2019.03.27
緊急人道支援

インターネットの時代に口コミパワー

アフガニスタン
避難民

アフガニスタンから嬉しいニュースが飛び込んできました!
シャンティでは緊急水衛生事業をアフガニスタン東部で行っています。その事業の中で、コミュニティ住民に衛生啓発活動を実施しています。この活動の参加者が、大幅に増えているそうです!

「私も学びたい!参加したい!」

この事業は、戦禍から逃れてきた国内避難民と、難民として国外に出て、その後またアフガニスタンに戻ってきた帰還民が対象の事業です。国内避難民や帰還民が急増したコミュニティでは、水衛生環境の整備が急務となっています。水の不足だけでなく、国内避難民や帰還民の多くが手洗いなど基本的な衛生の知識を持っていません。

衛生啓発活動の参加者として、特に支援が必要な家族を事前に選んでいます。参加者を30人ほどのグループごとに分けて、活動しています。彼らに衛生キット(石鹸・歯ブラシ・タオル・生理用品・トイレットペーパー等)も配布しています。

ある参加者に、啓発活動の前に、「石鹸の使い方を知っていますか?」と聞いたところ、「石鹸(Soap)とはどんな食べ物なのか?」という答えが返ってきたこともありました。日本にいる私たちが毎日使っている石鹸や歯ブラシを使ったことのない人々、使う機会を紛争によって奪われた人々が、それらを手に取って、実際に使いながら、正しい衛生知識を学ぶことが重要です。

衛生啓発活動で手洗いの仕方を学んでいる様子

衛生啓発活動で手洗いの仕方を学んでいる様子

第1回の衛生啓発活動の後、同じコミュニティに住む他の住民から参加したいという声があがりました。参加者の口コミによって、シャンティの活動がコミュニティ全体に伝わり、多くの参加希望者が集まったのです。シャンティは、衛生キットを配布しないことを明示して、参加希望者を第2回の活動から受け入れました。

もう一つのコミュニティでは、追加の参加希望者を見込んで、第1回から希望者の参加受け入れをアナウンスしました。第1回の活動には、各グループ、数人ずつが追加で参加しました。しかし、第2回の活動には、新たに100人以上の参加希望者が集まりました。まさに最初のコミュニティと同じように、口コミで集まった人々です。下の写真はこのコミュニティの同じグループでの衛生啓発活動の第1回と第2回の様子です。

あるグループの第1回衛生啓発活動の様子

あるグループの第1回衛生啓発活動の様子

あるグループの第2回衛生啓発活動の様子

あるグループの第2回衛生啓発活動の様子

「水が原因で病気になるなんて知らなかった」

第1回の活動を友人から聞いて、第2回の衛生啓発活動に参加したマーセルさんの声をお届けしたいと思います。

「3か月前にこのコミュニティに避難してきた新しい友人に衛生啓発活動について聞きました。彼から活動の目的と内容を聞いて、ぜひ参加したいと思い、彼に次回の活動日を聞きました。友人は事前に選ばれた人が呼ばれているので、私が参加できるかわからないと言いました。私はそれでも、どうしても参加したいと思い、シャンティにお願いしました。今日、こうしてシャンティが私の参加を受け入れてくれたことをとてもうれしく思います。私は今まで、水が原因で病気になるなんて知りませんでした。また、今日初めて、水のろ過の方法を学びました。」

3月21日にユニセフが発表したWater Under Fireという報告によれば、アフガニスタンや南スーダンのような紛争国では、実は戦闘に巻き込まれて亡くなった子どもたちよりも、不衛生な水により下痢が原因で亡くなる15歳未満の子どもたちの方が3倍も多いそうです。5歳未満の子どもについては、20倍も多くなっています。命の源であるはずの水が子どもたちの命を奪っています。

第3回の衛生啓発活動が終わったところで、両方のコミュニティで合わせて250人以上もの人々が、口コミ等をきっかけに新たに活動に参加しました。追加の参加者も含め、ほとんどの参加者が衛生啓発活動の毎回のセッションに参加しており、仕事があって出席できないときは、家族の誰かが代理で参加しています。

自分でできる水のろ過方法を学ぶこと。石鹸を使った適切な手洗いの方法を学ぶこと。劣悪な衛生環境の中でも、自分と大切な家族を病気から守り、命を救うために、真剣に衛生啓発活動に参加している住民の姿がそこにありました。

井戸端会議、近日開催予定!

この事業では、水不足で困難な生活を送っている国内避難民や帰還民といったこのコミュニティの住民のために、新しい井戸も開設します。現在、開設活動が着々と進行しています。

井戸の開設作業の様子

井戸の開設作業の様子

シャンティの衛生啓発活動は口コミで、コミュニティ全体に広がったことで、学びたいと願う人々が集まり、参加することができました。

今後、この井戸が完成することで、コミュニティ住民は生命の源である水を確保できるようになります。それだけでなく、井戸が、国内避難民や帰還民など、異なる場所からやってきた人々が集う憩いの場所となるかもしれません。まさに井戸端会議が始まるまでもうすぐです。

情報化社会の現代。インターネットやSNS、メールで、いつでもどこでも情報が共有できます。だからこそ、アフガニスタン事務所からニュースや写真が届き、事業を運営することができています。一方で、家族や友人、知人から直接聞く“口コミ”もとても重要な情報ですよね。両方に共通するのはあなたに伝えたい、共有したいという思いではないでしょうか。

アフガニスタンの人々も、衛生啓発活動で学んだことを伝えたいと思ったから、口コミが広がったのだと思います。私も、嬉しいニュースをみなさんにお伝えしたいと思い、ブログを書きました。読んでくださったみなさんも周りの方に、このアフガニスタンからの嬉しいニュースを、“シェア”して頂けましたら、幸いです。

事業サポート課 竹本 舞

現在実施中の事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様のご支援を受けて実施しております。