2016.03.29
海外での活動

どうなった識字教室 5<おまけ>

カンボジア
活動風景

受講者の声>からの続きです。

もう少し受講者の声を紹介します。

チア・サリーさん 36歳
CLC農業普及員/識字学習者
ニーペックコミュニティ図書館(#1)

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生活向上研修で講師として肥料の作り方を教えるチア・サリーさん(画面中央オレンジのシャツ)

「以前は読み書きができず日々の暮らしに不便を感じていましたが、識字教室に通い、村に貼ってあるポスターや役所のお知らせが読めるようになりました。本も字が大きいものなら読めるようになりました。その他、識字教室で栄養のバランスを考えて野菜を食べることや貯蓄の重要性など、読み書き計算以外の実生活に役立つ知識・技術を学びました。今は読み書きができる人とも堂々と話せるようなり、人生全般に自信が持てるようになりました。」

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子どもを抱きながら読書にいそしむチア・サリーさん

ウン・ハイさん 49歳
CLC農業普及員/識字学習者
ロンコーコミュニティ図書館(#2)

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玉利カンボジア事務所所長から修了証書を受けとるウン・ハイさん

「わたしの夢はこの辺一帯で一番の農家になることです。これまでコミュニティ図書館のあらゆる活動に参加しています。以前は効果的な農業の仕方がわからなかったので、野菜や鶏がうまく育てられず、よそに売るどころか一家の食事もまかなえず、他の農家から買っていました。コミュニティ図書館ができ、新しい農業技術を学び実践し、暮らしが大きく変わりました。野菜と鶏がみちがえるほど育つようになり、よそに売れるようになりました。以前、鶏は10羽もおらず多くが病気にかかって死んでいましたが、コミュニティ図書館で鶏を病気にかけず元気に育てる方法を学び、今では病気にかからず成長し40羽に増えました。(※昨年聞き取り時。今年の3月でなんと150羽にも増えました!)現在はカモも育てています。

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鶏を飼育するウン・ハイさん

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育てた冬瓜を誇らしげに見せるウン・ハイさん

今はコミュニティ図書館で農業普及員として他の住民に農業技術を教えていますが、みなから感謝され誇らしく思います。これからは野菜栽培と養鶏をより大規模に行っていきます。来年こそは、今年は恐れて実践できなかった稲作の新しい方法も実践する予定です。将来、シャンティがこの事業を終了させても、学んだ新しい農業技術をわたしがみなに教え続け、コミュニティ図書館の活動を支えたいと思います。」

お二人にはある共通点があります。

二人は昨年の識字教室の修了者であるだけでなく、
農業のプロから農業研修3種(野菜栽培、養鶏、稲作)の直接指導を受け、
現在は村の農業普及員として図書館の生活向上研修で他の住民に教えています。

最後に、識字教室の受講者を離れ、
事業を一緒に実施しているパートナーである教育省職員が、
シャンティのコミュニティ図書館事業についてどう思っているか訊いてみました。

イット・ブッタさん 44歳、教育省コンポントム州教育事務所職員

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イット・ブッタさん、教育省事務所にて

「わたしはコンポントム州の教育省職員として、シャンティのCLC事業の立ち上げ時から、ニーペックコミュニティ図書館の劇的な成功までの軌跡を見てきました。シャンティの成功の秘訣は、活動がシンプルで誰にとっても単純明快であることと、コミュニティごとに住民の要望を入念に調べあげ、住民のニーズに合致している、ということだと思います。今まで多くのCLCを見てきましたが、シャンティはこれまでのどのCLCとも異なる、全く新しいモデルを創り上げました。

現在、教育省がコンポントム州に新たなCLCを設立しようとしていますが、このCLCの運営には シャンティのノウハウが最大限生かされます。とりわけ、シャンティのモットーである「教育をカジュアルに」は、CLCを楽しく快適な場所にし教育に苦手意識を持っている住民に対して敷居を下げるというアプローチですが、この方法は、ふつうなら利用があまり見込めない青年層の取り込みに大きく貢献することが期待されます。

開館してたった1年で、シャンティのCLCがいかに地域住民の生活に変革をもたらしたかをわたしは目の当たりにしました。シャンティのCLC事業は、(モデルとして)コンポントム州にある既存の教育省運営CLCの運営向上にも大きく貢献しています。わたしは教育省職員として、シャンティのCLC事業に関わっていることを誇りに思っています。

来年(2016年)末をもって、ニーペックCLCの運営は、教育省と地域住民に移管されますが、
わたしたちが責任を持って持続発展させていきます。この場を借りて、シャンティのコミュニティ図書館事業を支援している日本のご支援者のみなさまに心から感謝いたします。」

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みなさまからありがたいお言葉をいただきました。

現在、シャンティは今年の識字教室開催準備として、
識字教師の研修や受講者集めにあたっています。

今年の識字教室は、去年の経験を生かし、よりいっそう受講者の生活向上に直結し、
さらに多くの笑顔で溢れる教室を目指します。

シャンティへの応援よろしくお願いします!

カンボジア事務所
ノンフォーマル教育事業調整員
江口 秀樹