• TOP
  • トピックス
  • 活動内容
  • 【外国ルーツの子ども支援】 スタッフのクロスルーツに抱く想い 〜これまでの「居場所」づくりを経て〜
2022.05.10
国内での活動

【外国ルーツの子ども支援】 スタッフのクロスルーツに抱く想い 〜これまでの「居場所」づくりを経て〜

スタッフの声

シャンティでは、認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク(以下、WAKUWAKU)と協働し、豊島区を中心とした外国ルーツの子どもたちの居場所づくり活動「WAKUWAKU×ルーツ(ワクワク・クロス・ルーツ、以下クロスルーツ)」を行っています。この活動を開始して約2年が経ちますが、立ち上げから携わってきた3名のスタッフが2022年3月をもって活動の一線から退くことになりました。

先月に引き続き、クロスルーツのスタッフを引退する3名の活動への想いをお伝えします。前回のブログ記事はこちらからご覧ください。

スタッフ紹介

加瀬部 あかね(かせべ あかね)

立教大学コミュニティ福祉学部で児童領域の分野を学んだのち、子どもの異文化適応・カルチャーショックについて研究していました。クロスルーツの活動やWAKUWAKUが運営する無料学習支援教室「池袋WAKUWAKU勉強会」(以下、勉強会)のほかに、小学校での支援員や社会的養護の子どもを支援するNPOなど、子どもに関する仕事/ボランティアに従事してきました。

渋谷 真那(しぶや まな)

お茶が有名な埼玉県狭山市出身。給食で「さやまっちゃプリン」が出る日はハッピーでした。立教大学社会学部から東京学芸大学教育学研究科に進学し、在日ネパール人1.5世の進路形成を継続して研究しました。昨年からネパール語の勉強を開始。日々焦りがちな私にとって「बिस्तारै, बिस्तारै(ゆっくり、ゆっくり)」は大切な言葉です。

益子 亜明(ましこ あみん)

父は日本出身、母は中国出身。立教大学社会学部から進学した同大学大学院社会学研究科にて、移民2世の若者の家族関係について研究しました。大学1年生の頃から勉強会にボランティアとして関わり始め、そのほかに移民や難民の支援団体に関わってきました。

印象に残っている活動(たくさんありますが…)

加瀬部:高校生の参加者たちをゲストスピーカーとして招待した「高校進学相談会」が印象に残っています。自分たちの言葉で伝えていた高校生が小学生・中学生にとって身近なロールモデルになっていたのではないかと思います。かれら・かのじょらが日本の学校生活で日々感じていること、また将来展望について聞けたことが私自身もエンパワーメント(勇気づけられた)された時間でした。

渋谷:クロスルーツのみんなと東京都美術館の「やさしい日本語プログラム」に参加したことです。毎回参加している子どもたちのうち、ほぼ全員が参加してくれました。普段オンラインで会っている子どもたち同士のなかでも、自然と交流が生まれたり、そうではなかったり(笑)。「ただ一緒にいる」という同じ空間を共有するうれしさを終始感じました。

東京都美術館前での集合写真

益子:都代表として英語のスピーチコンテストに参加したネパールルーツの高校生が、土曜日の活動の際にスピーチ(「My Hometown Memory」)を披露してくれたことです。来日前の小学生のころまで過ごした美しい故郷での思い出を話してくれました。かれの自信に満ちた表情と、他の参加者となされた対話は、クロスルーツの持つ豊かな可能性を示していたと感じます。

クロスルーツの未来について

加瀬部:現在はオンラインの活動のため、参加する年齢が限られてしまうこと、家からだと参加しにくい子がいる点から、個々のニーズに対応できていないと感じています。いつかは一人ひとりの目的に沿った色んなスペースができることを想像しています。たとえば、おしゃべり、読書、勉強、ゲーム、悩み相談スペースなどなど…。誰にとってもふらっと立ち寄れて、ほっとできる場所として「クロスルーツ」が存在するといいですね。

渋谷:いま参加しているみんなが、私たちスタッフと同じぐらいの年齢になったときにも、クロスルーツに行けば、誰かしらと会って話せて、少しでも笑顔になれる「居場所」があり続けるといいなと思います。みんなが「すき」なことをして、過ごせる空間になると楽しそうですね。

益子:壮大な未来像ですが、豊島区内に外国ルーツの人たちが情報や支援を受け取ったり、様々な世代や背景を持った人たちが交流したりできる拠点が建てられないかなと思います。そこには子どもや若者たちが交流し、〈私〉としていられるクロスルーツがあると想像します。

一周年記念にカラフルなものを持って「はいチーズ!」

最後にひとこと

加瀬部:ご支援者のみなさま、シャンティ、WAKUWAKU、スタッフ5人のおかげで2年間、居場所事業のスタッフを続けることができました。当時将来について迷走していた私は、自分のペースを大切にするクロスルーツで過ごすことで、たくさんのヒントをもらいました。スタッフを卒業後もクロスルーツに関わり続けたく思います。

渋谷:スタッフとして活動した最終日。中国ルーツの高校生から、卒業するスタッフ3人が「WAKUWAKU(クロスルーツ)という楽しい家に帰る暇があることを望む」という言葉をもらいました。これからは、みんなから「おかえり」と言われる側になると思うと少し寂しく感じますが、これからも「ただいま」と言えるクロスルーツがあることを励みに、自分のルート(Route、道)を進んでいきたいと思います。

益子:クロスルーツの好きなところをもうひとつお伝えすれば、毎回の活動で行う自己紹介で、一人ひとりが自分の名前を口にすることです。そこで聞こえてくるいろいろな響きの一つひとつをみんなが受け止めていく何気ないプロセスが、それぞれ異なる人たちが一緒にいること、そして一人ひとりが〈私〉でいることを確認し合っているように思います。クロスルーツが全力でありのままの生を肯定する居場所であり続けてほしいと願い、これからもずっと関わり続けたいです。

2回にわたり、今年度でスタッフを引退する3名のクロスルーツへの想いをつづってきました。スタッフの居場所づくりへの姿勢、さらにはクロスルーツの活動やその様子が伝わっていると嬉しいです。

異なる形ではありますが、今後もクロスルーツに関わり続けられればと思います。みなさんのあたたかいサポートを、引き続きよろしくお願いいたします。

外国ルーツの子どもたちの居場所づくり活動 元スタッフ
加瀬部あかね 渋谷真那 益子亜明

※本事業は、「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」、「ドコモ市民活動団体助成」を頂き活動しています。ご支援者の皆さまには、深く御礼申し上げます。