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2023.10.05
緊急人道支援

【パキスタン】2022年の水害で被災した300世帯に食料と生活必需品および9校の被災小学校に教育用物資を配布しました!

事業終了
水害

サラーム!ページをご覧いただきありがとうございます。

シャンティは、昨年パキスタンで発生した大洪水の被災者へ緊急人道支援を行って参りました。第一次支援として、今年の3月に、745世帯に緊急食料と生活必需品を配布しました。第一次支援の報告は、以下のリンクからご覧いただけます。

パキスタン水害被災者支援事業開始 "首都イスラマバードから見えたこと"

【パキスタン】大洪水で被災した745世帯に、食料と生活必需品を配布しました!

 

3月に事業が終わった後、支援を届けた近隣の村や地域では、「支援不足」の状況が見られたほか、未だ多くの人々が困窮しているとの声が届きました。

このような状況は、シャンティの支援地にとどまらず、パキスタン全土でみられました。それを受け、ジャパン・プラットフォームは、パキスタンの水害被災者支援を延長することを決定しました。

ジャパン・プラットフォーム パキスタン水害被災者支援2022

シャンティは、ジャパン・プラットフォームの延長プログラムにおいて、未だ支援を受けていない被災者を対象に食料と生活必需品の配布支援を実施しました。

また、被災後、多くの小学校が支援を受けられず、子どもたちが学校に通えない状況が続いていました。今回の支援では、そんな小学校を対象に、学習用具や登下校に必要な制服等の学校教育用物資の配布も行いました。

以下、写真を用いて支援の様子を報告いたします。

 

緊急の食料・生活必需品と学校教育用物資の配布先を選定しました

今回の事業も前回同様、パキスタンの現地NGO団体KKF(Khadimu Ul Khalaq Foundation、日本語直訳「=人類への奉仕者」)と提携して行いました。

KKFは支援対象者を選定するために、コミュニティや小学校、対象地の災害局や教育局を訪問し、被災状況や支援不足の状況の聴き取りを行いました。

KKF職員が被災した小学校を訪れて話を聴いている様子

KKF職員が支援対象者を選定するために戸別訪問を行っている様子

KKF職員の訪問の時、被災者は、洪水発生時の被害の様子や、その後の苦しい生活の状況を話してくれました。また、小学校に訪れた際、学習用具や制服等が流された影響で、学校に来れなくなった子どもが多く存在すると学校関係者の話から分かりました。多くの小学校で、教員が自らのお金を使って学習用具を揃え、苦しい中でもどうにか教育を続けようとしている様子も見られました。

 

緊急の食料・生活必需品と学校教育用物資を調達しました

このような状況の中、シャンティとKKFは配布する物資の内容について協議しました。

配布食料は、栄養バランスがとれていることに加え、冷蔵庫がないことや、食料を自ら調達することが難しい人々の状況を考慮し、長期保存がきくものでなければいけません。

生活必需品に関しては、洪水の被害を受けた際に最低限必要なブルーシートやバケツ、また衛生面を考慮した石鹸などを含める必要があります。

教育物資に関しては、ペンやノートなどの学習用品のみにとどまらず、子どもたちがもう一度学校に通えるように、登校用のカバンや制服、靴などを一式揃えた方が良いとの意見が出ました。

現地から届いた声が最大限反映できるように、そして提携団体KKFとシャンティのこれまでの経験をしっかりと活かし、以下の物資を調達しました。

食料物資:小麦粉、レンズ豆、ひよこ豆、ヤシ糖、米、油

生活必需品:ポリタンク、ビニールシート、バケツ、蚊帳、台所用品、鍋、綿・麻シーツ、タープ、布ナプキン、石鹸

学校教育用物資:学校指定制服、学校指定靴、石鹸、歯磨き粉、歯ブラシ、クシ、学習用ノート、鉛筆、鉛筆削り、消しゴム、登下校用カバン

KKFの倉庫に運び込まれた食用油(上)と小麦粉(下)

登下校用のカバン(カバンの中にその他の教育物資が梱包されている)

 

被災世帯への物資配布と子どもたちへの学校教育用物資配布

物資調達を無事に終えた後、300世帯(2,265人)に食料・生活必需品を配布しました。

食料と生活必需品物資の配布の様子

寡婦世帯や高齢者が物資の受け取りに来ている世帯に対しては、職員が家まで運ぶように努めました。

 

また、9つの小学校(1,653人)の子どもたちに学校教育用物資を配布しました。

学校教育用物資を受け取った子どもたちの様子

物資を受け取った子どもたちが笑顔で帰っていく姿を見て、KKF職員はとても嬉しかったそうです。

 

学校教育用物資の配布後、対象小学校の教員や校長から嬉しいニュースが届きました。

教育物資や制服、そして登校のための衛生用品が配布されたおかげで、たくさんの子どもたちが学校に戻ってきて、勉強を再開しています。

本当にありがとうございました。

 

パキスタン、特に今回支援を行ったハイバル・パフトゥンハー州は、もともと子どもたちの教育状況が良くありません。本地域の特徴として、長年続く民族間の紛争やパキスタン・タリバン運動の活動が活発であること、またアフガニスタンと国境を接するため多くの避難民が存在し、不就学児の数や教育の質の悪さが問題として挙げられていました。

2022年に起きた大洪水は、このような教育状況に追い打ちをかける要因となったのです。

洪水により学習用具や制服が流され、家族は新しい教育物資を買うことができず、子どもたちを学校に送ることを諦めてしまいました。

学習再開の遅延は、教育の成果に多大な負の影響を及ぼします。

今回我々の行った支援は、そのような状況を打開し、子どもたちがまた元気に学校に通い始めることに貢献しました。現地から届いた報告からは、パキスタンの子どもたちの元気な笑い声が聞こえてくるようでした。

 

アフガニスタン事務所 喜納