2025.11.25
緊急人道支援

能登の冬支度|令和6年能登半島地震

国内災害
震災

倒壊した建物が道をふさいでいた町は公費解体が進み、解体後の空き地には雑草が生い茂る。以前より風通しが良くなったからか吹き抜ける風がより一層強く冷たく感じます。気づけば、「今日も寒いね」が挨拶となり、仮設住宅で過ごす2度目の年の瀬に各々が冬支度を始めます。

移動図書館では、栗や柿、アケビやザクロまで様々な能登の自然の恵みを家の庭や山から採って持ち寄って分け合う姿があり、震災前の日常を垣間見ているようでうれしい光景です。寒くなり始めてからは、編み物の本の関心が高まり、「今年の冬はこれを編もう」と本をめくる方をよく目にします。これから厳しい冬を過ごす中、おうち時間の楽しみを増やすためにも、移動図書館を利用していただければありがたいです。

本を読みながら、近所で取れたアケビをみんなで食べる

編み物の雑誌を一緒に見る様子

11月には輪島市立図書館の引っ越し作業が行われました。

現在、輪島市立図書館は新たな施設を借り、仮設図書館として営業を再開していますが、元々輪島市立図書館が入っていた施設である輪島文化会館は大きく被災し、12月に取り壊すことが決まりました。そこで、未だ館内に残っている本、段ボール約2700箱(8万5000冊)を、廃校となった小学校へ一時保管のため引越しすることとなり、少しお手伝いをさせていただきました。

2700箱の段ボールに箱詰めされた本(輪島文化会館)

2トントラックに120箱ほど段ボールを積み、荷下ろしし、往復3時間ほど。この作業は1週間にわたりました。全国からボランティアが駆け付け、図書館職員含め延べ100名余りが参加しました。県外からの図書館や本の仕事に携わる方々、昨年から能登に拠点を構え、災害支援をしてきた団体が汗を流しました。

輪島と門前では支援関係者間の連携・協働を図る情報共有会議が発災直後から開催されています。定期的に支援に関わる人が顔をあわせ、協力を求めるの声があれば助け合うことができる。そんな場が改めて貴重であると感じました。

2トントラック1台で約120箱を積むことができ、往復3時間の作業

これから輪島市文化会館は解体され、図書館は仮設図書館での開館が続けられるそうです。現在行っている移動図書館も、そちらに寄り添っていきます。図書館の引っ越し作業という復興の歩みに関われたことを、ありがたく思います。

国内緊急人道支援担当 中井