どうなった識字教室 4<受講者の声>
<成果データ>からの続きです。
最後に昨年の識字教室の成果を、受講者の声から紹介します。
多くの声を紹介したいですが、
まずは代表的な人から紹介します。
パ・ポムさんです。
過去のブログ記事でも度々登場していただいています。
「成功例」として教育省年次報告書に掲載!では、
パ・ポムさんがこの写真とともに以下のように紹介されていました。
「パ・ポムさん(33歳)は、コンポントム州コンポンスヴァイ郡ニーペック集合村の貧困農家で、読み書き、計算が十分にできません。文字を読むのは一苦労です。地域住民とのおしゃべりなど、自由にくつろげる場所としてコミュニティ図書館(CLC)を利用しています。図書館のことは近所の人から聞きました。『家事をすべてやり終えた後にしか図書館に来られませんが、よく来ています。農業に関する本や小説が一番好きです。図書館で効果的な野菜の栽培法について学びました。現在はそれを実践し、育ちの違いを実感しています。図書館では、来館している子どもたちにお願いして、本を読んでもらっています。正直、こうやって子どもたちに頼んだり、読み書きできる人たちと会話をするのは、
少し恥ずかしかったりします。わたしは若い頃に勉強をすることができなかったので、今、この学習できる機会を活用しています。もうすぐ図書館で開催される識字教室にも、すでに申し込みました。』」
その後、識字教室開始!では、
「毎日、識字教室に来るのが楽しみです。大人になって学ぶことができるとは思っていなかったので、とてもうれしいです。読み書きを覚えて、いろんなことを学んで、暮らしをよくしていきたいです。
と話していました。
このパ・ポムさんが識字教室を無事修了し、
シャンティに向けて手紙を書いてくれたので、その内容を紹介します。
※画像はパ・ポムさん直筆の手紙
以下、和訳です。
※本人が実際に書いた箇所は太字
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日付:木曜 番号:2015年12月
名前: パ・ポム 年齢: 35 性別: 女
住所: ドンチュック村、ニーペック集合村、コンポンスヴァイ郡、コンポントム州
識字教室: ドンチュック村 教師: トレス・サモン
「わたしの名前はパ・ポムです。村に図書館を支援してくれて、シャンティ国際ボランティア会に感謝します。そのおかげで、わたしは図書館で識字を学ぶことができました。たくさんの仲間と識字教室に通うことができ、とても幸せでした。居心地のよかったこの場所を一生忘れません。」
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この手紙は、識字教室の最後に行われた自由作文のテストで、
実際にパ・ポムさんが書いたものです。
このテストでは、「何も見ず、誰にも聞けない」状況で、
10分間でどこまで書けるようになっているかをはかりました。
内容は自由です。
同様のテストを教室開始時にも実施しましたが、
この際は、上記の環境を徹底していなかったため、
パ・ポムさんは見よう見まねで、意味もわからず
識字教科書に書かれた数行を写しただけでした。
パ・ポムさんは週6日、7ヶ月の識字教室を一日も休むことなく通いました。
また、日中はほぼ毎日図書館に通い、文字を読む練習を欠かしませんでした。
その結果、7ヶ月という短期間にもかかわらず、彼女の読む力はめきめき上達しました。
彼女の書いた手紙は、読み書きができるカンボジア人には、
「短く、一部文法的にもおかしい、つたないクメール語」で書かれているとのことですが、
教室開始時と違い、すべて「自分の言葉」で書かれています。
ほんの一年前、子どもに本を読んでもらっていたパ・ポムさん。
現在、家族の生活をよくすることを夢見て、
コミュニティ図書館に訪れ、自ら農業の本を一生懸命読んでいます。
※受講者の仲間とのど自慢イベントを楽しむパ・ポムさん(マイクを持っている女性)
識字教室を「居心地のいい場所」と呼んでくれたことが、
何よりもの喜びです。
カンボジア事務所
ノンフォーマル教育事業調整員
江口 秀樹