2022.01.11
海外での活動

ラオスー中国鉄道の開通

ラオス

皆様、こんにちは。年明け早々オミクロン株が猛威を振るっている中、皆様のご無事をお祈りしています。

 昨年1月のブログでは、「ラオスは新型コロナ感染対策成功国」と紹介しましたが、残念ながら昨年後半以降ラオスでも感染者が急増し、昨年末には感染者が10万人を突破して人口100万人あたりの感染者数は日本より多くなってしまいました。

 このような状況の中、昨年12月ラオスと中国雲南省を結ぶ鉄道が開通しました。この路線は首都ビエンチャンからラオス北部の主要都市を通り、中国の昆明まで計1,033キロを約10時間で結びます。特筆すべきは、ラオス国内422キロのうちトンネル部分が198キロ、橋梁が62キロとあわせて6割以上を占めており、ラオス北部に鉄道を施設する事が如何に困難であるかを物語っています。これだけの巨大工事にも関わらず、2016年末の着工から5年間、当初の予定よりも若干早く完成しました。改めて中国の力とラオス政府の新型コロナ感染拡大下でも工事を中断しなかった意気込みを感じました。

ルアンパバーン鉄道駅

 内陸国のため港を持たず、鉄道も首都近郊に数キロしかないラオスにとって、この鉄道は経済発展のための期待の星です。将来的にはタイ、マレーシアを通過してシンガポールまで結ぶ計画もあり、ラオスの農作物や鉱物資源などの貨物輸送、観光産業の促進には大きな利益をもたらすでしょう。この鉄道の開通により、私が住んでいるルアンパバーン市から首都ビエンチャンまで、車で8-9時間程度かかっていた移動が1時間40分程に短縮され、ラオス在住者にとっては大きなメリットがあります。新しいもの好きの都会のラオス人は、早速SNSで鉄道に乗車した体験談を発信していますが、まだ開通したばかりなのでキップの購入方法や駅までの交通手段など多少の不便さはあるものの、「車両がきれいで快適であった」、「車内でも比較的ネットが繋がる」、など評価は上々です。

 その一方、この鉄道は中国の「一帯一路」戦略の一環であり、60億ドルとも言われる総建設費の4割がラオス政府と中国の合弁会社による出資で、ラオス側はその多くを債務でまかなっているため、債務が返済できるのか、ますます政治的、経済的に中国に依存する事になるのでは、との懸念の声も上がっていきます。

 東南アジアの中で最も発展が遅れ、昔ながらの生活様式や伝統を残していると言われるラオスも着実に変化しています。新型コロナ感染拡大による経済の停滞、外貨不足によるラオスキープの下落、コロナ感染が収まっていないにも関わらず隔離なしで外国人観光客を受け入れる方針を出したラオス政府、コロナ慣れしてあまり気にしなくなり国内観光を再開したラオス市民...これらの状況を注視しながら、今年もラオス農村部の教育分野で協力活動を継続していく次第です。

本年もご支援、ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。

ラオス事務所 玉利清隆