2008.10.14
海外での活動

《メーソット事情》ごみ山に隣接する学校

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

タイ北部ターク県には、ビルマ人労働者の子弟が通う学校が55箇所ほどあると言われていますが、その中でも劣悪な状況にある「Sky Blue School」という名の学校を視察してきました。
「Sky Blue School」は、メーソット市街から車で約15分のごみ捨て場のすぐ横にあります。

2006年11月にビルマ人出稼ぎ労働者が設立し、現在、地元のNGO,ビルマ人出稼ぎ労働者教育委員会BMWEC(Burmese Migrant Workers Education Committee)が中心に運営支援を行っています。ビルマ人5名、タイ人1名の教員がいて、幼稚園児、小学校1~4年生、105名が通っています。

学校のすぐ近くのごみ山には、ビルマ人の簡易住居が建てられ、人々がそこで暮らしています。ごみ収集をして暮らす家族の子ども達が勉強できるように、ごみ捨て場に隣接して建設されたようですが、学校はごみの異臭が立ち込めていました。こんな居住環境や教育環境があっていいのか、子ども達の授業風景を見ながら頭の中で何度も考えました。
そんな風に思っている一方、子ども達は、一生懸命学び、放課になると小さな校庭で楽しく遊んでいました。地面の土をいじくっている子どもにちらりと目をやると、やっぱり難民キャンプの子ども達と同じように、にっこりと笑ってくれます。そんな笑顔を見てほっとするものの、有害物質を含んだごみに囲まれた教育環境が良いとは決して言いがたく、そんな環境でしか教育を得ることが出来ない子どもを思うと、やっぱりいたたまれない気持ちになりました。
また、ごみ山でリサイクルするごみを集めていた12歳の女の子、シュマちゃんのことも忘れられません。シュマちゃんの言葉、「将来のことなんて考えたことない」。シュマちゃんは、今を生きることが大事であり、将来を考える時間も、希望もないんだなあ、生まれる環境によってどうしてこんなにも格差ができてしまうのか、自問せずにはいられませんでした。
「Sky Blue」。ごみに囲まれた子ども達が少しでも希望を抱いてくれないだろうか、そんな願いを込めた名前だなあと思いました。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 加藤美生