ども達の教育を支える大切な活動。子ども達やコミュニティを支える仕事ができ、自分自身も楽しく仕事ができた。そして、自分が辛くなった時は他の職員が支えてくれた。」
「事務所の皆は、仕事仲間であるけれど、家族のような存在。シャンティファミリーとして、これからも活動を応援している。」
4名との職員との別れは、寂しさが多く、笑顔で送ろうと思っても皆つい涙が出てしまいました。ですが、誇りを持って仕事をし、私達にたくさんのことを残してくれた4名に恥じないように、これから残った職員一丸となって活動を続けたいと思います。
新体制を迎える前の事務所職員一同です。この場をお借りして、4名の職員に「タブル・パドー(カレン語でありがとう)」。
ミャンマー(ビルマ)難民事務所 山内