ウクライナ国内において生活再建支援、食糧・生活必需品の配布を実施しています
シャンティインターンの長濵です。
ロシアによるウクライナ侵攻から約1年が経ちました。
昨年に比べ、ウクライナへの関心が少しずつ薄れてきた方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
私はこれまで戦争というものを過去の出来事として認識してしまっていたため、現代において勃発したことにかなりの衝撃を受けました。
今日はシャンティ国際ボランティア会が昨年10月より開始している生活再建支援および食糧・生活必需品の配布事業をご紹介します。
ポルタヴァ州の現状
(「Ukraine Humanitarian Needs Overview 2023」P19内地図を加工)
今回シャンティが事業を行う地域はウクライナ中部に位置するポルタヴァ州です。戦闘が激しく行われるドネツク州やルハンシク州に面しており、ウクライナ東部からの避難民が多く流入しています。その数は中部地域で116万6千人に上っています。
活動内容
今回の活動の目的は大きく2つあります。1つ目は長引く避難生活の中で、避難民が就業をはじめとする生活の再建を行えるようにすることです。国内避難民の多くは、収入が大きく減少している、もしくはまったく収入を得ることができていない状況にあります。
シャンティでは、現地の提携団体と協力し、避難施設となっているポルタヴァ経済貿易大学(PUET)の一角を利用して、裁縫講座や、ピザ職人講座、美容師講座など、就職に直結するようなスキルを習得するための講座を開講しています。
また、ウクライナ語の講座も開講しています。ウクライナ東部はロシア語圏内であるため、東部から逃れてくる避難民の中には、日常生活でウクライナ語を使用しない方々もいます。しかし、基本的な文法などは理解している避難民も多いため、この講座では、ウクライナ語圏内で仕事、生活を送る上で必要な知識を主に学びます。
「裁縫講座」を受ける人々
2つ目は避難民に食糧、生活必需品の配布を実施することで避難生活の負担を軽減することです。ポルタヴァに滞在している避難民の33%の人々が軽度、もしくは重度の食糧難とされています。
シャンティでは、避難民1,500人を対象に、パスタなどを含めた食糧パッケージ、キッチン用品、洗濯粉、石鹸、シャンプー、歯ブラシ、歯磨き粉などの衛生用品パッケージ、女性の生活に配慮した女性尊厳キットを配布しています。
配布物資を受け取る人々
今回事業を行っているポルタヴァ州は比較的激しい戦闘が少ない地域です。しかしながら、インフラ設備の破壊により停電が2~3日起こるなど、依然として避難民の方にとって不安の多い日々が続いています。シャンティでは引き続き、厳しい状況下にある避難民の方が少しでも希望を抱くことができるよう活動を続けてまいります。
今回のブログの執筆は、避難民の方々の不安や苦しみについて少しでも理解するための助けとなりました。過酷な環境下においても懸命に生きる人々の事実を知り、私は敬意を抱くと共に自らの置かれた環境が恵まれていることに気が付きました。そういった中でも人は悩みを抱いてしまいますが、今後はより切実な問題を抱える人々の存在に目を向け、何らかの形で支援の手を差し伸べられるような視野の広い人間になりたいです。
本事業はジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆さまからのご支援を受けて実施しています。
引き続きウクライナへの温かいご支援をよろしくお願いいたします。